語彙の習得 — by 柳澤洋美

TOEFLやIELTSの受験勉強に欠かせないのが「英単語の暗記」です。リーディング(長文読解)のセクションにおいて、単語力がある人とない人では大きな差がつきます。だから、受験をすると決めたあら、なるべく早い段階で単語力をつけましょう。

まず「量」を強化する。「量」がなければ、まとまった英文を読むことは困難だからです。お持ちの単語帳にある意味を覚えるのですが、最初の意味のみを覚えます。それを「見出し語」と言ったりします。単語はもちろん、複数意味を持っていますが、まずは、「見出し語」暗記に集中してください。

「量」を制覇したあとは、「質」へ転換させましょう。単語を文脈で覚えます。たとえば、「TOEFLテストボキャブラリー+例文3900」から引用すれば、integralの見出し語「不可欠の」と覚えたあと、単文「An engine is an integral part of a car.」=「エンジンは車の不可欠な部分である」と単語を文の中で訳せるようになって初めて、「語彙が定着した」と言えます。

お忙しい皆さんにとって、時間が2倍かかるじゃないか!と言いたくなりますね。たとえば「量」を通学・通勤時間などに、自分で目標を作り、限られた時間で覚える。そして、その夜、学校(会社)から帰って静かな集中できるときに、朝覚えた単語を文脈で確認する「質」で覚える。そのときに文章を音読、あるいは音源を使って覚えるというのもいいです。語彙習得は「量と質」を行って、初めてテストで力を発揮してくれます。ぜひお試しください。

Writingセクション攻略のために(その3):英文のタイピング練習!— by 米田

授業で教えていてよく受ける相談やお悩みの中に、「タイピングが遅いんです。どうしたらいいでしょうか?」というものがあります。
iBTでも、またIELTSであればCDIでも、スピーディーにタイピング出来る能力は非常に重要ですね。日本語であれば早く打ち込めるのに英語だとなかなか難しい、とか、暗記したはずのテンプレートがあるのにそれを設定時間内で打ち込みきれないなど、身に覚えのある方もいらっしゃるかと思います。ETSの”Official Guide”(TOEFL)にも、そのp. 669(6th Edition)で、”Using a Computer to Write”という項目があり、手書きよりもPC打ち込みで普段から練習するように勧められています。

因みに、TOEFLとは関係なく一般的なワープロタイピングの実力チェックには、大学生や社会人だと以下のウェブサイトがよく使用されているようです。ゲーム感覚でローマ字タイピングの能力チェック(速度と正確さのスコア判定)が出来るので、一度試してみて自分のタイピングレベルを把握しておくのもよいでしょう。
・例)https://www.e-typing.ne.jp

冒頭の質問に対する回答はと言えば、やはり練習するしかありませんよね。英文のタイピング練習が出来るウェブサイトも色々と存在しますので、そうしたものを活用するのも一案です。1分間に何単語打ち込めるか=WPMで速度を測ることが多いようですが、大体40WPMを超えると早いとみなされるようです。
・例)https://www.keybr.com

ただ、皆さんはスコアUPのために最短距離を行きたい訳で、“タイピングが速くなる”のはその為の通過点です。ですから、学習効果も踏まえて行うべきはやはり、「サンプルEssayのタイピング練習」に尽きると思います。

AGOSのWritingの授業で使用するManualには、高得点に繋がる多様な文構造やきらりと光る巧みな言い回し、ネイティブから見て自然な表現が散りばめられています。また、論理的で一貫性のある文の繋げ方、紡ぎ方も知ることが出来ます。そうしたEssayをよく分析した上で、タイピング練習の素材として自分の中に沁み込ませる過程を経ていくと、タイピングも勿論徐々に速くなっていきますし、Writing能力そのものが向上していきます。

「当たり前のこと」と思われるかもしれませんが、意外と皆が実践されているという訳ではなく、相談を受けた時にお尋ねすると、「…実はあまりやったことありません💦」という答えが返ってきたりします。

