MBA留学準備セミナー特別編「卒業生による体験談:MBA留学の意義と価値」

去る2010年1月11日(月・祝)に、MBA卒業生お二人(佐藤氏:USC卒、間瀬氏:Kellogg卒)をお招きして、「MBA留学準備について」「MBA留学の意義と価値」について体験談をお話いただきました。セミナーは、当校の横山のファシリテートで行われました。以下抜粋です。


MBAを目差したきっかけ

横山: 本日の司会進行を勤めさせていただきますアゴス・ジャパンの横山です。よろしくお願いいたします。それではお二人の自己紹介と、なぜMBAを目指したのか、また卒業後のことをお話いただけますでしょうか。

間瀬: 留学に行く前は8年間の社会人経験を積みました。その後2年間MBA留学をし、現在に至っています。私のキャリアはシステムエンジニア、その後外資系のソフトウエアの会社で偶然のきっかけからのマーケティング担当となりました。SEからマーケティングへキャリアチェンジしたことが留学をめざすきっかけだったと思います。卒業後は、外資系の経営戦略のコンサルティングを経て、ソフトウエアのベンチャーを立ち上げました。その後はまた経営戦略の会社に戻って人事のマネージャーをしております。

佐藤: 化学材料の製造会社で41年、その間9年間は取締役として勤務しました。留学のきっかけは、入社5年目に海外研修生第一号としてニューヨークに出かけたことです。コロンビア大学の学生寮に住む機会があり、アメリカの学生生活をのぞき見して以来、アメリカで学生生活をしたいというのが長年の夢となりました。その夢が実現するのは、退職してからとなりました。また、私は海外で多くのビジネスを経験し、その中で国の歴史、文化の違いによる経営の難しさ、特に日米の経営の違いに興味を持ちました。こういった経験を自分の体験にとどめるだけではなく、自分が経営で培ったことをビジネススクールで体系化して、それをこれからの日本の経営にどう取り入れていったらいいのかをまとめてみたかったというのもMBA留学の大きなきっかけです。MBAとロースクールでの学習を経て昨年の9月に帰国し、現在は専攻していたコーポレートガバナンスの日米比較を、色々なところでお話したり、本にまとめたりということをやっています。

こだわりをもった準備が合格への鍵

横山: 振り返って思う、出願プロセスのキーポイント、苦労話などのことをお話いただけますでしょうか?

佐藤: アゴスではTOEFL(R)TEST・IELTS・GMAT(R)のクラスをとりました。大学を卒業してから40年たっていましたので、特にGMAT(R)には苦労しました。なんとか最低点をクリアできればとがんばりましたが、コンピュータディスプレイの前で3時間以上集中するのがいかに大変だったかというのを覚えています。学校については、私の場合できるだけ暖かい場所のほうがいいなと思い、スタンフォード、ペッパーダイン、USC、アリゾナ大の4校に出かけて、学校の雰囲気を実際に感じてきました。そこで実際にプログラム責任者と話をして、自分をアピールして売り込むことは、合格のポイントになると実感しました。

間瀬: 97年の10月頃に仕事の相談をしていたメンターからMAB留学を勧められました。その後、アゴスさんの当時のGMAT(R)模擬試験を受けたところ、当時の点数で530点でした。当時も私費で行くことは決めていたので、仕事をしながら自学だけでやるのは難しいと思い、予備校に通うことにしました。当時の短期集中講座に通い、次回のテストで目標スコアを達成しました。GMAT(R)は自分でコツコツやるのではなく、人に頼んでコツをつかんでやるものだと確信しました。一方、エッセイは、自分の人生の中で考えてもいなかった将来のことを真剣に考え、なおかつそれを最高の形でまとめなければなりません。でも私はそこが大切な肝だと感じましたので、結局エッセイ等の出願対策には9ヶ月くらいの時間をかけたと思います。

MBA留学は知識プラス@の効果 ネットワーク構築、グローバル・リテラシーを経験から身につけられたこと

横山: MBA留学の意義や価値、それの成果、期待していたこととのギャップなどをお話いただけますか?

間瀬: その前になぜMBAにしたのかという部分に触れますが、外資系ソフトウエアのマーケティングにおいて、本社の人間が言ってくる内容と日本の現場の内容が異なることが多々あることに気づきました。本社のマーケティングは、マーケットにどんなものを提供できるかを考えます。つまり、会社全体の経営の視点でマーケティングを位置づけて考えます。ですが、日本はマーケットにどう売るかにフォーカスしています。そこで、ビジネススクールに行けば、この違いを埋め、経営者の視点で考えられるようになりたいと考えました。この点については、MBAは期待以上の成果でした。

では、次にMBAを活用し知識習得を果たすのであれば、わざわざ留学する必要はないと思う方もいるでしょう。私にとって、現地に赴き、クラスメートとともに学ぶことは、知識以外の部分、特に人脈ネットワークが得られたという部分が一番大きな収穫であったと思います。特に、日本を含めたアジア人同窓生とのネットワークが自分にとっては大変プラスになっています。期待はずれだったことはさしてありませんが、強いて言えば自分と同じような志を持っている人ばかりとは限らなかったことです。中には、「私は人生のパートナーを見つけるためにMBAに来た」という女性もいました。

