アゴス・ジャパン元受講生で、高校一年生の時にニューヨーク郊外の名門女子高に留学し、Columbia UniversityのColumbia Engineering (SEAS) に進学された高田菜奈さん。マンハッタンより最新情報を発信していきます。
◇ 2017年11月 学ぶために、学びたいから、学ぶ。
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◇ 2017年11月 学ぶために、学びたいから、学ぶ。
コロンビアで今月思ったことを話していきたいと思います!
4つのトピックについて書きますが、最後のトピックは興味のある人にだけ読んでいただけたらいいかなと思っています。computer scienceの授業を受けて思ったことについてです。
それから、今回この記事を読む前にやっていただきたい事があります。まずヘッドラインだけ読む、そして、その内容を想像するということです。
最近、本を読む時に、その本に自分の思考を任せっきりにしてるなーと感じるのです。受け身になってるということです。本の内容に自分の思考を依存してしまうのではなく、ただ書かれていることに身を任せというよりもむしろ自分が思考の主導権を握ることを積極にしていけば、人が書いたものを読むということが、もっと深く意義のあることになるのではないかと思うのです。
なので、ぜひ、読む前にも自分で考え、想像していただけたらなと。
“Midterm? “Mid”?”
Midtermは中間という意味なので、私はmidtermと聞くと何を思いつくかというと、正直学期の真ん中にある試験を想定します。が、コロンビアエンジニアの大体のクラスでは、実際は一学期に3、4回あリます。大概のクラスでは、宿題がほぼ定期的に毎週あります。その中で異例なのがCS。CSのクラスでは課題が毎週ではなく2週間単位ででる代わりに、その分1回1回がミニプロジェクトです。
結果として、毎週何かしらの宿題、課題、そしてテストがあることになります。
なので、常に気をぬくことはできず(最初の頃中間を2つ終え油断したら次の日の課題の締め切りで痛い目にあいました)、コロンビアでは日々ただただ一分一秒を無駄にせず何らかしら意味のあるものにすることを学びました!
さらに授業だけではなくコロンビアにはたくさんの魅力的なセミナーや勉強会、イベントがあり、そのスケジュール調整の難しさもまたコロンビア生のあるあるです。
行きたかったセミナーと、友達とのプロジェクトミーティングが重なってしまったり。。。
私は正直スケジュール管理は得意ではありませんし、自分のしたいことをしたい時にするタイプでした。自分の性格と目標をちゃんと理解して、きちっとしたスケジュール管理しないと、地獄をみることは間違い無いと悟り、これからスケジュール管理をどんどん学んでいきたいと思っています。コツとかを得たらまたブログに載せたいと思います。
“Art of Engineering”
コロンビアエンジニアでは、一年生の間に必ず取らなくてはならない授業が2つあります。一つはArt of Engineering、もう一つはUniversity of Writingです。私は今Art of Engineeringを取っているので、このクラスについて話したいと思います。正直、初回の授業までこのクラスがなんなのかを理解していませんでした。が、
プロフェッサーが生徒全員に初回の授業に高校の成績をプリントして持ってくるようにメールを送りました。そのメールの中には、”あなたが 誇りに思うもの科目の成績を載せるように”と書いてありました。そのメールの通り、100人くらいの生徒が自分の誇りに思う科目が載っている成績表を提出しました。
そして、一言
”これはもういらない”
なんと100人分の成績をシュレッダーにかけ始めました。(紙の無駄という批判はちょっと置いといて。)そして、一枚の写真を私たちにみせました。5人のハードル選手が最後のハードルを飛び越えようとしているとこです。
”君たちは今日まで、こうやって生きたでしょう、テストを乗り越え、いい成績をだし、周りと競争して。今日からは違います。君たちはEngineerです。学ぶのは学びたいから学ぶのです。今でもまだ成績を取るために学んでいるのなら、考えを変えたほうがいい。”
学ぶために、学びたいから、学ぶ。単純でわかりきっていることのはずなのに、忘れてしまうコンセプトを初回に言われ、過去の成績は何でもないように扱われました。
確かに金融の世界でインターン、仕事を取ろうとすると成績は大事な要因だと思います。実際アプリケーションにもGPA(成績の平均値) 3.5以上等と書いてあります。しかし、それをどう受け取るかはこちら次第です。人生において、成績を取るために、ではなく学びたいから学ぶということのほうが大事であり、コロンビアは学ぶものに対してしっかり評価を与えてくれます。
