【コラム】 欧米化する日本の大学入試

皆さん、こんにちは。アゴス・ジャパンの佐々木です。

今回から、アゴスのブログやfacebookページを通じて、これから留学を考える方や既に留学準備中の方々に向けて、教育関連の世間の動きなど少しでも役立ちそうなネタを交えたコラムをお届けしていきたいと思います!

今回取り上げたいテーマは、欧米化が進む日本の大学入試制度についてです。先日の日経新聞に、日本の大学入試の変化を報じる記事が掲載されていました。

国立大学協会はAO・推薦入試の比率を現在の15%から30%に引き上げる目標を掲げ、早稲田大学においては現在の一般入試6割とAO・推薦入試4割の比率を逆転させるという長期目標を発表したとのことです。

AO(アドミッション・オフィス)入試は、日本では今でこそメジャーな言葉となってきましたが、そもそも欧米では当たり前に利用されてきた合否判定の形態です。アゴスでも、セミナーなどでは口が酸っぱくなるほど説明を繰り返していますが、欧米の入試制度は日本のような点数重視型ではありません。Holistic Approachと言って、総合的にその受験生の資質を見極めようというスタイルが一般的です。

要するに、単に成績が良いだけの学生は要らない、人物本位で多様な人材を受け入れていかなければ大学の質向上につながらない、という考え方がベースになっています。

日本の18歳人口は1992年の205万人をピークに2015年には120万人と4割以上の減少傾向です。ただ、その代わりに大学への進学率が上がったため、18歳人口の減少ほどには大学進学者数は減っていません。しかしながら、50%を超えた大学進学率はそろそろ頭打ちとも言われる中、2018年からは18歳人口減少のスピードが加速することが予想され、大学関係者の頭を悩ませています。これが関係者の中で騒がれている「2018年問題」で、各大学が生き残りをかけて必死になることは想像に難くありません。

つまり、大学が生き残っていくためには、単に成績だけが良い学生よりも、多種多様で創造性に満ち、グローバルにも活躍が期待できる人材を確保していけるかが大きな課題となるわけです。各大学のAO・推薦入試の比率を高める動きは、至極当然の流れと言ってもよいでしょう。

欧米だろうが日本だろうが、本質的に大学が合格させたい人物像は、大学にとってメリットがある、つまり大学に貢献してくれる人材に他なりません。その将来性を、合否を決める段階で見極めたいがために、わざわざ手の込んだ入試制度を導入しているわけです。

ちなみに、欧米の大学が一人当たりの合格者を出すためにかける時間やコストの大きさは日本の大学の比ではありません。日本の大学にとっては、これらのコスト・手間をどのように捻出していけるかがこれからの大きな課題となるはずです。その課題をクリアできなければ、将来性の高い学生の確保、ひいては大学自体が生き残っていけないわけですから、日本の大学はまさに正念場を迎えていると言っても過言ではないでしょう・・・。