【高校生・大学生対象】~ハーバード大学在校生が語る~ 海外トップスクールの魅力と留学の意義

去る2009年7月22日(水)に、ハーバード大学に2008年、日本の高校から見事合格を果たし、数少ない日本人学部生として活躍されている天野友道さんをお招きし、セミナーを開催しました。1年間を振り返って今だからこそ語れる、ハーバードの学生生活、世界の教育事情、入学審査では何を見られているのか、などなど、留学しなければ分からない本当の魅力と厳しさの両局面を語って頂きました。
まずは、当校会長 横山による講演でスタートしました。以下抜粋です。



Part 1: 海外に出て感じる日本人の留学事情と教育事情
アゴス・ジャパン会長 横山 匡

まずは、外から見る日本とはどういう国なのかについてお話してみたいと思います。

とある経営者から「実は世界で一番したいことが出来るのに、「思い」が「アクション」に繋がっていない国」という言葉を聞いたことがあります。とある在日投資顧問会社社長からは、「世界一の一般人がいる」という意味深い言葉も。また、芸能人でありながら日本ユニセフ大使などで文化人として世界的に活躍するアグネス・チャン氏は「日本の一番の不幸は自分たちの幸せに気付けていない不幸」と語りました。 そしてある元受講生は「危機感が薄いといわれるが、裏返せば、危機感がなくてもそこそこ満足のできる「便利」な国」というコメントをしています。どのコメントも考えさせられるものばかりです。我々は、今一度、私たち自身のことを掘り下げて再認識してみるべきではないでしょうか。

日本は世界で何位の位置にいるのか、いろいろな項目で調べてみました。

・アメリカへの留学生数:第4位(1位インド、2位中国、3位韓国、5位台湾)
・TOEFL(R)TEST平均点:227ヵ国中110位。(アジア圏では、モンゴルと並んで最下位争い)
・国土面積:61位
・人口:10位
・平均寿命1位
・ブログ投稿数1位
・研究開発費3位
・IT投資マインドは最下位
・国内総生産2位
・国際競争率24位/55の国と地域(政治・行政に対する世界の信用度、ビジネスの柔軟性、語学力が評価を下げている)
・外国からの移住者 先進国で最下位の1.6%。他の先進国は10%以上
・外国からの訪問者数 30位/35カ国中
・国の借金世界1位 対GDP比率
・生活の質 7位

こうして数字を並べてみると、日本の得意/不得意分野が確実に見えてきます。

ところで、日本の高等教育では何が起きているのでしょう?
1992年を境に200万人いた18歳人口は急激に低下し、今や130万人になりました。反面、大学数は急増し、550校前後だった大学数が720校以上になっています。

18歳人口の減少と大学数の増加、この併せ技で、2007年に「全入時代」に突入しました。

・受験現場の実態 →競争力の低下。
・大学生活の実態 →あまり鍛えられないまま社会へ。
・就職活動の実態 →人手不足のため、入社は出来るが、厳しいプロの現実と対応が待っている。
・就職後の現実   →その結果就職しても、新卒の35%は3年以内に離職してしまう。

日本の大学進学率は6割近くになりました。しかし、先ほどのような状況なので、ある一定の競争率の高い大学を除けば、受ければどこかに入ることが出来てしまう時代でもあります。そしてそのような学生たちの卒業後の就職率は95.7%。しかし厳しい環境でもまれずにきているので、将来がはっきり定まっていない人が多い部分もあります。逆説的になりますが、「就職は出来る」のだから、もっと「やりたいことを思い切ってやってみる」ことに勇気を持って踏み出していいのではないでしょうか?それが出来る環境が実はある国でもあるのです。

将来、こんな日が来るかもしれません・・・そんな時あなたはどう対応するのか想像してみてください。

・吸収合併により、来週から外資系企業になります。
 →上司は外国人、社内公用語は英語になります。
 →採用、異動で部下が外国人に。
・今回の資本提携に基づき、海外拠点への駐在を任命する。
 →締め切りが迫っているのに誰も残業しないで帰宅する、というスタッフがいるかもしれない。
 →上司である自分の指示なのになぜか従わない、という国に行くかもしれない。
そんな時、あなたはどう対応できますか?
語学力、コミュニティスキルにおいて対応出来ますか?異文化において、人を動かすことが出来ますか?これは、決して例え話ではありません。今から考えて真剣に考えておくべきことだと思います。