実際にやってみる方の為に、幾つかアドバイスを。
①音読しながらタイピングしましょうーそうすることで、ただ黙って打ち込むよりも表現や構文が記憶に定着し、口をついて出やすくなります。
②同じサンプルEssayをただ1回ではなく、“何回も”打ち込みの練習をし、その度に時間を測っておきましょう。また、午前中、午後、夕方、夜、といった感じで、色々な時間帯に行ってみましょう。そして必ず毎回時間を計測し、“速くなってきている”という手応えを掴みましょう。
③WritingのサンプルEssayの打ち込み演習がルーティーンになって軌道に乗ってきたら、ReadingのPassage、Listeningで学んだLectureのスクリプトなども折角ですから題材として“タイピング処理”しておきましょう。

「タイピングが遅くて、折角Essayに盛り込む考え・論点・アイディアは頭の中にあるのに、それが画面上で文字になっていかない…」というフラストレーションがなくなれば、より内容面に集中してEssayを書けるようになります。頑張りましょう!

英語リスニングの壁:リエゾン(その1) – by 加藤

日本人英語学習者にとって、ネイティブがナチュラルスピードで話す英語を聞き取りにくくしている要因の一つに、「リエゾン」という現象があります。

このリエゾンとは、もともとフランス語における連音の一種のことらしいのですが、英語でも頻繁に起こります。別々の2単語が並んでいても、「子音+母音」が並ぶと音が結合してしまう現象のことです。

分かりやすい例で言えば、Let it go.(懐かしい!ですね)が「レリゴー」のように発音されることですね。この場合は、letの最後の子音である「t」の音と、itの最初の母音である「i」が結合し「ティ」のような音に変化します。「レティ(ト)ゴー」でも良いのですが、米音の場合は、さらにtの音が日本語でいえばラ行に近い音になりますので、結局「レリゴー」に近い発音となります。

Let it go.「レリゴー」のように、非常になじみのある言葉なら良いのですが、そうでない場合、このリエゾンという現象は、ネイティブが話す英語を我々日本人が聞き取る上でしばしば壁となり得ます。

たとえば、Dictation練習をしている日本人英語学習者(初級)が、スクリプトを見ずに音声だけを2,3度聞いて、次のように書き取ったとします。どうしても分からない部分はカタカナで書きとりました:

Iシュダブstayダゥドブtrouble.

(勘の良い方ならば、またはDictationに慣れている方ならば、ここから自分が知っている英文に組み立てられるかもしれません。)しかし、この英語学習者がスクリプトを見たら、次のように書いてあり、愕然とします:

I should have stayed out of trouble.

すべて馴染みのある簡単な単語ばかりが並んでいます。なぜ、この英文が上記のような音に聞こえてしまったのでしょうか?

まず、ネイティブはhの音を弱化または無音化させる傾向にあるので、should haveの部分はまるでshould ofであるかのように発音します。さらに、このshouldの「d」とofの「o」がリエゾンを起こし、「ド」か「(米音では)ダ」のように発音します。
stayed out はステイダウドのようになります。out ofの部分も同様に、「t」と「o」がくっついて「ト」か「ド」に近い音になります。
やはり、リエゾンが英語を聞き取りにくくしていたのですね。

これらの法則は、アゴス・ジャパンのTOEFLやIELTSの特にリスニング初級(Foundation / Base)クラスで学習します。また、Dictationと音マネをすることによって、時間はかかりますが、これをマスターすることができます。
頑張ってください!

Writingセクション攻略のために(その2):英“借”文を意識して書いていく— by 米田

皆さんは“英作文”を学校の授業などで習ったことがありますか? 日本語で〇〇という内容が指定されていて、それを習った文法に基づいて、与えられている英単語を使って順序正しい英文にしなさい、的な問題を通して学習してきたと思います。お手本となる英文があって、そして部品となる十分な英単語が与えられていれば、練習を積んでコツを掴めば書きやすくなったのではないでしょうか。つまり、TOEFLにしてもIELTSにしても、自分の中で思い浮かんだ内容を自在に英文にしていけるようになる前段階として、「書きたい内容」を自然な英文に落とし込むためには、“パーツ”である単語の知識に加えて、“フレーム”とも言える自然な英語構文を十分自分の中に蓄えておく必要がある、ということです。その為に、アゴスの受講生の皆さんが熱心に取り組むのが“英借”です。

例えば、TOEFLのIndependent Taskではよく自分の体験談を用いて理由を説明する、ということがありますね。そういう時には場面設定の文から書き始めることが多いかもしれません。


・サンプル元;During my freshman year at Osaka University in 2012, I took an English literature class.


