女性の大学院/MBA留学の価値と意義を考える

去る10月27日(土)、「女性の大学院/MBA留学の価値と意義を考える」と題したイベントを開催いたしました。当日は、61名の大学院留学志望者が集まり、星野氏の基調講演でスタートしました。

星野氏は、慶応義塾大学で計量経済学を専攻され、卒業後は日本債券信用銀行株式会社の国際金融部に3年間勤務されました。1年目は勉強、2年目には仕事がわかってきたなという感覚もあり、海外支店勤務の希望を出しました。


しかし、世の中は男性社会で、女性の海外支店勤務は前例が無く、人事部から呼び出され、「女性を海外支店へ派遣した事が無いので、待って。”大切なお嬢様”だから。」と言われた一言が、星野氏のその後の人生を変えたとおっしゃっていました。どう変えたのかというと、「女性をなめている!この会社辞める!」と固い決意をされ、当時は終身雇用当たり前の時代だったので、慶応義塾大学時代の先輩や教授に相談をしたところ、「海外でマーケティングの勉強してきたら?」とある教授からアドバイスされたそうです。

当時の日本のマーケティングは、あってないようなもの、感覚的であったため、ちゃんと理論で考えるマーケティングをアメリカで勉強すれば、どこでも通用すると考えられたそうです。そうと決めたら、すぐ行動!の星野氏は、すぐにマーケティングが強いアメリカの大学院を探しました。Scienceのバックグラウンドはあったので、Leader of Marketingであるフィリップ・コトラー教授のいるノースウエスタン大学ケロッグ経営学大学院入学へ入学しました。

大学院では、マーケティング、マネージメント、ファイナンスを専攻され、充実した2年間を過ごされました。2年目からは就職活動も活発になり、破格の年俸で交渉するヘッドハンターなどとも話をされましたが、お金に目がくらむことは不思議となかったとのこと。星野氏はやはり「したい仕事をしたい」と思っておられたので、日本にあるマーケティングリサーチ会社を何社か面接され、最終的に株式会社社会調査研究所の主任研究員として契約されたそうです。

そこでも、星野氏は「したい仕事をしたい」という気持ちが強く、当時、マーケティングリサーチの仕事は 広告代理店向けの下請けの仕事が多かったところで、会社を肩書きに仕事をしても、今後のためにならないと思い、「星野 朝子」として仕事をしていきました。色々なトピックについて、マーケティングリサーチをし、論文を書き、学会に出て、営業に回るということを重ねられました。しばらくすると、「星野 朝子」という名前が売れ始め、12年目の2001年にはIPOを終えたインテージ(旧 社会調査研究所) の役員理事(Chief Marketing Officer)として就任するに至りました。

そんな毎日の中、様々なヘッドハンティングから誘いを受けられましたが、インテージでの仕事がとても好きだったので、全て断っていたそうです。その中の1社が現在の会社、日産自動車株式会社でした。そこで出会ったのが、現CEOであるカルロス・ゴーン氏でした。当時、ゴーン氏の悩みの一つにマーケティングのスペシャリストがいないという事がありました。星野氏は、ゴーン氏にとって、必要な人だったのでしょう。その理由として、ゴーン氏は、理由が3つあると、、、
1.当時の日産にはマーケティングのスペシャリストがいない
2.インターナショナルなバックグラウンドが必要
3.女性が必要

星野氏は3つ目の「女性が必要」という言葉に胸を打たれました。今まで、「女性だから」と損をしてきたことが多かったのに、「女性だから」君が欲しいと言われたわけです。ゴーン氏が「女性が必要」である理由は、「男性だけが意思決定していると必ずどこかでつまづく。男女両方の視点がビジネスには必要だ。」と。その考えに惹かれ、2002年Vice President 市場情報室 室長として、 日産に転職されました。

しかしながら、今年で5年目になる日産での毎日を考えると、創業から47年間、女性の役員はいまだに星野氏のみということで、星野氏は、意思決定の場において、”唯一の女性”は絶対によくないとおっしゃいます。”唯一の女性”は”少数意見”にはならないからです。Diversityを考えると、女性はある程度の比率で存在することが重要だと。2001年当時は5人しかいなかった女性役職者が、 現在の日産には120名います。ゴーン氏の基本姿勢として、「世界中の女性のキャリアディベロップメントに 力を入れる」というものがあります。これは、星野氏も全く賛成で、これからも推進し続けたいことのひとつだと。

