TOEFL iBT®: Campus Conversationのススメ — by 松園保則

皆さん、こんにちは。新しくなったブログでは初めて登場する、TOEFL/IELTS講師の松園です。

前のバージョンのブログでは、TOEFL iBT®の「アカデミック」なコンテンツを何度か書きました。久しぶりに書く今回のブログでは、角度を変えて「Campus Conversation」について触れてみたいと思います。

TOEFL iBT®は「アカデミックな題材」という印象が強く、TOEFL iBT®に関する話題の中で影を潜めているのが「Campus Conversation」です。Campus Conversationとは、The Official Guide to the TOEFL® Test Fourth Edition p. 14の“Conversations in an Academic Setting”に該当するもので、Listeningにおいて2~3題、Speakingにおいて2題(Task 3&5)登場します。

私はアゴス渋谷校でTOEFL Listening関連のクラスを長年担当していますが、このCampus Conversationに対して苦手意識がある生徒さんが案外多いと日頃感じています。また、TOEFL対策において、講義形式の題材を優先してCampus Conversationを後回しにしている方も見かけます。講義形式に対する対策が大事なのは言うまでもありません。ただ、私としては、Campus Conversationを苦手とする方はもちろん、これから留学するかどうか悩んでいる方や、日常会話独特の言い回しをたくさん知りたい方などにも、Campus Conversationの題材を使った学習を強くオススメしたいと思っています。以下に、その理由をいくつか挙げてみます。

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1. 生の会話の速度に慣れることができる
Campus Conversationでは、2人の登場人物がある話題について3分程度会話をし続けます。その速さは、(英語圏を中心とした)留学先で繰り広げられる会話の速さとだいたい同じくらいだと私は感じています。Listeningに不慣れな方でCampus Conversationの題材を初めて聞くと「とにかく速い!」という印象を持たれる可能性が高いでしょう。そういった題材の音声を聞いたり、音声を聞きながらその音声をまねて後を追うように発する(これは「シャドーイング」という練習法です)といった練習を繰り返すうちに、自然とCampus Conversationの速度にも慣れてきます。結果として、「生」の会話の速度に対して「速い!」という印象が薄らいでくることが期待できます。

2. 留学生活を疑似体験できる
Campus Conversationでは、大学生(または大学院生)を主人公とした、キャンパスライフに関する話題が数多く登場します。履修手続き、講義やディスカッションの準備、コンピューターラボの使い方、寮生活におけるトラブルなどがその典型例です。このような話題に多く触れることは、別の見方をすると「留学生活を疑似体験している」ことになります。TOEFL iBTを受ける方のほとんどは、「今後留学すると決めている方」や「この先留学を検討中の方」だと思いますから、Campus Conversationの題材を通じて、「自分が留学するとこんなことが起こるんだなぁ」、「こんな問題点が起こったらこう対処してみよう」といった発見に繋がり、モチベーションアップも期待できます。

ちなみに、TOEFL Listening Campus Conversationでは、抱えている問題点に対して話し相手の女性に呆れられる男子学生や、4年生なのに1年生の授業を履修していなかった男子学生などの「ダメ男子」がよく登場します(笑)。

3. 口語独特の言い回しを多く学べる
Campus Conversationでは、口語独特の言い回しがよく使われていて、中には読んでも意味がつかみにくく感じるものも登場します。例えば、The Official Guide to the TOEFL® Test Fourth Edition p. 144で以下のようなセリフが出て来ます。

Professor:
How far along have you gotten?

皆さん、これがどのような意味かわかりますか?

これは、学生があるレポートの相談をするために教授に会いに来た場面で使われています。その際、教授が学生に対して「(そのレポートは)どのくらい進んでいますか?」と聞いているのが、先ほどの文の意味です。なお、far alongは「(プロジェクトなどが)進んでいる」という意味の表現です。

このような表現に遭遇した場合、単に「へぇ、そうなんだぁ」と感じて終わるのではなく、自分の身体の中にすり込むかの如く何度も発してみましょう。そして、すり込んだ表現を皆さんが英語で話す時に積極的に使ってみましょう。すると、「あの時覚えた表現を自分が使えている!」といった喜びを感じられるはずです。

ちなみに、TOEFL iBT Listeningの過去問を分析する中で、”get the hang of(…のコツを掴む)“という表現に遭遇したことがあります。この表現は、私がイギリスの大学院に留学していた頃に、論文の指導教官に対して授業に関する相談をメールでやりとりしていた中で、自分が考えたアイデアに対して指導教官が”You’ve gotten the hang of them, Yasu!(ヤス、コツを掴んだわね!)と返答してくれた時に使われていた表現です。留学中に指導教官からいただいた表現に何年も経過した後にTOEFLの過去問で遭遇するというのは、この仕事をしているからこそ起こることなのだろうと感じています。

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「生の会話の速度に慣れることができる」、「留学生活を疑似体験できる」、「口語独特の言い回しを学べる」といった良さを噛み締めながら、Campus Conversationの題材を是非ともフル活用していただきたいと願っています。