【特別基調講演】『目指せ、真の国際化と国際人財』

今、国、政治・経済、企業活動、社会・個人生活環境は、急激にグローバル化、ボーダレス化が加速しています。このような状況の中、みなさんは自分の将来に何を描き、何を志し、何を目指し、そしてどのようなアクションをとっていらっしゃるでしょうか?
この深く大切な問いを考えるに当たり、去る2011年1月10日に、文字通り「世界を舞台」に活躍していらっしゃる桝田淳二弁護士に『目指せ、真の国際化と国際人財』と題しましてご講演いただきました。

パネリストプロフィール
桝田 淳二 弁護士
1966年東京大学法学部卒業。
1968年弁護士登録(第二東京弁護士会)。
1971年コロンビア・ロースクール卒業(LL.M.)。
1977年桝田江尻法律事務所(あさひ・狛法律事務所の前身)創立。
1991年ニューヨーク州リーガル・コンサルタント登録。
1992年桝田江尻法律事務所ニューヨークオフィス(Masuda& Ejiri (New York))開設。
1995年ニューヨーク州弁護士登録。
2007年桝田国際法律事務所(Masuda International(New York))として独立し、長島・大野・常松法律事務所と提携。
2010年9月Nagashima Ohno & Tsunematsu NY LLPパートナー

以下本講演の抜粋です。

【特別基調講演】『目指せ、真の国際化と国際人財』


本日は、これから国際社会に向かって羽ばたいて行ける大きな可能性を秘めた皆さんの前でお話できる機会をいただき、大変光栄に思います。

私は、典型的なただの弁護士にはなりたくないという思いが強かったので、何か専門の弁護士で差別化を図りたいと思い、「国際弁護士」という道を選びましたが、まずは私がなぜこのような道を歩んできたのかをお話したいと思います。

私は大学卒業後、最初は大きな法律事務所に在籍していました。通常は3年以上実務を経てロースクールに留学するのが一般的でしたが、私は少しでも早く行きたかったので、事務所をやめて自費留学という道を選びました。

当時、私は音楽著作権侵害訴訟に関与しており、アメリカの著作権に関しての問題意識を感じていましたので、そのことを出願時にアピールしたところ、次々と合格通知、奨学金がオファーされたことを覚えています。その中でもコロンビア大学からは「学費免除(フェローシップ)」のオファーがありましたのでそこを入学先に決めました。

アメリカのロースクールはケースメソッドが中心です。逆に日本はソクラテスメソッド(一方的に伝える)と言われています。現地での授業は、ディベート方式(クラスで議論)が中心。一晩に200ページのケースを読まなければいけないこともあり、今にして思えば本当に大変な日々を過ごしていたと思います。

アメリカでは、クラスでは自分の意見を発言するためにみんなが一斉に手をあげる。アメリカでは子供のころから、みんながそういう教育を受けています。
逆に日本人は最高の答えを見つけてからでないと手をあげません。この時点で、すでに日本人はハンディキャップを持っている印象を受けます。

さらに英語力の件ですが、英検1級やTOEFL(R)TEST高得点などと言っても、国際社会では何の役にも立ちません。国際社会で太刀打ちしていくには大変高度な英語力が必要だと思います。

先ほど、アントレプレナーというありがたいご紹介をいただきましたが、私は34歳のときに法律事務所を立ち上げました。
M&A;を日本ではまだどこもやっていなかった当時、私はM&A;のパイオニアということで、あちこちから講演の依頼を受けました。特にバブル時代、日本の企業が海外の企業買収に走った頃には、私はM&A;が専門でしたので、当時の企業買収金額ベスト10ランキングの半分くらいの案件は自分が担当していたと思います。

1990年初め頃、当時私は48歳でしたが、他との決定的な差別化を図るため、また最高水準の仕事ができるようにとニューヨークにオフィスを構えることにしました。そのときの様子は、私の著書の「国際弁護士」という本に詳しく書いてあります。

日本はほとんどの会社が東京に集まっていますが、ニューヨークはそうではありません。ニューヨークは法律事務所や会計事務所、銀行等はありますが、メーカーなどの会社がないのです。日本は中央集権型ですが、アメリカは分散型で、必ずしも都市部に固まっているわけではありません。そのこともあって、大変苦労しました。

