【社会人対象】女性のためのMBA留学の意義と価値

去る、2009年3月18日(水)に、「女性のためのMBA留学の意義と価値」というタイトルでイベントを行いました。ここでは、第一部で使用したセミナーのスライド、及び第二部「女性MBA留学経験者によるパネルディスカッション」のサマリーをお届けいたします。

第一部:「女性を取り巻く留学事情」

セミナー講師:横山 匡 アゴス・ジャパン 会長

イベントのスライドはこちら


第二部:「女性MBA留学経験者によるパネルディスカッション」

モデレーター:入住 寿彦(Toshihiko Irisumi) 氏 ALPHA LEADERS 代表

パネリスト:
谷井 麻衣子 (Maiko Tanii) 氏
現在 スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 プロダクトマネジメント本部 計画管理部長。慶応義塾大学総合政策学部卒。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2003年にハーバード・ビジネス・スクールに留学。卒業後、スターバックスコーヒーカンパニー(米国シアトル)に入社。2007年にスターバックスコーヒージャパン株式会社に移り、経営企画部長を経て現職。

長谷川 幸江 (Sachie Hasegawa) 氏
お茶の水女子大学文教育学部卒業。大手都市銀行に入行。7年間支店で営業職に従事。育児休職中に読んだ「女性たちのMBA」に触発される。紆余曲折を経て29歳のときMBA取得を決断し、退職。韓国系ITベンチャーに転職し、仕事の傍ら留学準備を行う。この間、区立保育園のあり方(質の維持と経営効率化)をテーマに地域活動にも携わる。2004年シカゴ大学ビジネススクールへ6歳の子供を連れて留学し、2006年卒業(MBA取得)。留学中には米系投資銀行でインターン、卒業後は米系事業会社の商業金融部門にて不動産投資業務に従事。

藤代 典子(Noriko Fujishiro) 氏
ザ・リッツ・カールトン東京 マーケティングマネージャー。
日本電信電話株式会社へ勤務後、2004年、南カリフォルニア大学 マーシャル・スクール・オブ・ビジネス(Marshall School of Business)に留学。2006年卒業後、ホテルへの投資関連会社を経て、現職。

(敬称略)
藤代>1996年に大学を卒業し、NTTに入社しました。そこは幸いなことに、MBA保持者やIT起業をする多くの先輩方に出会える環境で、新入社員の私には彼らがとてもまぶしく輝いて見えました。彼らのように私も必死になって何かをしたいと思いました。今しかできないことを考え、南カリフォルニア大学(以下USC)に私費留学しました。卒業後はキャリア・チェンジをし、ホテルの投資ファンドに従事することになりました。

長谷川>お茶の水大学を卒業し某大手都市銀行の地域限定総合職に携わっていました。早くに結婚、出産をしました。当時は結婚しても働きたいなぁ、というぼんやりとしたイメージしかありませんでしたが、ある日古本屋で「女性のためのMBA」という本を見つけ刺激を受け、MBAを目指したいと考えるようになりました。しかし子供もいるためMBA取得は不可能だとも思いました。もし子供がいなければ、などと思うこともありましたが、やはりMBAを取得したいと思い勉強を開始しました。しかし、私は銀行で働いていたことから他者との差別化が出来ないと思い、2年半韓国でベンチャーを経験し勉強しました。MBAは3rdラウンドで挑戦して、シカゴ大学ビジネススクールに合格しました。卒業後は金融で働きたかったため、外資系投資銀行でインターンをし、結果、外資系メーカーで働くことになりました。

谷井>慶應大学卒業後、海外に行くという夢もあって、アクセンチュアに入社しました。そこで6年間、業務プロセス、ITの導入の仕事をしていました。同期の中でも一番速いタイミングでマネージャーになったため、そこを自分のアピールポイントとしてMBA受験をしました。2005年にHBSを卒業し、スターバックスに入社しました。HBSを目指し始めたきっかけは、Woman MBAというセミナーで出会ったアルムナイの女性に勧められたことです。「私はHBSしかない!」という思いで受験をしました。皆さんも自分に合うと思われる大学を探されるといいと思います。準備期間は短かったですが、受験準備のぎりぎりまで仕事をしながらアプライし、合格を勝ち取れたことは誇りに思っています。

モデレーター>MBAで得たことは何ですか?また、MBAのメリットとデメリットは何でしょうか?

