【特別セミナー】真のビジョナリー・リーダーたれ!~グローバル社会における創造と変革~



パネリストプロフィール:
堀 義人(ほり・よしと)氏
グロービス経営大学院 学長
グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー

京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。 住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。1996年グロービス・キャピタル、1999年 エイパックス・グロービス・パートナーズ(現グロービス・キャピタル・パートナーズ)設立。2006年4月、グロービス経営大学院を開学。学長に就任する。若手起業家が集うYEO(Young Entrepreneur's Organization 現EO)日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム(WEF)が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード(卒業生理事)等を歴任。現在、経済同友会幹事等を務める。2008年に日本版ダボス会議である「G1サミット」を創設。2011年3月大震災後に、復興支援プロジェクトKIBOWを立ち上げ、翌年一般財団法人KIBOWを組成し、理事長を務める。いばらき大使、水戸大使。

【著書】『創造と変革の志士たちへ』(PHP研究所)、『吾人(ごじん)の任務』 (東洋経済新報社)、『人生の座標軸』(講談社)等がある。

堀義人blog:『起業家の風景』 http://blog.globis.co.jp/
Twitter:YoshiHoriGLOBIS (英語版) / YoshitoHori (日本語版)

ファシリテーター:
アゴス・ジャパン代表取締役 横山 匡

以下イベント抜粋です。

第1部:講演

住友商事から会社派遣で留学。留学前から留学中そして卒業後にどうやってグロービスを作ったかということをお話します。

留学のきっかけ
留学前は会社派遣で応募して受かりまして、留学予備校に通い東海岸4校、西海岸3校受けました。海が好きだったので真ん中は受けなかったです。MITとハーバードに合格してハーバードに決めました。留学前まではMBAが何を提供するのかもほとんど分からず、レクチャー形式とケースメゾッドの違いもわかりませんでした。経営学って何?って中で留学しました。

留学前の目標
せっかく行くのだから行く前に目標を3つ作ろうと思い、1つめは経営学を学ぶ。2つめは世界を旅行して見聞を広げる、そして3つめがネットワークを作ろうという目標を作りました。

留学をしてよかったこと
留学中は楽しかったです。自分で考えて何が正しいか経営シュミレーションをして経営者の気持ちになって入ることが楽しい。間違いなんてないので自分が好きなことを言っていいんです。ユニークな発言ほど価値あるんですね。経営がわかってきて自分の頭の構造が明らか変わって来ているのがわかりました。能力がついてきたというのがぐんぐん分かって学びが楽しいってわかったのが1つめです。

2つめはネットワークが出来ること。すごい人がたくさん同期にいたのですが、MBAと通して国内だけでなく世界でも人的ネットワークが出来てすごいと思いました。今まで大学が工学部ということもあり卒業生と交流はありませんでした。MBAはネットワークの価値が大きいですね。

3つめは生きる方向性が見つかったことです。何をしていいかわからなくて、2人の祖父が政治家と科学者で迷った末、高校3年の時に政治家になろうと思いました。僕は文系クラスだったんですが、国語の成績が悪くて文系は向いてないんじゃないかと。理系の方がいいと思って高校3年の時に理系に変えたんです。京都大学の工学部に入ったら実験がつまらなくって、こんな所にいて何がたのしいんだと思い、人間が好きだっていうことに気がついてビジネスをやっていきたいので商社に入ったわけです。自分のキャリアを探しながらもやっぱり商社は楽しかったです。
プラントボーイで数千億のプラントをどーんと東南アジアに入れてそれを総理大臣が会う度毎にこの案件やりましょうね。というようなものすごくでかい規模の商談をまとめるプロセスは楽しいと感じましたが、そこでも自分がやりたいことはまだわかっていませんでした。

起業家への興味
向こうに行くとものすごく勉強するんです。大学時代全くさぼっていた人間がものすごく勉強する。ほとんど食べる時間を惜しんで勉強しないと追いつかない。だいたい金曜日の夕方はへとへとでクラスメイトと飲みでした。僕は会社派遣でしたがいいにしても、「なんでみんなこんなハードなことをしにわざわざお金払って来てるの?」って思う訳ですよ。
そう聞くとみんなは「私には夢があるから」と答えるんです。そしてみんながいろいろ語る中でわかったことは、当時は一番優秀な人は官庁や大企業でMBAのみんなが憧れるのはベンチャー企業、プロの経営者、そして一番下が大企業でした。住友商事の名刺を持っているとなんであなたそこに?と言われるんですね。
優秀な人材はリスクをとって価値を創造せよということです。何で安全性が高い所に残っているの?という雰囲気があってそこで話をするにつれて優秀な人が俺は優秀だと思っていたのが海外にいくとそのキャリアは全く逆の構造になるんですね。そうすると起業家ってなんだろう?と興味持ち始めたんですね。