上記の文を言わば“ネタ元”として、“パーツ”を状況に応じて、また自分の書きたいこと
に応じて書き換えていくこと、その練習をするのが「英借文」です。


・英借文の例;During my junior year at Nagoya University in 2009, I took a Japanese art history class. 

*赤字部分が書き換えた“パーツ”です。

仕組みは単純ですが、この調子で良質なサンプル英文、つまりネイティブにとって自然
な英文の構造を自分の中に蓄え、それをサンプリング(=英借)して様々なアレンジを加
えていく練習を積むこと、これが英語として自然なEssay作成の素地を養うことにな
ります。アゴスのライティングの授業では、TOEFLでもIELTSでも、この“英借”演習
を非常に重視しており、しっかり取り組んだ方は、出題されるトピックが様々でも、落
ち着いて対応出来るようになり、「書きたいことが書ける」ようになってきた、と仰い
ます。

何となく「暗記勝負」というイメージを持たれるかもしれませんね。でも実は、単に英文を丸暗記する訳ではなく、サンプル元となる英文を構造を意識しながら暗記はしますが、それに基づいて自分なりの“パーツ”で書き換えていくので、ネイティブにとって自然な表現や構文を自分のものにしつつ、オリジナルな内容を書けるようになります。そして、元になる英文がしっかりしていれば、英借の範囲内で書くことによりミスが減り、シンプルでクリアな印象を与える文が書けるようになっていきます。
では、折角なのでもう一文。


・サンプル元;How much and how deeply you can sleep differs depending on your age.

「〇〇は■■によって変わってくる、次第である」という意味合いの文です。青字部分を基盤として、それ以外を自分の“パーツ”つまり“書きたい内容・表現”で書き換えます。
授業で上記の文から、以下のように英借して下さった方がおられました。


・例;How much money you are able to earn differs depending on your job title.

皆さんもご自分なりに一文、英借なさってみて下さい。

TOEFL Essentialsテスト(ETSの新しい英語能力評価テスト)が始まりました

掲題について、TOEFLテスト日本事務局のETS Japan、TOEFL事業部から下記のご連絡を頂きました:

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米国の非営利教育団体であるETS(本社:米国ニュージャージー州プリンストン)は、2021年8月21日に新しい英語能力評価テストであるTOEFL Essentialsテストの実施を開始いたしました。

ETS Japanでは、日本国内の英語学習者の皆様を対象にした日本語のWebサイトを公開しております。



TOEFL Essentialsテスト受験者向け日本語Webサイト トップページ

https://r31.smp.ne.jp/u/No/6793387/i35l2aH7ci0D_0/toeflessentials.html



テストの特徴、受験料金、申込方法、受験当日の流れ、スコアスケールなどから、他の主要な国際基準の英語テストとの違いや教育機関での採用状況なども掲載しています。

既に公開されている英語のTest Takersサイトに加え母語での情報収集により、テスト詳細の理解促進にお役立ていただければ幸いです。



TOEFL Essentialsテスト 受験者向け日本語Webサイト公開のリリース

https://www.toefl-ibt.jp/release/20210811.html

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これから留学準備をしたいという皆さんへ。「いきなり長文はダメ!」の話 — by 柳澤洋美

英語の勉強には順番があります。

まず1つ目は「英単語の暗記」です。まずは1カ月かけて、とにかく単語集を1冊それだけやる。文法は? 長文読解は?と焦る気持ちを抑えて、単語の暗記に専念しましょう。

その次は「英文法の習得」です。これも1カ月かけて、中高の文法問題集を1冊やってみましょう。忘れていた文法を思い出しましょう。文法に自信がないと言う方は中学の英文法問題集1冊を2週間でやる。そして、少し難易度が上がった高校の英文法問題集1冊を2週間で解く。これで1カ月です。