佐藤: 私は、自分が実践した経営の行動・理論を体系化したいというのが目的でしたので、アメリカの自由市場経済主義をマクロ・ミクロ経済学、国際経済学の視点から徹底的に議論できたのは大変効果的だったと思います。また、昨年のウォール街の危機というのは、金融工学のスペシャリストであるMBAのエリートたちが作った金融商品のバブルが引き起こしたことから、MBAのプログラムにも問題があるのではという声を間近に耳にすることもありました。もっとバランスのとれたリーダーを育成できるためのプログラムにしようという見直しが起きており、私は今後のMBAのプログラムに大きな期待感を持っています。

私の通ったIBEARプログラムは一年間で二年間のプログラムを消化するハードな内容でしたが、その中で有益だなと思ったのはいろいろな国の学生とチームを組んで一緒に活動するプロジェクトです。これからのグローバルな環境の中で、海外の会社とビジネスをやる、海外の会社を買ったり買われたりすることもありますし、違った歴史や文化を持った人たちと一緒に仕事をまとめていくことが求められます。そこで力を発揮していくためには、グローバルな経営に通用するリテラシーを身につけていることが大変重要になってくると思いますので、それをビジネススクールで学び、経験できたことが大きい財産と思います。

多様性あるクラスメートの中での私のMBAでのコントリビューション(貢献)

横山: 留学中の印象深かったできごと、エピソードはありますか?

佐藤: 平均年齢が33歳のクラスで、年齢層はバラエティにとんでいましたが、一番若い台湾の学生が自分のおじいさんが佐藤さんと同じ年齢だと言われました(笑)。

MBAの卒業式での最後のスピーチは、選挙で選ばれて実は私が行ったのですが、一番の年寄りにプレゼントしてくれたのだなと感謝しています。それまでの年齢レコードが57歳だったらしいので、当時66歳の私がレコードを更新したことになります。バラエティに富んだクラスの中で切磋琢磨できたこと、その成果をスピーチで話せたことは私にとって大切な思い出となりました。

間瀬: 私のクラスメートにも54歳というレーガン元大統領の主治医だった人がいました。年齢やバックグラウンドは本当にバラエティに富んでいてこれがMBAの醍醐味といえます。例えば「組織行動理論」のクラスになると、軍隊出身者がいかに組織を統率すべきかなどをがぜん発言したりと、自分の知らない世界出身のクラスメートからは大きな刺激を受けました。

また、よくMBAのクラスではコントリビューション(貢献)を求められます。何か私が貢献できることはないかと考え、前職でのネットワークを使い、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったアメリカのNTTドコモの社長にキャンパスにいらしていただきました。スピーチの後、アメリカの同級生がレジュメを持って、就職希望で彼の前に並んだのが印象的でかつ、私も鼻が高かった経験です。

MBAの意義:自信をもって自分のキャリアを切り開くことができること 人生のテーマを見つけたこと

横山: MBA、留学という時間をすごしたことによって得られた知識・スキル・思い出など、今の時点で感じる印象深いことをお話いただけますでしょうか?

間瀬: MBAという肩書きを入手したことで2つ良かったことがあります。まずはMBAホルダーというブランド。武器にして活用しているというわけではありませんが、世界のビジネスで共通の言語として使えるのは事実です。この肩書きによって、周囲からこの人はある程度わかっているというのがすぐにわかってもらえます。私は卒業後8年経ちました。その間にさまざまなライフも含めてキャリアを経ていますが、MBAを取得したことは、自信を持って現在のキャリアの第一線から退くこと、そして、自信をもってキャリアの第一線に戻ることを可能にしてくれました。

もう一つは選択肢が広くなったことです。外資系の戦略会社に就職するなんて留学前は考えてもみませんでした。きっかけはITで進むにしても戦略コンサルティングを経験するのはその後のキャリアにプラスになると思うよというアドバイスでしたが、MBAを経ることで、それまでにはありえないような選択肢が得られるというのは大変重要なことだと思います。これからも、何かを決断、選択をしなければならないことがありますが、その都度得られる人脈を通じての情報は、MBAに行っていなかったら得られなかったと感じることが多いです。

佐藤: 私はビジネススクールの後、2年間ロースクールでコーポレードガバナンスを勉強しました。その間、USCのネットワークを活用し、全米取締役協会というグループのメンバーになることができ、そこの社外取締役の人たちと日米の経営の実情について意見交換をしておりました。その協会の代表もUSCの卒業生でした。南カリフォルニアのブランチでも1000名ほどメンバーがおり、毎月いろいろなテーマでディスカッションをできました。特に、金融危機で世界にその信頼を失ったアメリカのコーポレートガバナンスを如何に再構築するかについて議論できたのが大変有意義でした。

Q&A;

横山: ここからは、会場の皆さんからの質問をお受けしたいと思います。

質問: キャンパスビジットについて、どんな準備をしていつごろ行ったのかをお話いただけますでしょうか?