藤代>MBA取得はすごく大変でしたが、学業以外にも得たものは大きかったです。語学留学とは違い学位という形で結果が残せます。また、USCは他のMBAと違いバンキング、コンサルティングに行く人が少なく、映画、エンタメ、不動産に行く人が多く、ダイバーシティが高かったです。一つの会社組織の中でエリートサラリーマンとして上を目指していくタイプでない、起業をする人たちに出会えたことも得たことのひとつです。また、日本に生まれたありがたさに改めて気づきました。いつ国がなくなるかわからないような政情不安な地域からきた留学生は、アメリカンドリームを叶えるべく必死でMBAやその先の米国での就職、グリーンカード取得を目指していました。加えて、私は日本では社会人歴8年でそれなりに仕事にも自信をつけてきた時期でしたが、他の国からビザをもらって留学することによって、人に助けられてようやく生きていけるということに気づいたのです。デメリットをあえてあげると、お金の観点ではまだ卒業後2年ではペイしきれてないし、2年間の仕事のブランクがあるという点もあります。しかしながら、結果としては、MBA留学をしてとても良かったと思っています。

長谷川>ハイレベルな友達にも囲まれたり、海外で生活したりして世界が2次元から3次元に広がりました。そこでの友人とは今でも交流あります。しかし、MBA留学の際、キャリアがリセットされるので若い時に行った方がいいと思います。MBAがあればどこに行ってもネットワークが広く、全くの初対面という人がほとんどいません。また、MBAを取ればジョブに応募した際の書類審査は絶対通ります。また、苦労して乗り越えたことの自信もつきました。問題点と言えば、家族全員で留学をしたので金銭的にはリカバリーが大変なことでしょうか。キャリアの継続性では勤め続けた人に劣りますし、ポジションがアップしない、もっと若い時に行けば良かったということです。

谷井>私はMBAで、自分が大きなお金を動かす金融業界のような仕事にはあまり興味がないことに気づきました。自分が本当に好きなものを考える時間がありました。また、女性のリーダーの話を聞いていろんな道が見えてきました。2年間は必死で勉強して余裕がなかったので卒業後に仲良くなったのですが、何でも話せる友達もできました。2年間は必死で勉強して余裕がなかったので卒業後に仲良くなったのですが、英語も日本語と同じくらい楽になりました。今では5年前の自分が想像出来なくなるくらい変りました。問題点と言えば、無理をしすぎて体調を崩したり、留学する年齢によっては婚期が遅れる可能性があることですかね。学歴やキャリアがあっても独身だと、日本ではかわいそうと思われるようなので(笑)。

(以下Q&A;セッション)

質問者>MBAのキャリアでのメリットは何ですか。キャリア機会の広がり、数年のトレンドはどういったものでしょうか?行くタイミングは早いほうが良いと仰っておりましたが、その根拠をお教えください。

谷井>ジョブに応募する際の書類はパスできる可能性が高いです。ヘッドハンターの目にも留まりやすくなりますが、留学する前も後も仕事で結果を出すことが大事です。ネットワークは格段に広くなりますね。

長谷川>早いほうがいいのはMBA取得後にキャリアがリセットされるためです。でも結局は自分のやりたいことにベストの方法でアプローチするのが最優先なので、それぞれのタイミングで行けばいいと思います。また、キャリア機会については色々な会社から声がかかるようになります。面接を特別にして頂けたり、先輩からも情報が沢山得られたりします。学校選びはやりたいことを考えて、その実現に向けた最善の学校を選ぶのが良いと思います。

藤代>以前はキャリア上のロールモデルを見つけられず5年後、10年後が想像できませんでした。しかし留学準備のエッセイを書いているうちに自分がやりたい分野はホスピタリティ事業だと判ってきました。卒業後の就職は、USCの先輩のネットワークによるものです。ビジネススクールへ行くには5年くらいの職務経験が必要かもしれません。体力面できついのでそういった意味では若いうちに行った方がいいですね。

質問者>なぜ他のマスターでなくあえてMBAなのでしょうか。また、トップクラスのMBAでなく、地方のMBAの劣るとこは?