私は絶対に資格が必要だと思い、忙しくて土日しか時間が取れませんでしたが、50歳という年齢で勉強をはじめました。この時の勉強は、人生でもっとも辛い時期だったかもしれません。なにしろ若い人たちに比べて記憶力もかなり低下していたわけですから。

若い人たちは予備校に行っていたようです。彼らが一日中勉強しても解けない問題が多いのに、こちらは50代の年齢でしかも勉強時間は限定的。辛いのはもっともな話でした。それでも、あきらめたらおしまいだと思ってふんばったことで、良い結果につなげることができました。

次に、国際的なネットワークを持つ重要性についてお話したいと思います。

私は当時、若い弁護士たちと積極的に接触する努力をしていました。その後、その若い弁護士たちがアメリカ中の様々な州に散っていき、最終的にその彼らが各地の法律事務所のキーパーソンになり、私のネットワークに大変プラスになりました。私は損得勘定を考えてそうしたわけではありませんが、このときに得た教訓が、「思いも寄らない人が自分の役にたってくれることがある。リターンを気にしないでたくさんの人とコンタクトすべし。」ということです。恐らく、リターンを期待して人と接していたらこうはならなかったのではないかと思います。

そのような活動をしている中、弁護士の国際ネットワーク組織のリーダーに推薦されることもありました。その際に強く感じたことが「英語力」の必要性です。私は、国際社会でのリーダーシップを発揮するためには卓越した英語力が不可欠と考えています。相応の英語力がないと、多くの人々の心を動かして導いていくことは難しいと思います。

今日のテーマにもなっている「新の国際人」に成り得るには、国際社会でリーダーシップを発揮できることだと思います。そのためには、とにかく英語力です。単に海外で英語での学位を取ってきたとか、日本で英語を使ってなんとかできているというレベルではなく、なにがなんでも英語力を磨くべきだと思います。

自分もそうでしたが、英語はやっておかないと必ず後悔します。一日30分でもいいから継続して勉強すべきだと思います。それを5年も続けたら全然違ってくるでしょう。

英語ができるようになればなるほど、幾何級数的に可能性が拡がっていきます。

最近、日本人の内向き志向という話をよく聞きます。
ノーベル賞の根岸先生も、「若者よ、海外に出よ」と言われています。

テレビ番組の「カンブリア宮殿」にて、建築家の安藤忠雄さんが出演されたときに、「大切なのは10代の感動体験。10代に出会った感動はずっと一生引きずるものだ。」ということをおっしゃられていました。日本が今、世界の中で弱くなっているのは、そんな10代の感動体験をしてこなかったからではないのかと感じています。

最後に、本日のまとめをお話しいたします。

海外に行って勉強するメリットは、語学力だけの話ではなく、自立心が養われることだと思います。日本は世界一便利な国だと思います。他国を見ると、例えばアメリカは問題がいっぱいです。アメリカでは、自分自身で対応して解決していかなければ何もできません。このような自立心こそが、国際人にとって最も大切な感覚だと思っています。

次にディベート能力の重要性です。とにかく自分の考えを確立させていかないと国際社会ではやっていけませんし、それを実践していくべきだと思います。

また、人的ネットワーク構築の大切さは言うまでもありません。

皆さんには、とにかく挑戦心を持ってほしいと思っています。先ほどもお話ししたように、リスクが高くなければ大きな成功も成し得ません。

そして、人から教えられるのではなく、自分から積極的に勉強すること。教師の役割は意欲を持たせて導くことで、単に知識を伝達するだけのものではありません。学ぶ側が自発的に勉強する姿勢を出していくべきだと思います。

最後に、本日の「真の国際人になるためには」というテーマですが、やはり皆さんには国際社会でリーダーシップを取れるようになってほしいと思います。そのためには、創造性、起業家精神が重要なことは言うまでもありません。

英語で何かができる人はたくさんいます。でも、英語でリーダーシップが取れる人は多くありません。日本にそのような人が増えていくことが、真の国際化につながっていくことではないかと考えています。

本日はどうもありがとうございました。