昨年プレゼンターとして参加した国際協力キャリアフェアーというイベントの基調講演では「国際舞台で活躍する人材に求められるスキル」は以下のような項目が挙げられました。
・Expertise in specific area
・Field work experience
・Critical Thinking / Analytical Skills
・Management skill
・communication skills
・Accountability
・Leadership
・judgment
・Diversity

専門知識、実地経験、コミュニケーション力、リーダーシップ、判断力など・・・。これらを身につける場がどこにあるのかを真剣に考えてみるべきではないでしょうか。

私は言語学を専攻しましたので、語源にはこだわりを持っています。その立場から、語源に見る『教育』と『Education』の違いについて、ちょっとお話したいと思います。

日本語で言う、「教え」「育てる」教育は、知識を吸収し、正しい答えを探すことに注力。すなわち、Input作業にフォーカスして、answer探しをする印象があります。一方で、英語で言うEducationは、「潜在しているものを引き出す」が語源であり、主役は生徒の「質問」です。ちなみに、動詞のEduceには、仮定する、推論する、という意味もあります。つまり、生徒の発信(行動)を促すOutput作業にフォーカスしているところに「教育」との大きな違いを感じます。

その点を踏まえ、これからの皆さんの「大学留学の意義」を考えてみてください。20歳前後の4~5年を海外で過ごすという場、社会に出る前の「学びと練習の場」、いろいろな見方がありますが、ここから先は、実際に留学して1年間やってきた天野さんをお迎えして、彼の実体験に基づいたお話しを聞いてみたいと思います。


Part 2: 天野友道氏(ハーバード大学在学中)によるパネルディスカッション

●留学を目指したきっかけ
小さい頃、小学3年まで5年間アメリカ(カリフォルニア)に住んでいました。また、高校2年のとき、シンガポールで、アジアの6カ国の高校生が集まるAYLSというイベントがあり、そこに日本代表のような形で参加し、そのインターナショナルな雰囲気に大変興味を感じ、海外の大学を目指すことにつながったと思います。

●ハーバード大学の紹介
1636年に、牧師養成のために創立されました。College(学部)と13の大学院で構成され「総合研究大学」と言われています。現在、総学生数19,000人、うち学部生6,700人。つまり大学院生のほうが倍以上多くいることになります。

●日常生活の紹介
食堂や寮は学年ごとに建っています。私が住んでいた寮は築50年の建物ですが、寮の中では最新の建物・・・。最古の寮は1711年築とのことです。ちなみに全寮制です。
教室は文系理系に別れています。図書館が数多くあり、学生が勉強する場所となっています。ハーバード大学には1,600万冊もの蔵書があり、日本語の本も多くあります。

●勉学について。
普段の授業は一学期に、4科目×週に3時間という感じです。つまり授業は週に12時間。しかし授業外での勉強は、授業の約3倍の時間が必要と言われています。

ちなみに春学期(spring semester)に取った授業をご紹介します。
・微積分学入門 →数Ⅲの内容。アメリカの授業は、基礎がかなり重視されています。
・経済学入門 →入門 典型的な経済学のクラスですが、定期的に著名な人が来て講演してくれます。ブッシュ、クリントン政権の経済顧問や米国議会予算局局長など、大変興味深いものでした。
・エッセーの書き方 → 全員必修の唯一の授業です。一学期で、エッセーは3つしか書きませんが、何度も何度も書き直しをする必要があり、大変勉強になったと思います。エッセーはアメリカ人の学生も苦労しますし、ハーバードはこの授業に特に力を入れているようです。エッセーの書き方、書き直し方、ロジックを学んでいきます。エッセーのクラスは10人ずつなので、それを教える先生の数も大変多いです。
・アメリカの都市設計 →建築物のデザインから都市の歴史までを学ぶ授業です。必修選択科目の一つで、文系授業にしては読書量が少ないという噂を聞いて選んだはずなのに、トータルで1,784ページというボリュームがあり、大変苦労しました。

