【新春特別セミナー】世界級キャリアへのスタート ~国際派人材へのススメ~


2013年新春特別セミナーとして、『世界級キャリアのつくり方』著者の黒川清先生をお招きし、今こそ必要な国際派プロフェッショナル人材について、参加者の皆さんとともに考察を深めていくイベントを開催しました。

パネリスト:
黒川 清 (くろかわ・きよし)氏
政策研究大学院大学アカデミックフェロー
Health and Global Policy Institute 代表理事
Chair and Founder, IMPACT Foundation Japan、東京大学名誉教授

東京大学医学部卒業。69年に渡米、79年UCLA内科教授。83年帰国後、東京大学内科教授、東海大学医学部長、日本学術会議会長、内閣府総合科学技術会議議員(2003-07年)、内閣特別顧問(2006-08年)、WHOコミッショナー(2005-09年)などを歴任。国際科学者連合体の役員など幅広い分野で活躍。2011年12月から国会の福島原子力発電所事故調査委員会委員長(~2012年7月)。現在、MIT、コロンビア大学客員研究員。著書『世界級キャリアのつくり方』他。
Foreign Policy 100 Top Global Thinkers 2012, AAAS Scientific Freedom and Responsibility Award   http://www.kiyoshikurokawa.com/

ファシリテーター:
アゴス・ジャパン代表取締役 横山 匡



以下イベント抜粋です。
(2013年1月14日月曜日、成人の日。セミナー当日東京は初雪を観測し、大荒れの天気模様でした。)


第一部:黒川先生からのメッセージ


■ オープニング・トーク

「今日の雪を誰か予期できましたか?誰かこれから10年後に日本がどうなるか予期できるだろうか?」

「誰も未来の予測はできない、であれば私が貴方に問いたいのは、『あなたは何をしたい?』ということ」


■ Age of Uncertainty ~ Have you become wiser?

・ipadがいつできたか覚えてる?2010年だよ。あっという間に世界を変えた。これからもあっという間に世界は変わっていく。
・人間の数が増えて、猛烈な勢いで誰もがつながりはじめた。
・こういう世界の中で、あなたたちはどういう人間になっていってたらいいのか?

web1.0 web2.0 web3.0 黒川 清氏

・僕は、原発事故直後の8日間くらいは、twitterのRTしかしていなかった。日本の政府が発信してなかったことを、海外のメディアからかき集めて拡散した。
・日本の政府やTEPCOが発信してなかったことにより、日本そのものへの信頼が暴落した。
・自分たちで正しい対応策を取らないと、信頼暴落は止まらない。なので、福島原子力発電所事故調査委員会の委員長をやると決めた。

■ Knowledge is digitalizeable | Wisdom has to be earned

・例えばエルミタージュ美術館の展示物はほぼネットで見られる。
・ナレッジだけだったら、誰もが簡単に手に入れられるようになる。
・必要なのは、実体験と経験する場。

■ 留学先のペンシルバニア大教授に、出会ってすぐに言われた印象深いこと、3つ。

1. あなたは私の手伝いに来たわけじゃない。独立した研究者になるためにここに来たんだよ。
2. あなたは腎臓の専門だから、あなたの意見をどんどん言ってくれ。私が教授だからって絶対に遠慮するな。
  僕らは対等だ。
3. わからない時は、必ずわからないと言ってくれ。日本人はわからない時にニコニコするが、それでは困る。

■「国際プロ」に必要な五つの力

1. 現場力
2. 表現力
3. 時感力
4. 当事者力
5. 直観力

■ Principles - 1

・RESILIENCE instead of Strength
   この変化の時代、何が起きても対応していけるような、しなやかさが大事。
・RISK instead of Safety
・SYSTEMS instead of Objects

■ Principles - 2

・COMPASSES instead of Maps
   どこに向かいたいのか。
・PULL instead of Push
   世界がほしがるものをつくろうよ。
   新興国で、使わないボタンを何個も付けた高機能電子レンジが必要なの?
・PRACTICE instead of Theory
   テニスのビデオをいくら見たって、練習しなきゃうまくならないよ。

■ Principles - 3

・DISOBEDIENCE instead of Compliance
   常に変なことをいう人は大事な存在。日本人はそれが苦手。
   横並びで突出できるのか?
・CROWDS instead of Experts
   専門家のいうことが必ずしも正しいとは限らない。
   多くの人の集まりの持つパワー。
・LEARNING instead of Education
   常に学び続ける、先生も生徒も学校も組織も。

『あなたは何者かと聞かれて、あなたはどう答えるのか?』



第二部:Q&A;セッション(一部抜粋です)



■ 感じ取る力とは?

(黒川)20代にもなれば、自分がしたいことは心の中に2~3ある。それに気づくかどうかは、どんな場で誰と出会うか。特にリベラルアーツは、4年間の間に、自分が本当にやりたいことを見つけるためのもの。


■どうやって海外で仲間をつくればいい?

(黒川)ないよ、そんなノウハウ(笑)考えが違う人の中で自分が磨かれていくんだよ。

(横山) 一橋大の野中郁次郎先生とハーバード・ビシネススクールの竹内先生の論文、『賢慮のリーダー』(ハーバードビジネスレビュー2011年9月)を読んでみて。
ノウハウじゃなく、wisdomが必要だよ。


■ 海外の大学留学経験者です。社内の視野が狭い先輩層と意見が合わない。どうしたらいい?

(黒川) あなた自身がハッピーになればいい。周りはどーでもいいじゃない。
留学という特殊な経験をしていて、周りと意見が合わないなら、それはあなたがユニークなバリューとアドバンテージを持っているってこと。
いまは古い組織にいるからそう感じる。あなたがいる場所を変えれば、ユニークなバリューは活きるんだよ。

(横山)出る杭になった時のリスク VS 出る杭にならなかった時のリスク。 いつの時代も一握りの人たちは、現状に不満を感じて変化を起こそうとしてきた。
あなたはそれになるのか?それとも?