「何となくわかった気になっている症候群」を脱しよう — by 小林朋子

こんにちは。TOEFL / IELTS講師の小林です。今日は、英語を何となくわかった気になっている現象を脱することについてお話します。

英語を読んでいる時、単語の羅列を見て、その中の知っている単語から予測して一応何となくわかった気になっている方は少なからずいます。でもそういう方のスコアを聞いてみると、TOEFLで言えば15点(30点中)のように20点にいっていない方ばかりです。そういう方は、英語の文の構造、構文、論理展開など重要な視点で英語を読んでいないのです。例を挙げてみましょう。

次の文を20秒で読んで下さい。文構造(SV等)をつかめますか?

Room for a kitchen table, intended to be used by the household for informal family meals rather than by the kitchen staff for preparing meals, was provided.

文中にカンマがあるので、時間をかければそれ程難しくないと思います。文構造は、Room was provided. です。文構造を捉えられないと、intendedが動詞かな?などと思ってしまうことがあるようです。文の構造を捉えることによって、正確に読むことができるようになります。因みに冒頭のRoomは無冠詞なので「部屋」ではありません。場所とか空間といった意味です。

構文ではどうでしょうか。次の文を読んで下さい。

These conditions are hostile to plants, making it difficult for new growth to become established in the enriched soil.

makingがどういう使い方なのか、またmaking itのitが何を指しているか理解できますか?makingは分詞構文、itは仮目的語で不定詞to become~を指しています。高校生くらいで理解できる構文です。

では、次の文の論理展開を考えてみましょう。

While most physicians refused to deal with Beethoven after encountering his ill temper, supporters of his music refused to abandon him because of the radical changes he had brought about as a composer.

冒頭のWhileは対比の関係を表します。何と何が対比されているでしょう? 「ほとんどの医者がベートーベンを診ることを拒否した」という内容と、「ベートーベンの支援者は彼を見捨てることを拒否した」。ざっくり言えば、一方はベートーベンを見捨て、他方は見捨てないという対比です。さらに支援者が見捨てない理由も述べられています。「作曲家としてベートーベンがもたらした根本的な変革」です。つまりこの一文の中に、対比と因果の論理関係が含まれています。このような論理関係は文と文の関係でもよく見られます。TOEFLやIELTSの英語を読むときは、どのような論理展開になっているのかをしっかり意識して捉えていくことが重要です。これはリスニングの講義を聞くときも同じです。

これまで述べてきたような読み方ができていけば、TOEFLやIELTSのリーディングだけでなく、留学してからの学習でも役立ちます。何となく読むのではなく、意識して読んでみましょう!