最後になぜMBAなのかというお話をいただきました。星野氏にとってMBAは"MUST"だったとおっしゃいます。 ”大事なお嬢様”事件後、星野氏にとっては、MBAがキャリアパスのキーでした。ただ、下記のポイントでMBAや大学院留学は考えないといけないとおっしゃていました。
1.何を勉強したいのか?
2.MBA後、どんなことをしたいのか?
3.自分のキャリアに何が必要なのか?

出願者にとっては、どの学校がどれぐらい役立つかがキーだと。また、女性のキャリアを考える時に大切なことは、
1.Do Your Job!-1番になれる領域を作る
マーケティングの法則の1つである「First Mover's Advantage」というものがある。
これは、どの業界も、どの職種も、何かで一番の領域を持っている人が認知、信頼、興味、全ての意味で、 有利という意味。

2.Market Yourself-自己PRしよう!
女性は、自分の時間の5%は自己PRに使うよう、心がけるべき。
男性は、50%以上の時間を自己PRに使っているとも言われている。

3.海外経験
男性よりも早い時期にすべき。
なぜなら、女性は年齢を重ねるほど、「結婚」「出産」「育児」「介護」などの 出来事が起こる。それらとトレードオフしないといけない時期、例えば、 「出産」を第一に考えないといけない時期があったりする。 そこで、「国際経験」だけは、それらとトレードオフすることが一番難しい。

4.Priority付けを明確に!
男性は、「仕事>家族>自分」という場合や、中には「仕事>自分>家族」という パターンが一般的だが、女性は「仕事」なのか、「結婚」なのか、「自分磨き」なのか、 はっきりしないで迷いながら進んでいくケースが多い。 これが不幸の原因だと星野氏はおっしゃっていました。

プライオリティ付けは一見難しそうですが、「訓練」なので、日々意識してみてくださいとおっしゃっていました。

参加者全員がぐっと聞き入り、女性のキャリアと大学院留学を考えさせられました。星野氏の端的かつ明快な基調講演に、この場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

第2部は、当校社長である本多の進行の元、以下3名の女性の大学院留学経験者の方々に留学体験談をお話いただきました。パネルディスカッションを通して見えたことは、みなさんが「ハード面=知識面」と「ソフト面=自信やネットワーク」の両方を得て、帰国されていること。一周りも二周り大きく成長されて帰ってこられていることでした。


菅野 香織 氏
学校名/卒業年度:UCLA Anderson School of Management, Class of 2004
プログラム:MBA
勤務先:KPMGビジネスアシュアランス株式会社
役職:マネージャー
林 芙美 氏
学校名/卒業年度:Columbia University Teachers College, Class of 2001
専攻:Nutrition Education
勤務先:東京医科歯科大学大学院、独立行政法人国立健康・栄養研究所 国際産学連携センター
役職:大学院(博士後期課程)技術補助員
葵 知子 氏
学校名/卒業年度:Syracuse University, The SI Newhouse School of Public Communication, Class of 2004
プログラム:M.A. in Public Relations
勤務先:ソフトバンクモバイル株式会社
所属部署:宣伝部広告宣伝課

最後は、パネリストの一人として参加した当校会長の横山より、「Admissionと話していて常に思うのは、日本からの女性進出を求められていること。まず、今の自分を知り、”こうなりたい”というビジョンを持つこと。ビジョンが決まったら、”私の将来買ってください”と出願時には訴えること。そのときに大事な事は、①正しい情報 ②戦略 ③視点 ④環境 ⑤効率を意識して進めて欲しい。最後に、自信と謙虚さのバランスを大切に。 トップ10%の経済大国に生まれている幸運を生かして、相手の声も、自分の声もポジティブに聞こえる自分になってください。」とのこと。

以上、「女性の大学院/MBA留学の価値と意義を考える」のレポートでした。開催にご協力いただいた皆様、ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

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