2015年7月12日 第3回『アゴス・ジャパン アジアMBA夏祭り』


現在までMBAと言えば欧米が主流でしたが、近年、日本企業のアジアを起点としたグローバル化に伴い、シンガポール、中国を中心としたアジア諸国におけるMBA取得を目指す方が増えてきています。今年で3回目の開催となった本イベントには、130人の方が参加されました。

◇日時: 2015年7月12日(日) 13:30-17:00
◇会場: 渋谷 渋東シネタワー11階

◇イベントスケジュール
第1部:13:30~15:00 卒業生によるパネルディスカッション

■パネルディスカッションより一部抜粋してお伝えします。

モデレーター
・大内昭典氏
長江商学院 2010年入学 (私費)
外資証券/投資銀行業務(留学前)
総合金融サービス/事業投資(留学後)

中国・北京に長江商学院というアリババ創業者のジャック・マーを輩出した中国では有名なビジネススクールがありまして、私はそこを2011年に卒業しました。卒業後、そのまま北京に残ることを決意し、北京で今の会社に就職しました。北京で丸4年間過ごしたあと、会社の異動で今は香港で働いています。今回はこのイベントのために香港から参りました。アジアのMBAはまだまだ少ないのが現状ですが(海外MBA留学生の約10%)、一方でアジアと関わるビジネス、例えば、インバウンドのビジネスは今日本でも盛んになってきていますので、中国、韓国をはじめアジアの同世代の人々と交流を深める、現地の生活・文化を理解するために、アジアに1-2年間MBA留学するという選択肢が徐々に拡がっていくかと思います。
ただ、アジアのMBAについては、欧米のMBAと比べて、リアルなMBA生活を伝える卒業生がまだまだ少ないので、本日のイベントでアジアのMBAの魅力を大いにお伝えできればと思っています。


・佐竹晃太氏
中欧国際工商学院 2012年入学 (私費)
病院業界/内科医(留学前)
医療IT/起業(留学後)

2012年から2014年まで中国上海にあるCEIBSに留学していました。
留学前、私は病院で内科医をしていたんですが、今回中国とアメリカも1年を含めた2年間留学をしました。なぜ中国、CEIBSなのかといいますと、ずっと病院で働いている関係で、病院業界のこと、医学のことをやっていたんですが、新しいことを学んでみたいという思いが強くなったのがきっかけです。あと、今まで住んだことがないところに住んでみたいという純粋な思いもありまして、MBAを志しました。MBAはアメリカやヨーロッパが一般的ではあるのですが、アメリカは旅行で行けますし、仕事で行くこともあります。中国を含めアジアで長期で住むとか働くというのはMBAがないとなかなかできないなという思いも強くありました。

CEIBSは上海という最も面白い都市にあるだけじゃなくて、Financial Timesなどのグローバルランキングでも上位に入っていて、最新のランキングでは、グローバルでは11位、アジアではNo.1です。かなり質の高いビジネススクールなのかなと感じました。実際に学校に行ってみても、中国人が多いながらも、中国人の中でもしっかりとしたキャリアを歩んでいる学生ばかりでした。中国以外のアジアやアメリカからの留学生も結構いました。先生方もかなり質の高い方が多かったです。米国のトップビジネススクールで教壇を取っていた教授もたくさんいて、中国の良いクオリティだけではなくて、グローバルでも良い教授を集めた学校だと感じました。

CEIBSの授業の特徴としては、基本的にはハーバードやINSEADのケースを使いますが、それとは別に中国企業を扱ったCEIBSオリジナルのケースが2割ほどありました。一般的なMBAと比べて中国に特化しているのが特徴です。CEIBSならではの特徴としては交換留学だけではなく、アメリカの大学院とプログラムを連携していることがあげられます。中国でMBAが取得できるのと同時にアメリカの他マスター、ディグリーも取れます。

私の学年の人数は200名ほどで、内訳は6割強は中国人であとは他国籍でした。
日本人は少ないです。中国人が多いながらも、海外経験のある中国人もいるので、かなりグローバルな環境になっています。
中国のなんでもアリの環境で住んだこと、アメリカでいわゆるでっかい外人に囲まれてもまれたことが、自分の力になって帰国後の起業につながったと思います。

・福田晋也氏
香港中文大学 2013年入学 (社費)
情報通信(留学前)
情報通信(留学後)

香港中文大学を2013年入学、2014年卒業しました。
なぜMBAかといいますと、会社の方がグローバル化が進んでおりまして、
会社の方針で若手をどんどんグローバルエリアに出そうということで、その一環として、
社費の留学をさせていただきました。
入社して本社機構の中をぐるぐるするキャリアなんですが、このままでいいのかなということを、自分の中で今一度見つめ直したいとい思い、会社の制度に乗っかって留学しました。
卒業後、海外のグループ会社に行かせてもらえるのかと思っていたら、辞令が「総務」でした。なんで?と聞いたところ、弊社のオフィスは今、新しくオフィスビルを建てているのですが、そこでGoogleにも負けない、外資系にも負けないオフィスを構築するというプロジェクトに参加することで総務に異動になりました。私自身も非常に思いがけないことでして、ただ、MBAを経験したことが、会社の中でもある程度評価されまして、自分の中でもキャリアを広げるきっかけになるのかなと思っています。