●定期試験について
授業一つにつきmidterm(中間試験)が2-3回。学期末試験12月と5月にあります。学期末試験のためにReading Periodと呼ばれる2週間の試験準備期間があります。図書館が24時間開いているので、その期間になると、図書館でパジャマ姿で勉強している人もいたりします。

●勉強以外の話
ほぼ毎日、大学のどこかで講演会が開かれています。例えば、
・バンギムン 国連事務総長
・アルゴア 元アメリカ副大統領
・サッセン ノーベル経済学賞受賞者
など、著名な方の講演が身近で聴けるのは、大変ありがたいことです。
その他、週末のパーティーや、オーケストラ、演劇、スポーツの試合、オペラなどイベントは盛りだくさんです。

ちなみにスポーツといえば、1875年からイェール大学とのフットボール対校戦が続いていて、これは大変盛り上がります。ハーバードは、どこの大学もライバルではないという感じだが、イェール大学は意識しているようです。

●寮生活
寮生活は、やはりアメリカの大学生活の醍醐味だと思います。朝から晩まで友達や先生と一緒にいるので、一日がとても長く感じます。通常は2-6人部屋になるが、私は運良く一人部屋でした。

●苦労した体験
まずは食事です!アメリカの食事はおいしくないといわれていますが、寮の食事はちょっと困りました。ボストンでは、日本食等を安く仕入れられるマーケットがなかったので、日本から送ってもらったカップラーメンはとても助かりました!
次にディスカッションです。
ディスカッションの練習では、学生6人で3時間、与えられた判例を見て、何がおかしいかを考え、問題点を指摘し、自分で意見を言う訓練をします。アメリカ人はよくしゃべるイメージがありますが、実は言っていることはいい加減で、悪く言えば「無責任!」な人が多いように感じました。日本人だからこそそのように感じたのかもしれませんが、いずれにせよ留学したからこそ気づけたというのも意義があったと思います。
また、読書量が多いのも本当に大変でした。自分は経済学だから少ないほうだと思いますが、それでも多く感じますので、文系の人はもっと大変だと思います。また読むだけでなく、メモを取る必要があるので、更に大変です!

●日米の学生の違い
日本の教育はバランスがいいと思いました!日本の高校で勉強していると、批判されるばかりで良い部分がわかりづらいですが、向こうに行くと日本の教育はバランスが良くできていると思います。日本では常識的なことはみんなが知っていますが、アメリカでは一分野には秀でていても、世間知らずの人が大変多いということに驚かされます。

●一年間留学して学んだこと
1.人に会うこと (一期一会)
アメリカに行くと、まわりに○○オリンピックの金メダリストなど、本当にすごい人たちがたくさんいることに驚かされます。日本でもすごい友達は居たはずなのに、まわりに目を向けるということを学びました。そんな人たちとの会話は非常に有意義だと感じています。
2.日本人とのネットワーク
学部だと日本人は学年に一人しかいませんが、大学院には優秀な日本人がたくさんいて、日本ではなかなか会えないような人と話しが出来るチャンスが多々あります。それを活かさない手はないなと感じていますが、年代が違うので、話題の面では苦労しています・・・。
3.自分や日本を見直す機会がある
日本に居ると、マイナス面ばかりが目につきますが、向こうに行くと日本の長所が目につくようになり、考えるようになりました。日本の文化、風習、政治の弁護をし、日本のことを発信することによって、自分の国を見直すことが出来るようになったと思います。

●学費の話
年間の学費は500万円超です。これには寮費や寮での食費、教科書代等含まれていますが、大変高額です。しかし奨学金の制度が充実していて、家庭の収入に応じて奨学金がもらえます。ちなみに家庭年収600万円未満の学生は授業料が免除される制度があります。平均的な奨学金の金額は385万円で、アメリカの奨学金は返済不要というのが魅力です。


それでは、皆さん、ボストンでお会いしましょう!