起業家精神とは
起業家精神とは自分の可能性を信じる事。MBAで学んでいるのはスキルであって能力をいくら上げても可能性を信じてリスクテイクをしないとバリューは産まれないです。賢いだけで終わっちゃいます。何かを作り上げるということは高い志を持ちながら起業家精神を発揮するマインドが必要です。頭がいい軸とマインド高く持ってチャレンジする軸は違う訳で両方必要なんです。マインドだけ空回りしている人は失敗するし、能力だけ高くても何も産まれない。経験を伴わなければ本当に頭がいいとは思えないですね。
可能性を信じるという事が僕は一番重要だと気づき、全ての可能性を無限大に持とうと思い、自分の可能性をとことんまで信じると決めました。自分の頭で冷静にしっかり考えた上で自分の可能性を閉じて、やらないと決めるのは自分の頭で納得してから決めようと思ったんですね。自分の頭に100%信頼を置いて出来ないのは明確なときだけ。
20~30ビジネスアイデアを上げていくんですね。その中から自分のブレインバーを使って2つか3つに落とし込む。出来ないなら出来ない理由を明確化してから削ると決めました。その際の1つのアイデアがハーバード大学院を越えるMBAプログラムを作ろうということ。その際に3つの円を描きました。

1つめが人。2つめが金、そして3つめが知恵。色の3元素みたいなもので3元素があれば全ての色が出来ますよね。同じように人、金、知恵があれば全てのビジネスが作れると考えたんです。人、金、知恵の生態系を作って創造変革を行うと考えました。人は日本にはビジネススクールがないから起業家が育たないしリーダーが生まれない。自分の体験からビジネススクールを作らないと!と思いました。
2つめはベンチャーキャピタルです。ベンチャーキャピタルがないことによって新たな創造が出来ないのでベンチャーキャピタルを組み合わせていこうと考えました。
3つめが知恵の部分で経営に関する知を発信する。出版であったり知恵を生み出すものを作ろうと考えたんですね。これが僕の人、金、知恵のビジョンです。

可能性を信じる
2年間のMBA期間を終え、帰国の際にそもそも何で留学したんだっけ?って考えたんです。1つめの目標である経営学はしっかり学んだ。夏の間に6週間サマージョブやってバックパックでヨーロッパを回ったり南米行ったりメキシコやカナダ、アメリカの主要都市はほとんどいったので2つめの目標も達成。3つめは向こうでボストン収支会を作ってMIT ハーバードなどの大学のネットワークを作った。何が一番よかったかと言うとこの3つでなく「可能性を信じる」ということを学んだことです。

社費で行ったので会社に所属して自分のアイデアを事業計画に落とし込み、会社内で事業提案をしました。当時総合商社から総合事業会社へというテーマだったので、2つのビジネスプランを上げて本部長に上げたんですが却下されました。会社出来なかったので自分でやろうと思いグロービスを立ち上げたんです。ただ当時29歳で、MBAホルダーとしては始めての起業家なんですね。ベンチャーキャピタルもないので、三軒茶屋のアパートを事務所にして貸教室を3時間2万円で借りて資本金80万円でグロービスを立ち上げました。

当時インターネットは使えないので、コピーを擦って郵送して学生を集め、20名でマーケティングコースを始めたのがグロービスのはじまりです。その当時30歳。可能性を信じていたのでこれをアジアNo.1の大学院にもっていくんだ!と考えました。そんな事言うとこの人頭おかしいんじゃないか?と思われる訳ですね。住友商事の会社派遣で初めてのハーバード卒業生が何を言っているんだと。その学校が21年経って2006年にMBA認可を文科省からもらって今は東京、大阪、名古屋、仙台、福岡の5キャンパスにもなり、英語のパートタイムと日本語のパートタイムそして英語のフルタイムのMBAを持つようになりました。規模の面では日本No.1です。
どのくらいの規模かというと、慶応と早稲田と一橋を足してもグロービスの方が大きいくらいです。年間550名でもハーバードの900名と比べるとまだかなわないですね。日本の規模が小さ過ぎて話にならないんです。ちなみに規模で世界で一番大きいのはハーバードです。
グロービスの英語のMBAはほぼ100%日本人以外です。日本人がフルタイムに来なくて困っていてこれは今後強化していかないといけない点で今話をしている最中です。大学院以外にも企業研修も行っていたりMBAの本を出版したりしています。それを通して思う事は可能性を信じる事は重要だということ。さらにはその中の能力を高めることが出来ると無限大のものが出来あがるんです。人間性を高めて行き、努力してリスクをとりながら新たな価値創造をしていくとものすごい大きなことが出来ると思っていてそれは教育のパワーだと思います。
MBAをもたらすのは教育を経て得られるものが多いです。昔はハーバードやスタンファードのMBAを目指していたでしょうがこれから日本ではグロービスのMBAが活躍すると確信しています。

