大村崇寛のGrinnell College留学レポート

◇ 2013年11月：グリネルカレッジの学生生活～遠足にフードバザーに感謝祭～

皆さんお久しぶりです。もう12月になってしまいましたが、11月号を更新します。なかなか忙しく、更新できずにいたのですが、冬休みに入り余裕ができました。

さて、今月は11月の出来事を遡ります・・・11月の大きなイベントで言うと３つほどあります。

1.　遠足
大学生にもなって遠足？と思いますよね・・そうなんです。チュートリアル（動物と機械における美徳）授業で、大学から一時間ほどあるボノボ（チンパンジーに似た種族です）の飼育施設にツアーとして参加・・・する予定が、行ってみると今日は予約が入っていないから準備していないと言われ、予約したのにパソコンがそれを認識していなかったらしく・・
それでもなんとか施設内を見学することができ、ボノボの知能がいかに優れているかを目の当たりにしました。なんとボノボはiPadを使って人間と会話することが可能です（正直驚き！）。iPadに表示されているレキシグラム（図形化された単語が配列されたボード）から単語を選び、それらを繋ぎ合わせて文章を作ることができるんです！例えば、banana、want、そしてeatを次々と入力して「バナナを食べたい」と方言できます。
このような感じで、チュートリアル授業には遠足等に行くための費用が割り振ら、僕らの授業では遠足に行ったというわけです。授業で動物の知能の高さについて勉強していたので、とても意義のあるものでした。

2.　フードバザー
僕の大学では、留学生を含め国際色が強く、毎年11月に世界中の料理を作って皆で食べよう！というイベントがあります。有志の2人組で好きな料理を４０人前作り、それを提供します。今年は計50種類ほど集まり、大学内外から大勢の人が来場しました。
僕らはと言うと・・日本人の友達と四人でジャパニーズカレーを作りました！（要するにルーカレーです）簡単と言えば簡単ですが、隠し味に力を入れました（リンゴ、ワイン、マサラ・・）。結果大成功で、ちゃんとなくなりました。
僕の住むグリネルにはアジア系のレストランが一つ（アメリカンな中華料理店）だけなので、こういう機会で様々な国の食べ物（アジア系が多い）を食べられるのが嬉しいですね。

3.　感謝祭
アメリカ人にとっての11月の一大イベントと言えばThanksgivingです。アメリカでの一般的な認識は家族親戚で集まり豪華な食事をする家族行事です。アメリカ人も、続々と実家に帰ります。4連休しかないのに平気でニューヨークまで帰ったり・・ですが、留学生は当然実家に帰ることはできないので、大学で過ごします。ですが留学生の場合、ホストファミリー制があります。ホストファミリーは、希望する留学生に割り当てられる、グリネルに住んでいる家族です。多くの留学生が希望しますし、それに応えられるだけ多くの家族が受け入れます。僕は、70代の老夫婦に受け入れていただき、お世話になっています。Thanksgivingも、家に招いていただき、七面鳥をお腹いっぱい食べました。その食事も大人数で、ホストファミリーの親戚家族、他のグリネル生の知り合いが計10人集まり、とてもにぎやかでした。他にも食堂のバイト先の上司の家にも友達を一緒に招いていただき、家族と楽しく過ごしました。

今月号は3つイベントを紹介しましたが、来月号では期末試験の様子をお届けします。ではまた！

◇ 2013年10月：グリネルカレッジの学生生活～チュートリアル授業～

11月が終わろうとしている中、10月号を更新します（笑）。Thanksgivingで一息ついたので・・遅れて申し訳ありません。昔住んでいたはずなのに、アメリカのThanksgivingってこんなに大事だったのかと今更びっくりしています（その後のBlack Fridayも）。

さて、今月は、グリネル特有（？）のチュートリアル授業について取り上げます。チュートリアルとは、一年生が一学期に取る、グリネルを卒業するために取らなければいけない唯一の必修授業です。先月号でも説明しましたが、チュートリアルでは、基本的な読み・書き・スピーチを訓練しつつ他分野にまたがる内容を勉強します。

１．選び方
入学前に、選択可能な授業が40個近く提示され、その中から選びます。テーマは例えば、「China and the New Global Economy」、「Making a Difference in the Fight Against Global Poverty」など、本当に様々な分野があります。ちなみに僕が選択したのは「Virtue in Animal and Machine」。内容については後ほど書きます。

２．スタイル
人数は少人数制で、だいたい11～12人です。基本的に課題の本を読んでそれについてのディスカッションです。

３．内容
僕が受けている授業は、動物や機械における道徳についてです。扱っている本は二冊。一冊は、動物は道徳観念を持っている！協力や正義といった概念は動物にも存在する！といった内容で、もう一冊は、機械に道徳観念をインプットする必要がある！そのために必要なのはAとBとC…といった内容です。このようなことについて議論し、また論文を書きます（機械は道徳観念を持つべきか？動物における協力の概念はどれほど機械に当てはまるか？など）。
また、本以外にも学者の書いた論文を読みます。機械に道徳観念を植え付けずに道徳的な判断をさせることは可能か？など・・専門的なものばかりで、難解で気が滅入ります（笑）。ちなみに、偶然にも読んだ論文の中に早稲田大学の教授が執筆したものがありました！（意味不明でした！）