いきなり長文を解いたところで、単語も分からない、文法がしっかり入っていないので訳せない…それでは長文をやってもあまり意味がないし、第一、見直しするのに辞書を引きながら、文法書を見ながらでは効率が悪すぎます。まずは単語と文法をこなして英語の基礎力をつけましょう。

ただし、アゴスにも「時間がないんです!」という生徒さんがたくさんいらっしゃいます。そうすると、単語・文法・長文と並行して学ぶしかないですね。特にお時間のない社会人の皆さんにとっては仕方ないかもしれません。そういう「時間ないんです」という皆さんへのカリキュラムでクラスを進めていきます。確かに大変ですが、宿題などをこなしていただければ、志望校の合格も勝ち取れる自慢のカリキュラムです!

でも~、もし今、このブログを読んでいただいている方で、留学までの時間が比較的ある方…。並行して学ぶ方法はスーパー大変です。同時進行で3つをやるよりは、1つずつ丁寧にこなしていった方が絶対に頭に入っていきます。そして、学習の定着もいいです。「単語→文法→長文」…これが理想の英語の勉強の順番です。

ETS Japanが設立されました

本年6月15日より、ETSの子会社として、ETS Japanが設立されました。
以下のご連絡がありましたので、皆さまに共有いたします。

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このたび一般社団法人CIEE国際教育交換協議会は、令和3年6月14日をもちまして、TOEFL®テストに関する事業を修了し、翌6月15日以降はETS Japan合同会社が同事業を運営していくことについて同社との間で合意に至りましたことをここにお知らせいたします。
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以上が、CIEE代表理事の磯田太郎様名義でのご連絡です。

なお、以下がETS Japanのウェブサイトです:

https://www.toefl-ibt.jp/

英単語学習法(その1):例文の中で覚える!– by 加藤

TOEFL®にしてもIELTSにしても、高スコア獲得のためには語彙力の増強が欠かせません。私が自分でも実践し、生徒さん達にもお勧めしている英単語学習法は以下です:

(1)例文や用例の中で覚える (→ 連語や語のニュアンスも身に付く)
(2)強勢の位置と正しい発音を意識しながら、例文や用例を口ずさんで覚える
(3)分かる場合は語源の理解と共に覚える
(4)分かる場合は派生語と共に覚える

今回は上記の特に(1)と(2)に光を当てます。
たとえば、『TOEFL®テストボキャブラリー+例文3900』(アゴス 岡田&松園著/The Japan Times社刊)のp. 153に、80点突破レベルの単語として、次の項目が載っています:

synthesize:(動)合成する、統合する
Scientists are trying to synthesize the two metals.
科学者たちはその2つの金属を合成しようとしている。

単純に「1語1語訳」(英単語1語につき、1つか2つの日本語の訳語)だけで暗記するとなると、「synthesize:(動)合成する、統合する」だけを見て覚えることになります。

しかし、例文を見ると「~ synthesize the two metals.(下線部は加藤)」とあります。これで、「2つ(またはそれ以上)の異なるものを合成する、合わせる」ことだと分かります。

つまり、synthesizeという単語の日本語訳だけを暗記していたのでは分からないかもしれない

(A)語の使い方(他動詞であること。連語(コロケーション)のパターン)や、
(B)より深いニュアンス、
と共に覚えることができ、
(C)実際に自分でもその単語をアウトプット(writingとspeaking)する時に、自信をもって文の中で使える(!)
ことにも繋がります。
さらに、「1語1語訳」で覚える場合よりも、

(D)その単語の意味を覚えやすく、かつ、忘れにくくなります。

英単語を例文の中で覚えると、なんと、以上(A)~(D)の利点があるのです。
是非、英単語は例文の中で口ずさんで体得するようにしましょう!

TOEFL iBT®︎自宅受験版(Special Home Ed.)の実施期間さらに延長;12/31まで!

以前(9月)にこちらのブログでお知らせした情報のアップデートです。

TOEFL iBTの自宅受験版の実施期間が12/31までに延長されています。

https://www.ets.org/s/cv/toefl/at-home/

自宅の静かな環境で落ち着いて受験できます!
ただし、こちらのスコアを正式なものとして受け付ける教育機関とそうでないところもありますので、ご自身でご確認の上、ご受験ください。

(教務部)