◇ 2013年8月 UCLAの夏学期~日本人としての自覚~
はじめまして!今月からブログを書かせてもらうことになりました石原萌惠と申します。渋谷教育学園幕張高校(渋幕)出身で、秋からUCLAに進学します。海外経験は1ヶ月の語学留学を除いてほぼ無いですが、渋幕の環境や様々なサマースクールでの経験から、高2の時に海外大学受験を決定しました。と同時に日米併願することも決めました。当初は高校卒業からアメリカの大学入学まで日本の大学に在籍するつもりだったのですが、結果的に日本の大学には入学せず、5ヶ月くらいフリーターしてました。笑 今はすでにUCLAにいて夏学期を取っています。
ブログに関しては全くの初心者ですが、AGOS横山会長も愛して止まない(笑)UCLAの魅力を精一杯レポートしていきたいと思うのでよろしくお願いします!
<ギャップタームの過ごし方>
日本の受験をしている最中や終わった直後は、約半年間を日本の大学で過ごすつもりでいました。が、いざ結果が出て、入学するか否か考えてみたときに、「半年の間、大学で得られるものと大学行かずに得られるものと、どっちの方が大きいか?」という問いにぶつかり、私が出した答えは、大学に行かずに自分のやりたいことをやる、でした。ここら辺の考え方は人によりけりだと思いますが、私の場合は、こんなにまとまった自由な時間はこの先ほとんど無いだろうということで、自分の好きなように過ごしました。
ただし、野村君も先月号で言っているように、決まったスケジュールのない毎日を有意義に過ごすことは本当に難しいです。英語・中国語を勉強する、日本中を一人旅する、アルバイトに打ち込む、などなど、ここでは書ききれないほど多くの、今までやりたかったけど時間がなくて出来なかったもの、それらを半年間でやるつもりだったんですけど、実際にはその半分もできていません。じゃあ何をしていたかというと、バイトして、色々な大学の授業に潜って、読みたかった本読んで、見たかった映画見て、友達と会って…遊んでばっかりみたいですね…。これはこれで良かったんですよ、時間に縛られずに色々なことをするっていう経験ができたし、こんなにストレスと無縁な生活は今までも、そしてこれからも絶対ないと思うので。でも、せっかくこんな機会があったなら、もうちょっと有意義に過ごせたら良かったな~と思う今日この頃です。
<CSI~College Summer Institution~>
さて、こんな感じでのんべんだらりと日々を過ごしていた私は、このままで秋からの授業についていけるのだろうかという不安をひしひしと感じていました。ただでさえ十分じゃない英語力が日に日に落ちていっているのに加え、UCLAはquarterつまり4学期制を取っているので、秋学期が始まるのが9月下旬、他の大学よりかなり遅いのです。このままじゃマズい…と思っていたとき、大学のHPで見つけたのが、タイトルにあるCSI - College Summer Institute - という7週間のプログラムでした。これはオリエンテーションに参加したあと、そのままUCLAの寮に住み、夏学期の授業を取れるというもので、ここで取った単位や成績は正式なものとしてカウントされます。CSIはまさに私が求めていたものでした。School yearが始まる前にキャンパスや街の様子を知ることができる、知り合い・友達をつくることができる、普段より少ない人数で基礎クラスを取ることが出来る、しかもその単位は正式に認められるから卒業に一歩近づく…。何よりも、英語のハンディキャップを埋めるには、一刻も早く英語圏に身をおくのが一番いいです。そういうわけで、7月29日から始まるこのプログラムに参加して、とても信じられないですが、早くも1ヶ月が経とうとしています。この短いながらも濃い期間で、思うところや書きたいことはたくさんありますが、授業(MathとEnglish Composition)やその他様々なイベントは次回扱うことにして、今回はCSIの始めの3日間に行われたオリエンテーションについて書こうと思います。
<到着~さっそく英語の試練~>
成田空港を出発して10時間弱、私は大きなトラブルもなく大学のキャンパスに着きました。東京の蒸し暑さとは全く無縁の、ドライで涼しい風、抜けるような青空と、その青空にとても良く映えるオレンジを基調としたキャンパス…ここで4年間を過ごすのかとひとしきり感慨に耽ったあと、早速夏学期を過ごす寮に移動しました。部屋は3人部屋ですが、2部屋でトイレとシャワールームを共用するという、UCLAの寮の中ではかなり良い方の部屋です(ちなみに私が秋から住む寮は各フロアでトイレとシャワーを共用します…)。荷物を置いて、昼食を取って、やっと一息…つけませんでした。すっかり忘れていたのですが、その日は夏学期に取る英語のクラス分けテストがあったのです。時差ぼけと寝不足から来る強烈な睡魔と疲労のなかで、2時間のエッセー作成は本当に鬼畜でした。もうとりあえず「書いた」って感じで、そのテストの記憶はもうありません。笑 そのあとUCLAがあるWestwoodという街を散策したり、バーベキューがあったりしたのですが、本当に眠くて、残念ながら楽しむ余裕はなかったです…ふらふらすぎて初対面の子に肩を貸してもらうほどでした。ちなみにその子とは今ではとても良い友達です。