第2部:パネルセッション

Q. この夏にボストンに行って異文化コミュニケーションの難しさを実感しました。友達までは行けるが仲間になってその中でリーダーになるというのには壁がありステップアップしていかないといけないと思いました。堀さんはそう感じた事はありますか?

A. あります。違いを認識したものに対して感情的にならないで自分の何が違うかを重用視するのが大切で、異文化コミュニケーションにもいろいろ重要なプロセスがあります。多くの人に接してもらいながら失敗と成功を感じて下さい。あとは必要に応じて議論すること。相手に対して信頼を置きながら経ていくといけます。
英語をどの年代でどの時に学んだかでコミュニケーション能力が変わって来るんですね。高校時代に留学してラグビーした場合は“Hey how’s going?”ですが、社会人留学だと”How do you do? Nice to meet you.“になるんですね。硬いレベルでのコミュニケーションが出来ないのが、大学時代の酔っぱらってわーっという時を経ると、どの次元での自分の出し方やどこまで砕けながら親しくなれるかっていうものが分かるので、なるべく早く異文化に触れる機会を作ってもっとカジュアルなコミュニケーションをできるようにすると必要に応じてロジカルなコミュニケーションをしつつも人間としてのコミュニケーションもできるようになります。
その上でリーダーシップを発揮するのは簡単じゃないです。リーダーシップスタイルっていっぱいあって、みんながいいようにしながらそれをまとめあげていくんですね。自分がリーダーというよりもファシリテーションしていく感覚でやると結構うまく行きます。一人一人の良さを出しながらも、彼ら自身が好き勝手やっているのが結果としてチームとしてまとまっていくような調整型リーダーシップを自分のビジョンを明確化した上でやっていくのが世界的な潮流だと思っています。

今世界を見ると意外にマイノリティーがリーダーになっているんですね。ハーバード大の学長は女性でビジネススクールはインド人です。マイノリティーの人たちとワスプを比べた場合に例えば日本だとおそらくマジョリティーはおやじでおやじがリーダーのど真ん中です。
ワスプの人は自分達がみんなわかっているものだと思っているからコミュニケーションしなくていいんですね。みんな同じ環境にいるので。マイノリティーの人からすると自分のことを言おうとしても聞いてもらえない。そういう中で、違いを認識した上で良さを結びつけながら調整して進めていくのが今のマーケットのリーダーシップスタイルだと認識しています。
リーダーシップは変わって来ていて、今までのリーダーシップのあり方はwarm heart, cool head。温かいコミュニケーションが出来る人からスマートコミュニケーションに変わって来ています。TwitterとかFacebookといった様々なメディア媒体がでてくるときちんとしたコミュニケーションが出来る人が重要になってきます。
コミュニケーションは独善的になるとすぐ炎上するので、相手のことをしっかり慮りながら伝えるのが大切です。結果的に見るとこの人が要ると上手く回るんだよねというような方向に今リーダーシップが変わっています。一生懸命リーダーシップを発揮するよりもなんとなくリーダーシップを発揮するほうがいいです。偉そうに命令せず柔らかく進めていった方がいいです。知識型社会になると違うリーダーシップスタイルになっていくのでそういったものを認識して自分らしさを発揮してやっていけばいいんじゃないかと思います。

Q. 人が成長するのに成長力を伸ばすものとは?また、どのような人が成長してどのような人が成長しないのか?

A. グロービスで採用する人のクライテリアで言うと3つあります。1つめは論理思考力がある人。論理的思考ができない人はいくらやっても成長しないと思っています。2つめは向上心が高い人で要は自己実現能力が高い人です。3つめは人間的な性格が良い人でこの3つがあれば大丈夫だと思っています。
その中で成長する人ですが、僕はデカルトが好きで、デカルトが「我思う、ゆえに我あり。」と言っているんですね。何を言っているかというと自分が事実として認めたこと以外は全て否定し、自分が明確に正しいと思うものを元にしてロジックを組み立てていくということ。時間をかけながらも自分なりの考え方を構築する人です。伸びない人は人から言われた事を鵜呑みにしちゃうんですね。
そうすると明確なロジックの組み立ての中で自分なりの見解ってものを持たない。したがってあるもの含めて教授も含め本当かなと疑ってかかりながら、自分の頭を整理し直して自分の言葉で発言するのが大事なんです。自分の頭で状況を否定しながら自分の頭で考えていき、議論においても簡単に納得したと思わずに完全に理解するまで納得するということをやらなければいけないんですね。
しっかり1つ1つの分野についての理解と納得を深めていって分からない事は徹底的に調べて自分の頭で納得するまで理解するのが重要です。これをやると分からなかった分野について10冊くらい本を読むんですね。それから分かることはみんな違うこと言っているんですね。そうすると自分の頭の中で最もいいと思うものを頭に入れるようになって、それを繰り返して自分なりの理解を作ることが重要なんです。そういうことを連続してやり続けながらもそれを様々な形で分解していくとバランスのある成長が生まれます。

■最後に
ご清聴ありがとうございました。英語のMBAフルタイムは世界から凄い人達が集まっているのですが、日本国内からは集まってないのが現状です。アジアNo.1を目指してフルコミットしてやっていきます。海外で名刺交換をした際にグロービスのMBAと驚かれるようにするのが僕らの目的ですのでみなさんには是非グロービスで勉強して頂ければと思います。

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