英語リスニングの壁:リエゾン(その2)– by 加藤

今回は、英語のリエゾンに関する「こぼれ話」をご紹介します。

よく生徒さんから、「英語のリエゾンは『子音+母音』と並ぶと必ず起こるものなのでしょうか?」というご質問を受けることがあります。その答えは、「必ずではないものの、かなり頻繁に起こります」です。

こんな経験がありました。
今から数年前の2014年のことです。
アゴスの社命により、講師の土橋先生と私とで、TOEFL iBT対策の参考書を共著で執筆していました(河合出版さんより翌年刊行されましたので、ご興味のある方は調べてみてください)。

原稿の執筆と校正作業もほぼ終わり、付属CDの音声データをスタジオ録音することになりました。それに監修役として、土橋先生と私とが同席することになったのです。

場所は、東京某所のマンションにあるスタジオです。
あらかじめ手配していた米国人女性ナレーターと、英国人男性ナレーターがスタジオに現れました。事前に当方で完成し渡してあった英文原稿を読み上げてもらう、という作業を半日以上かけて行いました。

WritingセクションのIntegrated task用に、講義を録音してもらう段になりました。台本の中には次の文がありました:

First, girls do not do better at all-girl schools.

当然ながら、その米国人女性ナレーターは、後半のat allの部分を「アトール」とばっちりリエゾンを利かせて発音します。心地よい響きです。
ですがそこで、加藤が手を上げてガラスの向こう(録音室)にいる彼女にお願いをします。
次のようなやり取りがありました:

加藤: 「今回は高校生用の教材なので、少し易しめにし、あえて若干聞き取りやすい音声にしたいと思います。そこの部分をリエゾンせず(繋げず)に発音して頂けますか?」

米国人女性ナレーター: 「I can’t! (できません!)」
(その後のやり取りで分かったのは、「やりたくない」という意味ではなく、「そういう発音は普通文中でしないので、やろうと思ってもできない」ということです。)

加藤&土橋先生:「え!?」 (2人で顔を見合わせ、驚きで目と目が合う。)
(心の声:「僕らは日本人だけど、at allを離してat all-girl schoolsと発音できるよね! 僕らの方が偉いじゃん!」(爆))

というやり取りがありました。
もちろん、最後の加藤&土橋の(  )の部分は心の声であり、実際に声に出したやり取りはありませんでした(当然ですが)。

どちらにしても、ここで分かったことは、ネイティブスピーカーは、「子音+母音」と並ぶと、少なくとも自然な話し方ではその子音と母音を文中で分けて発音することができない、ということです。言い換えれば、それくらい頻繁に、ほぼ必ずと言っていいほど、「子音+母音」の並びではリエゾンが生じると考えていた方が無難である、ということです。

皆さんが英語を聞き取る際には、そのことを念頭に置いて聞きましょう。
以上、リエゾンについて、ちょっとした参考になれば幸いです。