４．ディスカッション
ディスカッションの中でも、教授が進めるものと生徒が進めるものと二種類あります。後者は、生徒（2人組）が授業で扱う読み物を事前に読み、ディスカッション授業を組み立てます。議論に値するような深い（？）質問を用意し、クラスを半分に分けて話し合いを行わせるなど、様々なアプローチがあります。組み立てる側の生徒たちはディスカッションに参加するよりも、それがスムーズに進むように心がけます。自分たちで時間配分、配布資料、内容などを考えなければいけないので、なかなか大変です。

５．教授
僕の担当の教授はComputer Science（計算機科学？）が専門です。専門から察するように、とても緻密な方です。この、チュートリアルの担当教授は、二年間、専攻を決めるまでのアドバイザーとなります。主に授業選択や専攻についてのアドバイスをしてくれます（三年時からは専攻する学問の教授がアドバイザーにつきます）。

６．来学期
一学期も終盤に差し掛かっています（もう冬休みへのカウントダウンを始めています）。来学期取る授業も決まりました：心理学、経済学、社会学、中国語。ここから怒濤のように論文、試験の波が押し寄せてくる中、来学期の授業が決まったので、もう来学期が待ち遠しくて仕方ありません。期末を生き延びることができたら、来月号を更新します。

では！

◇ 2013年9月：グリネルカレッジの新学期～学ぶ姿勢を学ぶ～

はじめまして、遅ればせながらこちらでブログを書くことになりました大村崇寛（おおむらたかひろ）です。今年三月に海城高校を卒業し、八月から米アイオワ州Grinnell Collegeに進学しました。このブログでは、僕がグリネルで生活していて思ったこと・感じたことなどを「軽く」、拙い文章ではありますが、紹介していきますのでよろしくお願いします。

・・・さて、自己紹介は短めにし、早速、留学一ヶ月目について書いていこうと思います。

僕は今学期4つ授業を取っています：Intro to Political Science (政治学入門), Beginning Chinese 1 (中国語入門), Applied Statistics (統計学入門), Virtue in Animal and Machine (動物と機械における美徳)※

※これはTutorialと呼ばれる授業で、一年生の必修科目です。少人数制で、基本的な読み・書き・スピーチを訓練することが目的の授業です。

さて、今回は政治学について少し触れようと思います。この授業では、政治の基礎的な概念について勉強します（power, ideology, state, regime, etc.）。約25人クラスで、授業前に課せられる読み物をベースにディスカッションが行われる授業です。

・・・難しい。まず僕は政治が苦手なのに何を血迷ったのか、政治学を選択してしまいました（正直に言うと響きがカッコ良かったからです）。さらに、抽象的な内容の読み物をなんとか読み、理解したと思い込んで授業に臨み、実際はちんぷんかんぷん。

ですが、同じ授業の友達と授業前日に読み物の内容を確認し、また難しい文章をだらだら読まず、重要そうなところに重点を置いて効率良く読むような工夫をしているうちに、前よりは着実に内容の理解度が上がっているように感じられ、手応えをつかめそうな予感がしています。

また、教授のオフィスに顔を出し、ディスカッションに参加できないからどうしたらいいか、と助けを求めたところ、「たまに君に発言権を与えるからそのとき発言してもしなくてもいいけど、そこからきっかけをつかもう」と親切に対応してくれました。

はじめの頃は、会話の中で自分の言いたいことが言えなかったり、授業で何が起きているかいまいち理解できなかったりする度に、自分はなんて英語ができないのだろう、と落ち込んでいました。政治学でシリアの話題が挙がった日、シリア情勢についてほとんど無知の自分は、あとからNew York Timesの記事を漁り、今最もホットな話題について知らない自分を恥じました。

ですが今では、自分は学ぶために来たのだから、ないものをどうこう言うのではなく、これから色々と積み上げていけばいいのではないか、と思えるようになりました（アメリカ人のプラス志向が移ったのか）。

ここで大事なのは、留学すれば世界に目を向けるようになったり、英語ができるようになったりする、ということではありません（日本には僕より英語ができる同年代の人もたくさんいますし、世界情勢を当たり前に把握している人もたくさんいます）。アメリカに来て、少しは良い方向に「変わった」と思えることです。

これは人それぞれなのでなんとも言えませんが、少なくとも僕は、日本に留まっていれば堕落した生活を送っていただろうと思います。留学一ヶ月目で、リベラルアーツカレッジではcritical thinking skillが身に付いて、英語能力が上がって・・・などと（偉そうに）言うことはできませんが、四年間を見据えると、間違いなく正しい選択をしたとは言えます。

というわけで、今回は政治学の授業の話からかなり個人的な話に行ってしまいました。これからもここでは、好き放題書かせていただきますので、ご了承ください(笑)。

ではまた来月！