谷井>MBAは1科目の勉強でなく、仕事と同じでトレーニングさせられる感覚です。自分でやるべきことを見つけて取捨選択し知識が広がっていくのです。ジェネラル・マネージャーとしていろいろなことを繋げて考えたかったので1科目でなく、いろいろな分野について幅広く学べるのは良かったと思います。幅広くキャリアニーズに対応でき、世の中のことが何故起こっているのか分かるようになりました。トップスクールは融資制度がしっかりしていますし、設備、教授、生徒の質がいいですね。でも、実際は学校のカラーによるので出身の方と話をして決めるべきです。多額の費用がかかるので、行きたかったわけではない学校への出資はお勧めしません。

長谷川>シカゴ大学はとる科目がフレキシブルで、興味が出てきたらそこを固めて勉強出来ます。MBAでビジネス全般を知れるのでそれがいいところです。やりたいことが固まっていても変わっても対応可能です。また、浅く広く実際のビジネスが学べるのがいい所。私はトップ・スクールにこだわりました。日本人が知っている有名どこのほうが日本での価値が高いですから。MBAでない有名大学のマスターへ留学するという選択肢もありますが、受ける刺激が違いますし、多額の投資に見合うリターンのある学校選びをお勧めします。

藤代>将来、ジェネラルマネージャーとして企業をリードしていくためには、財務部、マーケティング部などの各コンポーネントだけではなく、全部の部署を纏める上で共通語を知っておかなければならないと思いますが、MBAはまさに全てを広く浅く網羅できるジェネラルマネージャー養成所でした。例えば、1年生の最後に取り組むブラジル、チリでのコンサルティング実習は、1年間で学んだ学科の全てのコンポーネントを繋げていくしくみでした。社費ではトップ校に行かなければ、という基準がありますが、私費でも私財を投資するので社費同様に妥協するべきではない。行きたいとこに行けないなら諦めるというのも1つの手段だと思います。

質問者>子供と一緒に留学したいのですが、どれくらい困難だったのでしょうか?

長谷川>子供は出来れば連れてかない方が良いと思います。本国に置いておく人もいました。子供がいるとやはり苦労します。自分の場合子供の面倒を見てくれる人がいたので、他の生徒とあまり変わらない生活が出来ましたけど。子供がいたからこそ逆に差別化ができたということもあります。準備の時はあまり子育てしていませんでしたが、添い寝はしていました。朝までいっしょに寝てしまって毎日自己嫌悪に陥いってました。その分週末に勉強していました。

谷井>やっぱり自分の時間が確保できないときついです。子供を国に置いてきた人やベビーシッター雇っている人もいました。

藤代>MBA、MRS(ミセス)、MOM(ママ)のトリプルディグリーを目標にしていましたが(笑)、3つは無理でした。やっぱり大変だから事前にパートナーと時期とか相談したほうがいい・・・。

質問者>学校探しってどうやればいいのですか?なぜその学校に決めたかを教えて下さい。

谷井>時間があればキャンパスをめぐって実際に授業に参加するのがお勧めです。エッセイ、推薦状でどこに重点を置いているか、卒業生はどのような人がいるかを見ればどんな学校がわかります。また、学校の周りの環境も2年間過ごすので、学校選びの基準の1つです。私はトップ20を自分なりにエクセルを使って分析して考えました。

長谷川>エッセイの時期から出せる学校を選びました。条件は名が通った学校であること、ファイナンス、或るいは公共政策に力を入れているかでした。

藤代>場所は日本からアクセスのいいところを、学校は先輩たちの卒業後のキャリアや、エッセイの質問事項から学校が重視している価値観を見ました。実際に学校に行ってみて面接官の話を聞いたり、授業に出たりしてそれを確かめました。

モデレーター>最後にMBAを目指す女性の方々にエールをお願いします。

長谷川>とにかく諦めないで下さい。意志を曲げないで頑張り続けることが一番大事です。心の底でやりたいと思っていることにチャレンジしてみると後悔は少ないです。

谷井>自分をどう売るか、総合的に考える機会を与えてくれるのがMBA。日本人という価値も活かせます。

藤代>MBAに興味を持った時にははじめて相談したメンターに「留学しようと気づくこと自体がチャンス。」と言われ決心しました。

横山>思ったら動く、動いたらやり切る。次の世代につながるように挑戦、合格を! 目的は合格じゃない。そもそもの目的は何か、を常に考えて下さい。人生は1度しかないのでRight time にright thingをやりましょう。

入住>自分の人生を自分でコントロールしましょう。MBAはそのための最高の手段だと思います。強い意志をもってやり切って下さい。

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