間瀬: 私は仕事をしながらのコソコソ受験だったのでビジットができませんでした。逆に在学中にビジットに来る候補者を受け入れることは多かったです。アドバイスとしては、学生の部屋に転がり込むのは実は学生にとってはウエルカムなので、知り合いを通じて一晩泊めてもらったりするのもいいと思います。学校そのものだけでなく、学生ライフの真髄がわかると思います。

佐藤: 私は一週間ほど会社の休みをとって行きました。あらかじめ、こういう意図で勉強したいというエッセイを提出してから行きました。また、授業の聴講をさせてもらったのは大変良かったと思います。キャンパスビジットをして自分の考えをしっかりアピールしておくと、合格者選考の過程に入ったときにはプラスに働くのではないかと思います。

質問: 外資の製薬企業でMRをしています。マーケティングに興味がありますが、私のようなパターンは、転職を経験してマーケティングを経験してから留学すべきでしょうか?

間瀬: 留学してしまうのか転職してからがいいのかというのは、マーケティングに関する問題意識がどれだけ自分の中であるかだと思います。今までの職歴の中で、十分に課題意識が積み上げられているのであればすぐに行っても良いと思います。留学前と後でのマーケティングの仕事のイメージはかなり違ってくると思います。どれだけ問題意識を持てるかということと、授業中にどれだけ自分の体験談をクラスのみんなに伝えられるかだとます。

佐藤: 自分が行きたいと思ったタイミングで行くのが一番いいと思います。プログラムの中では、マーケティングに限らず幅広く勉強できますので、あとはその中から自分がやりたいことをフォーカスすればいいだけの話ですので、とにかく行きたいときに行くことだと思います。

質問: 入学時のエッセイについて、どれほど難しいものなのかを教えてください。

間瀬: どこの大学も共通しているのがなぜMBAが必要なのかです。Kelloggでは自分の人生の中での一番の成功体験を聞かれるのですが、普段の生活の中ではそこまで考えることはありません。一般的な成功体験は書けますが、そもそも何をもってサクセスと考えているのかをアピールするとなると、一般的なサクセスの話ではありません。オリジナリティが必要になってきます。自分はマーケティングに興味がありましたが、マーケティングに興味がある理由として、長年ボランティアで子供向けのアクティビティプログラムの開発運営に関わった経験上、思考がバラバラな子供達を納得させるときにどういうアプローチをするべきかを考えていたこと、それがまさにマーケティングだとエッセイに書きました。

ケロッグでは全てのエッセイを現役学生の選考委員が読むことになっています。在校中は授業に、将来は同窓生として出身校のブランドに、どれだけ貢献しそうな人なのかを真剣に判定します。独自の視点で話を展開し、とにかく、この人の話をもっと聞いてみたいと思わせることが重要だと思います。

佐藤: ビジネススクールへの出願は、自分の考えを整理する大変良い機会だと思います。どういう考えでMBAを目指すことにしたのか、何を勉強したくて何を期待しているのか、そしてそれを将来どう活かしたいのかをまとめることで、しっかりとアピールできれば大丈夫だと思います。

皆さんもぜひ、MBAを経験してほしい

横山: それでは最後に応援メッセージ、または母校アピールなど何か一言お願いします。

間瀬: ぜひビジネススクールに行ってください!今考えていることと行った後に考えることは絶対に違います。そして楽しくなります。いろんな人と出会いますし、自分のテーマが見つかるかもしれませんし、人生が豊かになります

佐藤: アメリカでもヨーロッパでもどのビジネススクールでもいいですが、一度は日本を出て、外から日本を見る機会をぜひ作られるといいと思います。金融危機により世界経済にパラダイムシフトが起こり大きく変化している時代だからこそ、日本の外でその変化を見、日本の将来を考えるという経験をすることは、今後皆さんが広い視点で物事を見て、ビジネスを行っていく上で大変役に立つと思います。ぜひチャレンジしてみてください。私も応援します。

横山: お二人とも本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

パネリストプロフィール:

名前:佐藤 剛(さとう ごう)氏
学校名/卒業年度 University of Southern California, Marshall School of Business, IBEAR Program 2007
卒業後は、前職の製造業界副社長の経験を活かし、同校のlaw schoolに在籍し研究員として日米のコーポレートガバナンス比較を研究し、2009年9月帰国。現在、コーポレートガバナンスの重要性を企業経営者や若手起業家を対象に講演やアドバイジングを積極的に行う。

名前: 間瀬陽子(ませ ようこ)氏
学校名/卒業年度 Kellogg School of Management class of 2001
卒業後は、経営コンサルタントとしてのキャリアを経て、ソフトウエアのベンチャーを起業。現在は、前職の経営コンサルティングファームでHR Managerとして活躍。