こんにちは。
アゴス・ジャパンの佐々木です。
今回は前回に引き続き、欧米の大学/大学の出願に関わる数値のお話です。後編の今回は、「Yield Rate」についてお話してみたいと思います。
このYield Rateという言葉は、聞きなれない方が多いのではないでしょうか。
Yield Rateとは、金融業界的に言えば「利回り」のことですが、大学の関係で言えば、合格者の中から実際に入学する人の割合のことを指します。出願者は大抵複数校に出願しますので、複数校に合格した際は、その中から必ずどこか入学校を選ばなければなりません。
つまり、このYield Rateが高いということは、複数の合格校の中からその大学が選ばれる確率が高い、ということですから、大学の評価に直結する数値として大学関係者から、非常に重要視されています。
大学側は、辞退する学生数をあらかじめ予測し、入学予定人数よりも少し多めに合格者数を出すことになりますが、そこからの辞退者を正確に予測することは不可能ですので、予定人数の目安はありながらも、実際の入学者数は毎年異なるのが実状です。
さて、このYield Rateは実際にはどのくらいのパーセンテージなのでしょうか? 米国では、U.S. News & World Reportの「National Universities Where Students Are Eager to Enroll」、つまり学生たちが入学したい大学がランキングされています。この値こそがYield Rateとなります。そのランキングで、2014年秋入学の上位を見ると下記の通りとなっています。
学校名 合格者数 入学者数 Yield Rate
Harvard University 2,045 1,654 80.9%
Brigham Young University-Provo 5,207 4,072 78.2%
Stanford University 2,145 1,678 78.2%
Massachusetts Institute of Technology 1,447 1,043 72.1%
University of Alaska-Fairbanks 1,164 822 70.6%
誰もが憧れるハーバード大学なら、合格したらほとんどがそのまま入学を決めそうなものですが、実際には2割は合格しても他の大学を選択してしまう、という興味深い結果となっています。
Yield Rateが高いのはもちろん素晴らしいことなのでしょうが、ただ予想以上に学生が来てしまって困る例もあります。飛行機でキャンセルを見込んだにも関わらずオーバーブッキングが発生してしまうのも同じ仕組みですが、この予想は本当に難しいと思います。実際、私自身が所属していたStanfordのLDTというプログラムは私の年で17名。毎年10数名が入学という小規模プログラムなのですが、私が在籍していた翌年は予想以上に入学意思表明をする学生が多く25名もが入学を希望してしまったとのこと。ちょうどその入学者を確定するタイミングでプログラムディレクターから話を聞いたところ、「みんながこのプログラムを選んでくれたのはうれしいけど正直なところ運営が大変そう・・・」とむしろ不安を口にしていました。
このたびは、二回にわたって、Admit RateやYield Rateといった大学/大学院の出願に関わる数値に関して焦点を当ててみましたがいかがだったでしょうか。日本とはそのとらえ方が大きく異なることを感じ取っていただけたかと思います。
また次回も皆さんのお役に立ちそうな興味深いネタをご紹介できればと思っています。
(※1)U.S. News & World Report「National Universities Where Students Are Eager to Enroll」
http://www.usnews.com/education/best-colleges/articles/2016-01-25/national-universities-where-students-are-eager-to-enroll