【2011年MBA】トップスクール合格者によるパネルディスカッション

今春、MBAトップスクールに合格された栢沼(かやぬま)藤乃さん、白樫昌憲さんをお招きし、MBAを目指すまでの経緯や、出願戦略、成功の秘訣等をパネル形式で語っていただきました。以下抜粋です。

パネリスト:
栢沼 藤乃さん
【勤務業界】医療機器(私費)
【職種】Marketing/Product Management
【合格校】Duke University Georgetown University University of North Carolina
【進学先】Duke University

白樫 昌憲さん
【勤務業界】銀行
【職種】審査
【合格校】London Business School University of Texas University of North Carolina
【進学先】London Business School

モデレーター:
佐取 永基(アゴス・ジャパン 出願戦略コンサルタント)


<以下敬称略 ■…佐取>

自己紹介をお願いします

(栢沼)私は現在、国内医療機器メーカーにてマーケティングと製品担当業務を行っております。高校卒業後にアメリカの大学へ進学し看護学部を卒業しました。その後現地(テキサス州)と日本で看護師として働いた後、現在の勤務先である医療機器メーカーに転職して4年目を迎えています。

(白樫)私の勤務経験は長く、1999年に銀行に入行しました。その後は色々な仕事を経験しておりまして、営業1年、法務2年、経営企画3年、そして石油会社に2年半に渡り出向しファイナンス業務を担当、現在はインドの非日系企業向け融資の審査を担当しています。

MBA留学を目指したきっかけを教えてください

(白樫)出向先の石油会社の業務を通して、日本は資源の太宗を輸入に依存している上、自主開発比率(日本企業が権益を有する油・ガス田からの取引量が日本の輸入量全体に占める割合)も極めて低い現状を目の当たりにし、ファイナンス業務を通じて、日本のエネルギー企業の持続的な成長・発展、ひいては日本のエネルギー安定供給の実現に貢献したいと考えるようになりました。
そのためには、バンカーとして、単純なファイナンスの供与に止まらず、経営者の目線に立って、企業の成長戦略の立案・実現をサポートできるようになりたいと思うようになりました。このようなゴールをイメージした時に、自分はこれまでの業務経験を通じ、会計やファイナンスの知識を身に付け、リスク管理・分析能力を培って来ましたが、企業の成長・発展のための事業戦略を描く視点が欠けていることに気付きました。また、多様なメンバーから成るプロジェクトチームを束ねて行くマネジメントスキルも一層向上させる必要があると感じました。これが私がMBAを目指した背景です。

(栢沼)取引先外国企業との折衝を通して、弊社が明確なマーケティング戦略を提示できず、その企業が日本におけるビジネス展開をどうすすめるか困惑していました。その時私は、取引先との医療機器導入業務のプロジェクトマネージメントに関わっていたのですが、その分野のビジネスや営業経験もないため、最初から手探り状態でした。
そんな日々の中で、自分がマネージャー職に就いて取引先と直接折衝する立場になった時に、私は周囲を引っ張っていける人材になれるのだろうか?を自問自答するようになりました。昔から私が望んでいた公衆衛生分野へのキャリア転換を考えていたこともあり、一度、ビジネスキャリア・プランを見直すことにしました。取引先の方々や友人たちに相談を重ね、そうしたアクションから、色々なフィードバックを頂戴した結果、ビジネススクールへの進学という選択肢が私の中に浮かび上がりました。



出願準備のスケジュール設定についてお聞かせください

(栢沼)2009年の9月から12月の間にMBAフェア、学校説明会へ足を運び、これから目指す自分のキャリアプランにMBA教育が必要となるかをリサーチしました。そうした場所で出会ったMBAホルダーの方々からも話を聞いてみることで情報収集作業に努めました。
幸いにも私はアメリカの大学を卒業したこともありTOEFL(R)TEST受験が免除だったので、2010年1月からアゴスのGMAT(R)対策クラスへ通学し始め、8月まではAGOSのMBA関連のセミナーやイベントで学校情報等を集め、出願候補先のリサーチを続けていきました。そして9月には5校へのキャンパス訪問を実施しました。この訪問期間中には在校生の方々から励ましの言葉を頂戴するなど、出願準備を続ける上でのモチベーションとなりました。そして11月からエッセイ、翌年1月には面接対策の準備を開始しました。