格好のよい綺麗事のに聞こえるかもしれませんが、受験も終わりせっかく希望の大学で希望の授業を受けられているのだから、成績のために勉強するのではなく貪欲に学ぶ、ということが将来の自分に対しての何よりもの投資で、成績が多少悪かったとしても自分に満足行かない人生がくるわけはないと、私はそう信じています。
このクラスでは一週間に1回2時間の授業があり、他のクラスとは異なり、いろいろな分野のプロフェッサーやゲストスピーカーが自分のリサーチしている内容や、仕事内容について話してくれます。なので、自分の視野を広げるのにとてもいい機会です。
そして、コモンプロジェクトと言って4、5人で一つのグループになり、プロジェクトを一つ行います。また、もう1つディパートメントプロジェクトではいろいろな分野の中から自分の学んでみたい分野のプロフェッサーとともにプロジェクトを行います。私はFinancial Engineeringのプロジェクトをやっていますが、プロジェクトについては終わったらまた報告したいと思います。
このクラスで最近あった面白い課題はEthics Paperと言って、Code of Ethics for Engineers について、ケーススタディとともにエッセイをかくことです。(Code of Ethics for Engineers: https://www.ieee.org/about/corporate/governance/p7-8.html )
例えば、エンジニアのデータ隠蔽問題について、どういう風にCode of Ethics を破っているか、どういう理由で破ったか、防ぐことはできたのかということについてです。
人工知能、ドライバーレスカー等、新しい分野にはethics problemsがつきものです。
この問題をまっさきに考えなくてはならないのは、紛れもなくエンジニア達だと思います。The Geneという本でも、どれだけ早くからエンジニア、科学者が遺伝子について学ぶことの脅威を理解し、問題は公にして話してきたかを述べています。同じように私たちエンジニアには問題をいち早く理解し、話し合い、解決方法を考える義務があると思います。コロンビアはただ学問を教えるのではなく、エンジニアになる心構え、義務も教えてくれます。
Ethics Codeの中には、将来人に障害を与えるものを作らないようにする、や、人の評価に耳を傾ける、などが書いてあります。
”戦争によって人間のテクノロジーは進化したじゃないか”とか、”時には世間は知らなくてもいい”という人もいます。
しかし、戦争によって人間のテクノロジーは進化したかどうかは、結果論であり、原因と結果の繋がり方が曖昧なため、なんとも言えないし、世間が知らなくてもいいという意見は、自分一人という単体の脳みそで結論をだすという結果に繋がると思います。正直人はどうやってもその人の持っている考えの先に行くことは簡単ではないと思う。自分の箱の先にもどこに言ってもぼんやりとして枠が存在していると思う。なので一人で考えて結果をだすことほど恐ろしいものはない。なので、エンジニアの義務を学ぶことはとても大切だと思う。
“What do we need to know? Everything. Literally everything.”
なんの専攻するの?学校に入ってから100万回聞かれる質問。
私の専攻はFinanciel Engineering(金融工学)です。この分野の勉強をしてるだけでもいいのかもしれないと思っていたけれど、そんなことは全くなく、全てについて学ばないと良いものは作れないことに気づいた。けれど全てのことを学ぶということは不可能かもしれない。だから、人はともに影響しあって、2倍3倍の力にすることが大切だと思う。全くジャンルの違う人たちからたくさんのことを学び、そして一方で自分がひたすら知識に対し貪欲でいることにより、周りにもその知識を供給することができるのだと思う。
コロンビアは他のアメリカの大学に比べると必修の授業が多いです。逆にいうと、理系でも文系の科目の両方を学ぶことができます。よりいろいろな分野に自分を置いてみることができます。コロンビアは授業でもいろいろな分野の必修がありますし、部活の数もおびただしいため、自分の興味を深く学ぶこともより広く学ぶことも可能です。また、ビジネス、国際関係、ジャーナリズム、など の大学院があるため毎日学生が参加できるセミナーが開かれている。政治、哲学、差別、コンピューター、テクノロジー、医療、並べきれないほどの違う分野のセミナーに行こうと思えば、いつでもいくことができます。セミナーはプロフェッサーや生徒が行うものもあれば、外から人を招いて話をきき、ディスカッションすることもあります。NYにはいろいろなフィールド、国のトップが話にくるので、毎日新しいものを学べる環境にある。それがコロンビアだと思う。
“It’s you who chose Columbia, so I have a right to give you work.”