<オリエンテーション>
●オリエンテーションは工夫に富んでいる
次の日から3日間のオリエンテーションが始まりました。オリエンテーションの主な目的はUCLAのキャンパスやそこでの生活を知ること、そして秋学期の授業を選択することの2つです。多くの大学では秋学期が始まる直前に新入生全員でオリエンテーションを行うようですが、UCLAのような州立大学は概して生徒数が多く(新入生だけで1万人以上)、とてもとても一斉にオリエンテーションをやることなど出来ません。そこでオリエンテーションは夏の間に12回に分けて行い、1回のオリエンテーションの中でさらに専攻別に新入生を分けます。そして3日間はその専攻別のグループで行動します。グループはだいたい10人くらいの新入生+1人のNew Student Adviser, NSAと呼ばれる2年生で構成されており、出来るだけ少人数の環境を作ろうと工夫がされています。しかも同じ専攻の生徒で割り振っているので、これから4年間付き合うことになる友達と知り合うことができるのです。お互い必修科目に対する不安であったり、将来やりたいことであったり、同じ専攻だから分かり合える、でも一人一人はっきりと違う、喋っていて本当に面白かったです。
●オリエンテーション1日目~多様性~
では実際にどんな風にオリエンテーションが進められたかというと、1日目はまず山のようなプレゼンを聞いて、それらのうち何個かについてはグループでディスカッションをしました。プレゼンはWelcome noteから始まり、高校と大学の違い、大学におけるwriting、何人かのNSAによる経験談に至るまで、テーマもプレゼンテーターも幅広く、どれも興味深かったです。何よりも刺激的だったのはディスカッション。特に多様性というテーマについての時はすごく活発に意見が飛び交っていました。というのも私のグループはAfrican American, Asian American, サウジアラビア、インド、プエルトリコ出身の子などなど、すごく多様性に富んでいたからです。今でも黒人に対する偏見や差別があること、外見でいつもメキシコ人と間違えられて嫌な思いをしていること、ヒジャブという、イスラム圏の女性が頭に巻く布について、アジア人と一括りにされることに対する思いなど赤裸々に語られる言葉は、日本にいるときはなかなか触れられない考え方で、アメリカに来て良かったなと心から思いました。多様性は、私がアメリカの大学に進学することを決めた理由の一つだったからです。今まで触れたことのない考え方やバックグラウンドを持つ人たちと交流することで自分の世界を広げる。同時に、今まであまり意識していなかった日本人としての自分や自分のアイデンティティーそのものについて考えるきっかけが得られる…留学経験者からよく聞く言葉ですよね。でも実際にそうなんです。多様性についてディスカッションをしている最中、私はずっと日本に多様性ってあるのだろうかと考えていました。アメリカに存在する人種や言語、文化の多様性に比べたら、日本はほぼ同じ人種で、日本語を話し、同じ文化のもと生活している。どちらかというと多様性よりも皆で歩調を合わせることを好む民族なのではないかと。そう発言しようとして、やっぱり止めました。グループのなかでただ一人の日本人、彼らにとってみれば日本人の代表である者として発言するには私は日本について知らなすぎる。私が知っている日本人は結局私が今まで関わってきた人たちだけで、その他の圧倒的大多数の日本人について私は知らない。また今まで積極的に知ろうとしてこなかったのも事実です。考える必要がなかった。しかし、このオリエンテーションのたった一つのディスカッションを通してその必要性を実感しました。日本人の代表、というと大げさに聞こえるかもしれませんが、実際に彼らは私を通してまず日本を知ります。そのことからくる責任感や、今までと違う多様性に富む環境がアイデンティティーに対する感覚を鋭くし、知らなきゃいけないことがたくさんあると気づかせてくれました。話をオリエンテーションに戻すと、1日目の夜はNSAたちによるパフォーマンスを見て、そのあとはポーカーやクラブ、ゲームコーナーなど色々な催しが深夜0時まで続きました。長い一日でした。
●オリエンテーション2日目・3日目~クラス履修~