(白樫)私は2009年秋の社内選考試験をマイルストーンとして、TOEFL(R)TESTを初受験しました。無事に社内選考に受かった後、2010年2月からAGOSへの通学を開始しました。出願に使用したTOEFL(R)TESTスコアは10月取得と約1年の時間がかかりました。一方で、GMAT(R)は5月の連休明けに勉強を始め、8月の初回受験で目標スコアを取ることができました。しかしその後、「まだ時間的に余裕があるし、更なるハイスコアを目指して・・・」と再度受験に臨んだものの、初回を上回るスコアを獲得するには至りませんでした。結果的にそこでGMAT(R)受験を切り上げ、エッセイ作成に移行しましたが、初回スコアを獲得した時点でエッセイ作成へと転じていればと、多少悔いが残ります。
出願書類の作成については、8月中旬までに林コンサルタントと自身の人生の振り返りを行いました。ここでの作業からエッセイで使うエピソードを選択することができました。そして9月からコンサルタントのJohn とのエッセイ用コンサルティングを始めました。



テスト対策について重要と思われる点を教えてください。

(白樫)時間の使い方に尽きると思います。社内で派遣生として選抜されたのが2010年2月で、そもそもスケジュールがタイトであった上、業務も通常通り行わなければなりませんでしたので、準備に必要な時間の確保に苦心しました。例えば、毎朝早起きして出勤前の30分間はQuantitativeセクション対策に充てました。また、会社では昼休みはほとんど取らずに業務を前倒しして、少しでも早く帰宅できるようにしました。このようにして「一日4時間の学習時間」を捻出しました。
TOEFL(R)TESTについては、毎日学習することを日課としました。Reading Sectionは比較的早くスコアが伸び、Writing SectionもAGOSのTOEFL(R)TEST Writingの授業で教えてくれるテンプレートを活用して練習を続けていくことで5月頃には安定して高得点が取れるようになりました。当初想定していた通り、ListeningとSpeaking対策にはある程度の時間を費やしましたが、10月にはスコアが整いました。
GMAT(R)対策のポイントは、「本試験を意識した時間配分のもとで学習をする」ことです。ある程度の正答率を維持しつつ、各セクション1問あたりの時間をどこまで短くできるか見極め、その時間を体で覚えるまで練習を繰り返しました。日々の練習では、本番同様にSC, CR, RCを織り交ぜながら、本番の3割程度の分量の問題を時間を計って集中して取り組みました。

(栢沼)私の場合は週末に計12時間を確保しました。私の経験から、本試験を意識し、PC上で受験可能な「プラクティステスト」を行うことをお勧めします。最後のGMAT(R)受験(2010年10月)に向けて、1か月間は本当に必至に取り組みました。一般的に日本人受験者の方はQuantitative Sectionで高得点を取るパターンが多いものの、やはり本番さながらの環境で練習しておかないと、本来の実力が発揮されないことも起こると思います。そのため緊張感を持続しながら学習し続けてください。

学校選択をどのように行っていったかお聞かせください。

(栢沼)先ほど申し上げました学校説明会等に加え、AGOSが開催する「MBA夏祭り」(※文末参照)イベントに足を運び情報収集に努めました。こうした経験から私にとって、学校選びにおいて重要なポイントが見えてきました。卒業後に交流するのは同窓生の方々であり、自分がその輪に入っていけるかどうか、その同窓生達が卒業後何年経っても、母校へ貢献しようと継続的に努力をしているかどうか、更には現地の学校側がこうした同窓生と積極的に交流を持つなど大事にしているかどうか、同窓生から自主性を感じ取れるかどうか。これらのポイントを見つけた後は、その基準に沿って徹底的にリサーチしました。

(白樫)私はまず社内のMBAホルダーの方々から体験談を伺うなど、身近な情報リソースへのアクセスから始めました。そして私も栢沼さんと同じで、「MBA夏祭り」で各校の卒業生の方々と話しをする中で、自分なりの学校選択の基準を明確にして行きました。具体的には、「ゼネラルマネージメント教育の質」、「資源エネルギーファイナンス分野の授業やクラブの充実度合」、「コンサルティングプロジェクトの質と量」そして最後は「雰囲気」を重視しました。



キャンパス訪問は実施されましたか?