私は今5つの授業を取っているんですが、その中でも大変だと思う授業がComputer Scienceのクラスです。初めの時は90人弱いたクラスも二つの課題と中間の後には、40人くらいしか残っていません。残った生徒のうちにはもともとの経験値が違う人もいますが、大半はしがみついているという形です。もちろん生徒の中でも大変だと有名なクラスですが、ある日先生が授業の初めにこう言いました。
”It’s you who chose Columbia and take Honors class, so I have a privilege to give you the work that you deserve. “
目が覚めました。
人は新しい環境に入ってしばらくすると、最初の頃のその環境に入れただけの幸福感や期待値などもどんどん薄れていくと言いますが、確かに自分たちが選んでここに入ったことを忘れ、あたかもあまりにもの多くの課題を与えるプロフェッサーが悪のように感じてしましました。が、私たちが選んでこの学校に行きたいといって来たのだから、プロフェッサーはその期待に応え、それだけの課題を出しているのだと思いました。
厳しく感じるプロフェッサーのせいにするのではなく、自分の取った選択にに責任を持てということですね。学校は生徒と先生がお互いに挑戦しあって良くしていくものだということをすっかり最近学校に慣れてきた私は忘れていました。
***答えを特に述べていないので、以下はご意見をいただけると嬉しいです***
“My textbook’s name is CLEAN CODE.”
少し私のコンピューターサイエンス(CS)の授業について話したいと思います。私がいるクラスはHonors Computer Science といって、Intro to Computer Science の上のクラスです。アメリカでは高校の間にAP といって、大学の単位に値する授業を取ることができます。私はAP computer scienceを取っていたので、Intro コースをとばして、Honorsクラスに行きました。両方とも言語はJavaですが、Honorsではいろいろなシステムのデザインパターンを学びます。つまり、Clean Codeを作ることが目的です。私は高校の時はオンラインのクラスを取っていたので、基本的なことはわかりますが、どのようなプログラミング、システムが”良い”のか”悪い”のかということまでは勉強しませんでした。先生の説明によって、その良し悪しを学ぶのですが、それはおおよそシステムを制作してほしい依頼者の要望に大きく影響されます。しかし、何故システムのデザインパターンを学ぶのかというと、ある程度その人の求めるものによって、何が適応するかが予測できるからです。また、Clean Codeというのは、そのプログラムを誰か他の人が編集するときにどれだけ理解しやすいコードを書けるかという基本です。解りやすく後で手直しをしやすいものを書くのが目的です。いろいろなデザインパターンを学んで、編集しやすいコードを書くのが大事ということです。
この授業を受けている最中にふと引っかかったのが、”システム作り”、”良し悪し”、”依頼者による”ということ。
自分たちが生きているところにはたくさんのシステムが存在しています。
例えば、生物学。生物にはたくさんのシステムが存在している。これは長い年月の中で自然というルールの中で築かれてきたもので、この様々なシステムの元、様々な生物が共存し生態系のバランスをとっている。自然が生み出したシステムである。
けれど政治や国家のシステムはどうだろう。多種多様な人々ににたった一つのシステムを使おうとしている。
この授業でシステムの良し悪しは依頼者によって違うということを学んだ。政治や国家のシステムの場合は要するに依頼者に該当する国民が多種多様を極めており、つまり全てを満足させられる”良い”システムを構築することはぼぼ不可能に近いと思う。
では、一つの国にいくつものシステムを搭載するというのは可能なのかというと、それはそれでいろいろな人の要望に答えることはできるかもしれないが、まとめるのがより困難になるのは目に見えてとっているコンピュータープログラマーはシステムを作るときに、いくつかの基準を基に作るシステムを選ぶ。なので、政治も同じように基準を割り出して、その基準にあうシステムを選ぶことができれば一番確実な政治制度が作ることができるのではないだろうか。例えば、日本の場合、単一国家、宗教に対しての関心度が薄い、平均賃金はーーー、少子化問題あり、など、全ての政治体制に影響する基準を割り出す。同じ行程を他の国や今まであった文明、国も行い。各国でどの政治体制が築かれ、どのような反発があったか、終わりを迎えた制度にはどのような終わり方をしたかなどを全てデータ化する。それによって、基準とシステムの関係性を明らかにする。そして、その国の基準とどういったシステムがいいのかを割り出す。そういうことを人は無意識下で行なっているのであろうけど、それを実際に膨大なデータを基に計算することは可能なのだろうか。
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◇ 2017年10月 コロンビア一年生の一日
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