2日目は主にクラス履修や様々なプログラムについてのパネルディスカッションを通して、秋学期に取るクラスを絞っていきました。NSAとの1対1のコンサルティングも2回して、UCLAでの生活、クラス履修に関する不安や期待について話しました。NSAはすごく気さくで、先輩というより友達に近い感覚で色々教えてくれます。オリエンテーションが終わった今でも、キャンパスで会ったら最近どうしてるか聞いてくれたり、分からないことを質問するとすぐ返事をくれたり、お世話になっています。学生数が多い学校でこのような親身になってくれる上級生がいると本当に心強いです。3日目、ついにクラス履修。1年生はだいたい同じようなクラスを取るので、取りたいクラスが取れないこともしばしば。そういうわけで、この日に限っては皆緊張した面持ちで、空気も戦々恐々としていました。グループの中でくじ引きをして取る順番を決めたのですが…幸運にも2番!取りたい授業は全て取ることができました。ちなみに秋の履修科目はChemistry, Math, English Compositionの3つです。全部必修科目ですが、英語以外は好きな科目だし、高校で1回習っている範囲みたいなので楽しみにしています。一方英語は、アメリカ人も必修のReading & Writingの授業で、かなりの量を読まされ書かされるらしい…。ぶるっ。1年の秋学期はだいたい3つクラスを取りますが、冬以降は4つ、場合によっては5つ取ることもあるそうです。
●UCLAの教育システム
UCLAはquarter、つまり秋、冬、春、夏の4つの学期でschool yearが構成されています。ただし夏は夏休みなので実質3学期制です。他の教育システムとしてメジャーなものは2学期制semester がありますが、quarterの特徴としては1学期が10週間と短く、それゆえ授業の進度が速く、1回の授業内容がとても濃いです。そのかわり1年で多くの、様々なクラスを取ることができます。個人的には同じクラスを16週間のんびりやるより、10週間で集中して終わらせて次の学期に移る方が好きなので、quarterは結構気に入っています(いや、実際にはまだ始まっていないので分からないけども)。授業に関して、UCLAでは1年の時点で既に専攻を決めているので、専攻ごとの必須科目と、それに加えてGeneral Education, GEと呼ばれる総合科目も取る必要があります。このGEのおかげで専攻に関係ない授業も必ず取るので、研究大学で欠けがちな幅広い教養を身につけさせようというわけです。また、専攻を既に決めているとはいえ、同じ分野の専攻同士は必修が一緒なので、実質3年までは専攻をはっきり決めなくてもいいのです。たとえば私の場合、Molecular, Cell, and Developmental Biologyという何とも長ったらしくて難しそうな名前の専攻で入学していますが、この専攻はlife sciencesという分野に属しているので、同じ分野に属する他の専攻、たとえばBiochemistryや Chemistry、Neurosciencesに専攻を変えることは容易にできます。この制度は私にとってすごくありがたいです。なぜなら、私はだいたい化学・生物方面の勉強をしたいとは決めているのですが、そのなかで特に何がやりたいかはまだはっきりしていないというか、どれも魅力的で決められないのです。だからこの2年でじっくりlife sciencesの中から選べるのは本当に助かります。また専攻以外に副専攻の制度も整っているので、全然違う2つの分野を勉強していくこともできます。
<時間はできるものではなく、作るもの>
長くなってしまいましたが、最後に約1ヶ月をUCLAで過ごしてみて最近感じていることを書きます。
アメリカの大学の勉強は大変です。毎日宿題が出るし、中間や期末のスコアがとても重要なので手を抜いたり授業をサボったりすることは絶対にありえない。留学生はそれに加えて英語自体にハンデがあるので更に時間もかかります。でも、大学は勉強するだけのための場所ではありません。キャンパス内やWestwood, Los Angelesという街には山ほど素晴らしい機会があふれています。しかし、自分から参加しようと思わなければ驚くほど簡単にそれらの機会を逃してしまいます。
アメリカ人の友達を見ていて、勉強だけしている人は見たことがありません。いつも遊んでいるようにしか見えない人も、ひとたび自分の部屋に戻れば人が変わったように勉強します。そして金曜日や土曜日には部屋を飛び出していって、心ゆくまで遊び尽くして帰ってきます。みんな効率がいいのです。メリハリがしっかりしています。一方私はというと、毎日のように宿題、予習・復習、大変大変って思い込んでいるだけなんじゃないか。実はそんなにやることは多くなくて、集中してやれば1日で終わるのに3日かけているだけなのかもしれない、と最近では思っています。本当にデキル人は何でもこなしています。勉強も、課外活動も、自分の趣味も、キャリアに関することも。
これからいかに時間を「作り」、身の回りに溢れている機会を最大限活用していくか、が最大の目標になっていくような気がします。Los Angeles, California-天使の街-楽しまなきゃ損ですから。
読みにくい部分も多々あったと思いますが楽しんで頂けたら幸いです。次回の更新は夏学期終了~秋学期開始頃になると思うので、夏学期のクラスやWelcome eventなどについて書けたらと思いますので、どうぞお楽しみに!
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