(白樫)当初は業務が忙しく半ば諦めていました。しかし、2nd Roundの出願を終えた後、3日間休暇を取れる機会があり、2校を訪問しました。何とか時間を作っての訪問でしたが、「本当に良かった」と思えることとして、実際の授業見学ができたことです。「ビジネススクールの現場の雰囲気」を体験することで、自分が海外で生活し、ビジネススクールで学ぶイメージを明確に持つことが出来ました。インタビュー対策の準備で疲労が溜まっていたこともあり、結果的には良い気分転換となり、その後の準備に注ぐエネルギーが高まったと思います。

(栢沼)私は9月に計5校を訪れました。その中で改めて感じたことが、「日本人在校生のサポートの大切さ」です。こうした訪問することで在校生とコンタクトが取れるため、その後においても、こちらからの質問にも丁寧に応援メッセージ付きで回答してくださるなど、こうした方々の支えのおかげでMBA受験に対するモチベーションが上がりました。こうした先輩方との出会いがなければ、受験をしていなかったかもしれません。白樫さんと同じで実際の授業や在校生の雰囲気など、その学校への思い(出願理由)を語るのに大変効果的でした。そして地理的環境面においても、自分が2年間を過ごすにおいて申し分のない環境かどうか、チェックすることが出来ました。



エッセイ対策はどのように準備されましたか?

(栢沼)私は各学校が出願者に対して期待しているミッションやキーワードをHPやパンフレット、学校説明会での入学審査官の発言から整理し、自分のキャリアバックグランドや課外活動での経験事項をマトリックス化して当てはめる作業を行いました。実際のところ、エッセイ課題(やインタービュー)で聞かれる内容のうち特に重要なのは、「リーダーシップ」「チームワーク」「自分が在学中、卒業後にどう貢献できるか」、「短期、長期のキャリアビジョン」「何故その学校なのか」になります。
MBA出願用のエッセイと聞くと、「MBA取得前後のキャリア」と「リーダーシップ」で終わりという認識でいたのですが、それ以上にこれから共に学ぶ学生や教授、関係者が居住するコミュニティに対して自分がどう貢献できるかを伝えることが重要です。林コンサルタントからのアドバイスに「どんな企業に働いていたか、どんな職種だったか、だけでなく、どんな仕事や活動に従事し、どれだけ自分がそこで貢献してきたかが大事」と言われましたが、そう考えると、日本へ帰国した後も私のライフワークの1つとして取り組んできていたボランティア活動内容を伝えることで、私という人間を違う側面から審査官に理解してもらえることが分かりました。そして、エッセイ作成に関して言えば、Johnを抜きにして仕上がりませんでした。私のバックグランドを理解しくれた上で、その都度の適切なアドバイスをくれました。

(白樫)現在に至るまでの自身の人生、キャリアを振り返り、過去の重要な出来事において、自分がどう行動したか、何故そのように行動したのか、その行動の動機はどんな思想・思考に基づくものなのか、というように掘り下げ、自分という人間を見つめ直すことが大事だと思います。その上で、自身のキャリアゴール、その達成のためにMBAが何故必要なのか、何故この出願校がベストなのかをじっくり考えて行きました。自分と向き合い、自分について分かったことが増えれば増えるほどエッセイの内容にも深み(自分らしさ)が出てくると思います。
London Business Schoolには合計6題のエッセイがありました。エッセイを書き始めた当初は、すべてが仕事中心の内容となってしまいましたが、Johnより指摘を受け、仕事以外で自分の人格形成に影響を与えたエピソードについて議論して行きました。そんな折、ふとしたきっかけで、私の生まれ故郷の祭りについてJohnに話す機会がありました。私の故郷は祭りで有名な地域で、その祭りを開催するにあたり、住民が毎年6ヶ月以上もの期間を準備に費やす環境です。当初は、「この話しがMBAのエッセイにふさわしいの?」と思っていましたが、John から「その経験はあなたという人間を形作る上で大きな影響を及ぼしているのでは?」という指摘を受け、最終的には、そのエピソードをエッセイに盛り込むこととしました。



