皆さん、こんにちは。
アゴス・ジャパンの佐々木です。
今回は、前回の続編として「留学生の受け入れ状況」というテーマで引き続きお届けしたいと思います。
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の「外国人留学生在籍状況調査結果（平成27年度）」(*1)によると、日本で学ぶ外国人留学生の総数は208,379人。その中で、大学（学部）が67,472人、大学院が41,396人となっています。
では、そんな中、どんな大学が留学生を積極的に受け入れているのでしょうか。
上記のJASSO調べによると、外国人留学生受入数の多い大学（2015年）(*2)の上位は下記のとおりとなっています。
１．早稲田大学 4,603人
２．東京大学 2,990人
３．日本経済大学 2,835人
４．立命館アジア太平洋大学 2,649人
５．九州大学 2,097人
早稲田大学が圧倒的な人数となっていますが、同大学の受け入れ数が多いのは、単に有名大学だからという理由だけではなさそうです。同大学では創立150周年を迎えるにあたり、2032年のあるべき姿に向けて中長期計画 「Waseda Vision 150」を策定しました。この中で、同大学の受入留学生数を現在の倍以上にあたる10,000名まで増やし、さらに全学生を海外へ留学させるなど具体的な数値目標を設定し、アジアのグローバルユニバーシティになるべく国際化の推進を公言しています。こうした早稲田大学の「本気」が、こうした結果に結びついているのかもしれません。(*3)
ここで注目すべき点は、3位の日本経済大学や4位の立命館アジア太平洋大学（APU）ではないでしょうか。そもそも、これらの大学名に対しての馴染みが薄い方が多いのではないかと思います。
日本経済大学は、福岡/神戸三宮/東京渋谷にキャンパスを構えていますが、その中の渋谷キャンパスは、実はアゴス・ジャパンから徒歩1分程度の至近距離に位置しており、新入生の留学生比率が実に9割以上とのことです。アゴス・ジャパン近辺では、外国人留学生が本当に多い印象を受けていますが、同大学の留学生比率を聞くと、十分に納得させられます。
日本経済大学を運営する都築学園は、そもそも福岡を本拠地とし、幼稚園から専門学校・大学に至るまで全国展開している学校法人です。少子化時代を迎え、各学校法人が学生集めに奔走する中、彼が目をつけたのが留学生マーケットでした。全国的には無名の日本経済大学大学が、整理統廃合で遊休校舎を有効活用すべく、留学生をメインとした東京渋谷キャンパスをもって勝負をかけてきたわけです。海外からの留学生の７割が日本で働きたいという希望を持たれており、同大学では、新入時より徹底した「就職教育」に力を注いでいるとのことです。そのような思い切った「差別化」の努力が、これだけの留学生獲得の成果に至ったということなのだと思います。
また、立命館アジア太平洋大学（APU）は大分県別府市に位置し、国際学生2,944名と国内学生2,904名の合計5,848名と、留学生が実に約50%という比率を占めています。しかも日本語と英語による日英二言語教育システムを展開という大変ユニークなカリキュラムとなっています。
私自身も去年今年と2年連続で現地を訪れ担当者の話を聞いてきましたが、全世界に数多くのリクルーティングスタッフを派遣し、現地の高校訪問や説明会の開催など留学生確保のために徹底した活動を行っているそうです。さらに奨学金制度をはじめとする受け入れ体制の充実度には目を見張るものがありました。その努力が実り、現在、同大学が受け入れている留学生の出身国数は、実に90ヶ国・地域に及ぶとのことです。
前回の記事で、受け入れ留学生数を増やすための「留学生30万人計画」の話をいたしましたが、他の大学でも、上記にあげたような大学が実践しているような「本気」を見せることで、十分に実現可能なものになっていくのではないかと感じています。
今回は日本の大学における留学生の受け入れ目標やその現状についてお話しましたが、次回のコラムでは、アメリカの状況について焦点を当ててみたいと思います。
(*1) 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の「外国人留学生在籍状況調査結果（平成27年度）」より
http://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/2015/
(*2) JASSO調べ「外国人留学生受入数の多い大学（2015年）」
http://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/2015/ref15_02.html
(*3)早稲田大学ウエブサイトより
http://www.waseda.jp/keiei/vision150/target.html