社費の場合、就職活動をしなくてもいいので、非常に時間があります。香港のMBAとかは1年で、欧米よりもかなり圧縮しているとはいえ、おそらく日本人のポテンシャルをもってすれば、たぶん楽勝じゃないかと思います。社費の方は、勉強も思う存分やっていただいて、就職活動をしなくてもいい時間分を、ネットワーキングイベントとか、自分でイベントを立ち上げたりだとか、現地でしかできないことをやっていただきたいなと思っています。


・川崎貴聖氏
香港科技大学 2011年入学 (社費)
外資系PE/経営(留学前)
外資系投資会社/経営/ベンチャー(留学後)

私は2011年に香港科学技術大学のフルタイムのMBAに入りまして、2013年に卒業しました。香港にヘッドクォーターがありまして、アジア複数カ国に渡って活動しているんですけれども、事業家、起業家、投資家としての3つの顔を持って今活躍しようと日々精進しているところです。
MBAにいく理由ですが、中国だけではなく、他のアジアの国も含めていろいろな国の人、文化、国籍、バックグラウンドの異なる人を巻き込んで、リーダーとして活躍したいと思うようになりました。単純なキャリアの延長ではなくて、MBAというちょっと違う機会で、そういうことを学べるんじゃないかと思ったのが、きっかけです。
なぜ香港科学技術大学を選んだかという理由なんですけど、1つは卒業後にアジアで働きたい、そこのリーダーになりたいというのがあったので、アジアに直結した大学がいいなと。具体的には、学生が卒業後にアジアで働きたいということ、強い意志を持って切磋琢磨する場所がいいなと。その意味では欧米とか、どんなに名門でも私の中では最初から選択肢にはありませんでした。もう1つは、教材であり、教授であり、そういった方々がやはりアジアのプロであること。そんな中でランキングも高かった香港科学技術大学を選べば、それなりの人がいるんじゃないかと。

授業はアジアを重視して進められています。在学中スペインに交換留学しましたが、あちらではラテン的な見方が強いように、香港ではアジア的な見方が強いです。
クラスの比率に関して言えば東洋と西洋の割合がうまく半々になっているので、雰囲気は国連のような感じです。印象的だった授業としては、グループの内部にどう働きかけるかというものがありました。具体的には、食中毒事件をおこしてしまった企業の社長という設定で謝罪会見をするというものや、取締役会で反対派の立場から、事業の撤退を進言しなくてはならないというものなどですね。
様々な文化を持つ学生がいるので、やはり特徴がでます。ステレオタイプでよくないですが、アジア圏の学生は謝罪になると曖昧な言い方をするし、欧米の学生は曖昧にせず、鋭く攻めてきます。それは、私から見るとストレートすぎるように感じるわけです。しかしそれが世界の常識なんだとも感じました。自分の常識の範囲が増えていくのでとても楽しかったです。現在私は外部交渉の責任者の立場なのでとても役に立っていますね。

MBAの中で学んだことは大きく分けて2つです。1つは自己発信力。相手がどんな国の人であろうとも、どんな文化の人であろうと、どんなポジションの人でも、自分の言いたいことが言える発信力です。もう1つが、そういう混沌とした異質な集団の中でリーダーシップを取るということです。



・佐藤正剛氏
シンガポール国立大学 2013年入学 (私費)
重工業(留学前)
コンサルティング(留学後)

シンガポール国立大学のMBAコースに2013年に入学しました。
コンサルティング業界に今は所属しておりまして、MBAに行く前は日系の重工業メーカーで働いていました。
なぜアジアを選んだかということですが、主にアジアを中心としたビジネスに携わりたいというのがありました。また、海外のプラントビジネスに関わる中で、必ずしも欧米流のやり方が正しいわけではないというのを痛感した瞬間があり、本当にグローバルスタンダードと言われる欧米式を追うべきなのであろうか、というのを考えたのがアジアを選んだきっかけでした。

業務で中国・香港に滞在したことがあったため違った環境を求めていたこと、また、政治・経済が抜群に安定していることで家族も連れて行きやすいことなどから、シンガポールを選択しました。当初は社費での留学を目指してこっそりと準備し合格通知を持って申請しましたが、社内事情で却下されたため、休職のみを認めてもらい、転職を念頭に私費で留学しました

NUSはシンガポールの大学のため、シンガポール周辺の人々が集まっている思われがちですが、実はそうでもなく、インド系や中国系の学生がかなりを占めます。日本人もかなり増えてきているので、第3勢力くらいになっています。近年ではアセアン諸国からの留学生も急増しているようです。ケースはハーバードのものも扱いますが、その中でも東南アジアのケースを中心とし、さらにNUSが独自に開発したケースもありますので、アジアビジネスへの適応力をつけるには非常に良い環境が整っております。


・向井秀明氏
早稲田-ナンヤンダブルMBA 2011年入学 (私費)
外資IT/技術営業(留学前)
日系IT/新規事業開発(留学後)

