GMAT「前半の問題の重要性」について – by 中山道生

アゴス・ジャパンGMAT講師の中山です。

今回は、GMATの採点方法に関しての有名な都市伝説の1つに関して、詳しく解説したいと思います。

GMAT Verbal/Quantitativeセクションの採点方法については、「受験者のレベルに合わせて問題の難易度が変動する」「難しい問題ほど重要度が高い」「最後まで終わらないと厳しいペナルティがある」ということ以外、詳しいアルゴリズムは正式に発表されていません。

そのため、1997年にGMATがペーパー試験からコンピュータ試験に変わって以来、試験での時間配分のベスト戦略については、試験対策校や受験者の間で様々な憶測がなされてきました。

広く語り継がれているGMAT都市伝説としては、「GMATの試験では、最初の10問が決定的に重要だ」あるいは「最初の5問は絶対に間違えてはいけない。最初を間違えると、後半どんなにがんばっても、高得点は出ない」などという話が有名です。

しかし、試験運営会社であるGMACは、公式サイトでもOfficial Guideの中でも、「最初の10問が決定的に重要である」という「神話」をはっきりと否定しています。

この都市伝説がもたらす最も大きな弊害は、試験の途中で易しい問題に出合ったとき、「前半で間違えてしまったので、ここからは、どんなにがんばっても今回のテストでは高得点を取れないのではないか?」と不安にさせられてしまうことです。

たしかに、ほとんどの日本人が満点を目指すMathセクションでは、最初の方の平均レベルの問題を間違えてしまうと満点近くを取ることが難しくなるため、50~51点を目指す場合は1問も落とさないほうがいいのは事実です。(最初の何問かを間違えても48~49点を出すことは可能です)

一方、Verbalでは、そもそもMathとは前提となる「目標スコア」が大きく異なります。

例えば、トップ校と言われるビジネススクール出願で有利になるGMATトータル700点~740点以上のスコアを狙う場合でも、Verbalの場合は45点以上を取る必要がありません。

Math が50点近くあれば、Verbal 30~40点でトータル680~740点になります。

したがって、Verbalセクションでは、最初の問題にそれほど極端にこだわる必要はないのです。

Verbal 30~40点を目指そうとする場合には、最初の方で何問か間違えても、後半で挽回して、全体的に相当の実力を発揮できさえすれば十分に目標スコアを達成できるわけです。

以上の点を踏まえると、やはり試験の前半で時間をかけすぎて後半を急いでしまうのは、賢明な時間配分とは言えません。

ただ、多くの受験者の方は、苦手意識があるVerbalセクションに入ると緊張してしまうからか、「Verbalの最初の数問が非常に難しく感じた」という失敗談を語ることが多いです。

それを踏まえると、「最初の数問は慎重に解き始めるべき」という試験戦略はある程度、理にかなっているとも言えます。

結論としては、特にVerbalセクションでは、試験の最初から最後までコンスタントなペースで実力を発揮できるように、「どちらかと言うと、最初の方を慎重に」という程度のバランスの取れた時間配分がベストなのではないでしょうか。