インタビュー対策についてお聞かせください

(白樫)インタビューの準備プロセスですが、2nd Round出願直後の2011年1月上旬にコンサルタントのChristinaと一般的な質問事項を20個程リストアップし、限られた時間内で要点を的確に伝える練習を2週間程行いました。その後、学校別の対策に進み、コンサルタントから出願校の過去のインタビューでの質問リストを頂き、練習を繰り返し、週1回コンサルタントとのモックインタビューに臨んでフィードバックを受けました。
学校によっては、時事問題に対する見解を求められることもありますので、世界的に注目されている政治・経済・社会に関する問題については絶えず情報を収集しておいた方が良いと思います。そして、日本人として(あるいは私の場合は金融マンとして)「自分はこう思う」という視点・意見を持っておくのが重要だと思います。練習を重ねて入念に準備すれば、それ程英語に自信がなくても乗り越えることが出来ると思います。

(栢沼)私も白樫さんと同じ意見で、面接試験では英語力以上にその中身が重視されていると思っています。同じようにChristinaと一緒に20問程度の想定質問集を用意しました。そしてエッセイとレジュメの見直し作業を徹底することで、この面接機会だからこそ伝えるポイントを書いて具体例を用意しました。実際の練習方法としてお勧めなのはインタビューコンサルティングや自分のインタビュー練習を録音(私の場合はiPhoneでボイスメモ)を取って繰り返し聞き直す練習です。この方法であれば歩きながら行えますので、時間を有効活用できます。



進学先はどのように決めましたか?また進学先に期待することを教えてください

(白樫)先に申し上げた「ゼネラルマネージメント教育の質」、「資源エネルギーファイナンス分野の授業やクラブの充実度合」、「コンサルティングプロジェクトの質と量」、「雰囲気」を総合的に判断致しました。LBSは環境ビジネスの本場である欧州地域にあり、かつロンドンの中心地にも近く、企業コンサルプロジェクトの機会も豊富です。また、学生の9割が国外からの留学生で、多様性溢れるコミュニティが大きな特徴であり魅力です。こうした環境の中で、様々なバックグラウンドの学生と共にプロジェクトへ参画し、また課外活動に取り組む経験をとても楽しみにしています。

(栢沼)出願校選定のためのリサーチを開始した当初からDukeとは「フィット感」を強く感じていました。私が最も重視した「学生同士の結束力」「ゼネラルマネージメント教育」「文化国籍だけではなくバックグラウンドや経験を含めた意味での多様性(ダイバーシティー)」「ヘルスケア分野での強み」に対して優れているコンテンツを確認できたからです。
そして最終的には在校生、卒業生、入学審査官の熱意をも考慮のポイントとして検討を重ねました。最初のコンタクト時から学校訪問の折まで本当に親切にサポートしてくださいました。私は過去の留学経験から、自分が能力を最大限に発揮するためには、今後、関わりを持つ人々の姿勢や反応が重要な要素になることを学びました。ですから、これらの理由は私にとって重要な進学先を決める要因です。



最後に、これからMBAを目指す方へメッセージをお願いします

(白樫)最後の最後まで諦めることなく頑張ってください。ビジネススクールでは、様々なバックグランドを持つ仲間との出会い、自分が変われる、成長できる機会が待っています。

(栢沼)この出願準備プロセスそのものを楽しみ、自分の身の回りにあるネットワークを大事に使い、色々な方々との交流を通じて準備を続けるエネルギーへと換えてください。そしてMBA留学前である今から、自分が仕事や仕事以外で社会に貢献できることを実践していくとMBA留学中、留学後の自分へつなげることができるでしょう。