シンガポール国立ナンヤン理工大学というのがありまして、そこのMBAプログラムと早稲田のMBAプログラムこの両方を1年で取れる、早稲田-ナンヤン ダブルMBAというのがあるんです。そこのプログラムを2012年に卒業しました。
なぜこのプログラムを選んだかというと、アジアがぐんぐん伸びていく中で、アジアでMBAを取っておけば、将来自分のバリューを出せる場所が増えるだろうと、そういう仮説が当時ありまして。結果的にそれは正解で、帰ってきてすぐに声がかかるという形で、会社のシンガポール立ち上げ責任者をやらせてもらいました。
このDouble MBAプログラムは、ナンヤンの方からはランキングもトップクラスでインターナショナルなビジネススクールの授業が受けられますし、同時に早稲田の著名な教授からも授業が受けられるので、両方の良いとこ取りができるのが一番の魅力でした。
昔はレーシングカーの設計者をやっていて、その後、ITコンサルタントになりました。いろいろと経営者の方とお話しする中で、全く経営者目線がないので、MBAの必要性を感じました。取得後は、そこから新規事業開発という形にキャリアチェンジを、MBAを通じてすることができました。つまり、ただのエンジニアから、どうやってお金が流れるか、どうやってお金を儲けるか、世の中をどうやって良くしていくか、そういったことをする仕事にスイッチできました。そういう意味でもMBAってすごい力を持っていますので、ぜひ皆様にもアジアでMBAを取って、本当にやりたいことを実現する糧にしてもらえたらと思います。

南洋理工大学はアジアの中でも比較的インターナショナルな国にあることもあり、各国籍単位ではMAXで10%という上限を設けています。非常にバランスのいい割合です。とはいえシンガポールらしさはかなり出ていて、扱うケースも20~30%はアジア・シンガポールのものを扱います。それを元にインターナショナルなクラスでアジア寄りの面白いディスカッションができます。

私が一番感銘を受けた授業はEconomistが主催するプロフェッサーオブザイヤーで優勝をした教授の授業で、「Skypeはなぜ儲かるか」といったeビジネスの裏側を説明してくれる授業です。他には「eBayはなぜ中国では失敗してアメリカで成功したか」などそういったテーマで多国籍の意見を聞けるとても楽しい授業でした。
早稲田の方では、ハーバードで書かれた日本の会社のケースを題材に、トップコンサルタントとしての経験を持つ日本人教授の指導のもと日本人目線で発表を行ました。これに対して海外の学生がどういった意見を浴びせてくるのかというところは、非常に学びが多くかつ参考になりました。特に、日本の会社のケースだと日本人がリードポジションをとるので、フォロワーでいるのとは違う貴重な経験が出来ます。一般的にアジアのビジネススクールでは、日本人は先進国から来た学生として一目置かれやすい存在であり、この立場を活かしリーダーとして活躍することで大きな成長が期待できます。



◆アジェンダ:
「なぜ今、アジアのMBAなのか」
「アジアのMBAの特徴は何か。投資対効果に満足しているか。」
「アジアのMBAはキャリアアップに役立つのか。採用企業は卒業生に何を期待しているのか。」

第2部:15:00~17:00 各校ブース形式での学校紹介

◇参加出身校:10校 
・清華大学経済管理学院/ School of Economics and Management Tsinghua University
・北京大学光華管理学院/ Guanghua School of Management Peking University
・長江商学院/ Cheung Kong Graduate School of Business
・中欧国際工商学院(CEIBS)/ China Europe International Business School
・香港中文大学/ The Chinese University of Hong Kong
・香港科技大学/ The Hong Kong University of Science and Technology
・香港大学/ The University of Hong Kong
・シンガポール国立大学/ National University of Singapore Business School
・南洋理工大学 Nanyang MBA 
・南洋理工大学/早稲田大学 Nanyang-Waseda Double MBA 
・一橋大学大学院国際企業戦略研究科(一橋ICS)/Hitotsubashi ICS


■総括
本イベントを通して、海外MBA留学のうち、経済成長著しいアジアのMBAを目指している方が増加していること、英語圏かつビジネスのハブ機能を有する香港やシンガポールの人気が高く、学校紹介ブースは行列ができていました。

パネルディスカッションでは、香港でMBAを取得された方が、「クラスメイトが東洋人と西洋人で50:50だったことが特徴的だと思う。」とおっしゃっていました。ビジネススクールでは国別に入学させる人数の比率が決まっていて、その学校が所在する国が出身国である人が多くを占めることがよくあります。しかし、香港でのクラスは人種のバランスがうまくとれており、「ミニ国連」のようなものだったそうです。
東洋人の考え方、西洋人の考え方両方を体験できたのは貴重だったとのことでした。

MBA取得後はアジアでのビジネス立ち上げのためのプロジェクト・マネージャーに抜擢されたり、起業をしてアジア各国でビジネスをされたり、アジアで活躍中のようです。
今後の成長が見込まれるアジアでMBAを取得することがスタンダードになる時代は
そう遠くないのかもしれません。