【AGOS/Devex共催】 国際協力のキャリアと大学院留学の意義

去る2010年3月22日に、国際協力業界への専門人材コンサルティングサービスを展開するDevexから、コンサルタントの方をお招きし、国際協力業界でのキャリアパターンについて、成功できる人材像、大学院留学体験談を通じて、国際協力の世界で求められるスキルを、大学院留学を通じてどのように獲得していったのかを語っていただきました。

パネリストプロフィール
高橋 宏太郎 氏 (デベックス日本代表者)  JICA、外務省を経てデベックス日本支店を立ち上げ、代表に就任。2002年ハーバード大学ケネディスクール行政学修士号取得。

久保田 利恵子 氏 (デベックスシニアアソシエイト)  JICAを経て、2009年イタリア・トリノ大学政治学研究科において政治学(文化政策)修士号取得。 現在はデベックス日本支店にて広報、人事、人材育成研修などに携わる。

セミナーは、当校の横山のファシリテートで行われました。以下抜粋です。


国際協力業界を目指したきっかけと大学院留学
その後の人材コンサルタントとしてのキャリアへの思いを 教えてください。


高橋: 「日本の国際貢献のプレゼンスを高めていきたい」という思いが人材コンサルタントのキャリアへ

私の原点は子供のころに住んだメキシコでの経験です。日本と実状の大きく違う国に住んだことが途上国を意識するきっかけとなりました。そして、国内大学院経済学研究科を卒業後、JICAでのキャリアをスタートさせました。JICAでは東南アジア地域の経済政策やガバナンス政策のプロジェクトマネージャー、後に外務省の経済協力局へ出向し、アフリカのODA政策立案に関わり、ODAの上流から下流まで多くの経験を積むことができました。その経験の中で気付いたことは、途上国のニーズと実際の援助のマッチングのずれであり、その解決には、途上国の政府のしくみ(ガバナンス)を整えていくことで、本当に求められる正しい援助につなげ、自立を促す必要性があることを感じ、2000-2002年ハーバード大学ケネディスクールで行政学 (MPP) を学びました。

Devexとの出会いは、留学中のインターンシップです。当時のDevexは、ケネディスクールの学生2-3人で発足したベンチャー企業であり、分かりづらい国際協力業界の非効率な部分を、情報提供や人材紹介などのサービスを提供し改善していこうというミッションに感銘を受け、その後も積極的に関わり、2006年Devex 日本支店を立ち上げるに至りました。

人材コンサルタントという職業を選んだ理由については、業務経験や留学経験を通じて、日本の国際貢献のプレゼンスが示せていないと感じる場面を変えていきたいという思いからです。日本人は交渉ベタ、話しベタであったり、もっと貢献できるはずなのに・・・という場面に多々出会い、この業界に多くの能力を持った人材にもっと入っていただき、優秀な人材を世界に排出することで、日本のプレゼンスを高めていきたいという思いが私の人材コンサルタントとしてのキャリアの原点です。


久保田: まず、やってみようと飛び込んだ世界 関わる中で自分の専門性を見出し大学院留学へ

私の国際協力への最初の接点は、今振り返ると高校時代のカナダ留学でした。留学経験をへて、ふと、教育の機会がある人/ない人がなぜいるのかという素朴な疑問を持ったこと、そして、後にノーベル経済学賞を受賞したインド出身の経済学者アマルティア・セン氏「機会の平等」の新聞記事に出会ったことで、私の中に、「なぜ不平等がこの世界で起きるのか、この不平等を何とか解決していきたい」と強く問題意識を持つようになったことが原点です。大学では経済学を専攻しながら、国際機関の関係のインターンなどを経験した後、JICAに就職しました。

大学院留学は、学部時代からずっと意識していたものの、実際は社会経験を5年積んだ後に実現しました。大学時代の経験では、興味・関心を学問やインターンを通じて広げることはできましたが、多くある興味の中から、私は本当は何がやりたいか、自分の専門性をはっきりさせることができないままの状態でした。卒業後の選択肢の1つとして就職活動をする中で、私の思いは、次第に「まずは、何事もやってみないとわからない、社会経験を積んで、自分のやりたいこと、専門性をみつけよう」という思いに変わり、JICAでキャリアをスタートさせることになりました。

私は経済学のバックグラウンドでしたので、5年のJICAのキャリアの中では、途上国の経済開発の一環として、主に①途上国の政府職員に対しての人材育成プロジェクトのマネージメントや研修業務②橋や病院などのいわゆる箱物(経済インフラ)のプロジェクトマネージメントの2つの業務に関わりました。これらの業務を通じて、次第に私は「途上国の人の雇用の機会を作りたい、途上国の援助慣れしている現状や自立できない意識を改善したい」と強く考えるようになり、この専門性を高めるため、イタリアのトリノ大学政治学研究科に進学し、主に文化政策と文化経済を学びました。

そして、帰国後は、Devexで主にこれから国際協力業界を目指す方の日本人の方の支援をしています。皆さんへのアドバイスとしては、この業界へのハードルは決して高いと考えてほしくないということ。確かにいろいろな要件を求めている業界ですが、1つ1つ今までの経験を洗い出し、その経験をどうアピールするかを考えて、チャレンジすることで道は開けてきます。

第一部:国際協力業界の特徴

第一部では、国際協力業界の実状と様々な選択肢についての説明が行われました。
国際協力に関わりたいという問い合わせは多いのですが、具体的に自分は何ができるか、自分の経験・能力を活かせる場所/職種のイメージがついていない人が多いのが実状です。まずは、様々な選択肢があることを知り、自身の適性とのマッチングを行うこと、ギャップがある場合は行動を起こすことで経験を積むことを始めてください。

国際機関だけではない、様々な選択肢/職種があることを正しく理解する  資料参照

国際協力キャリア形成に際しての心得
「思う → 行動する」のサイクルを作る  一歩を踏み出して、積み重ねること


国際協力業界のキャリアは、いわゆる民間企業の終身雇用という体系はまず存在しません。この業界でのキャリアを望む方は、下記をぜひ意識し、行動を起こすこと、キャリアを積み上げるという意識を持ってください。

(1)出来ることから始める
  情報収集、イベント・セミナーへの参加、インターン等
(2)自身のキャリアをレビュー
  自分の関心分野、地域/国、就 業を希望する組織を明確にする
    即戦力採用の業界であることを常に意識する
(3)現場を見る努力をする(スタディ・ツアー、ボランティアなど)
(4)リスクを受け入れる  日本ではあたりまえの意識を捨てる
(5)中長期的なキャリアプランを作成し実行する
  (実務・海外経験、留学、語学、私生活、財政)
(6)絶え間ないネットワーク作りを行う

※ネットワーク作りについて
特にこの業界ではネットワークが重要です。なぜなら、終身雇用がない業界では、プロジェクトベースで仕事のオファーが出てくるのが一般的です。常に、興味ある分野にアンテナをはり、情報を収集すること、そしてその人脈において、関心分野や組織の重要人物に知られる存在となることが重要です。

第二部:求められる人材像  成功できる人材像について

第二部では、国際協力業界で求められる能力を人材コンサルタントの視点に加え、大学院留学体験談を通じて、留学経験からどのように身につけていったのかを語っていただきました。

この業界で求められるのは、即戦力となれる人材であること。

求められる能力
1. 適応能力
2. 責任感&成果を出す能力・意識
3. コミュニケーション能力
4. 語学(第2,3の言語が使えると有利)
5. 専門性(応募したい職種で求められる専門性)
6. 修士号(留学経験)
7. 実務経験(海外経験含む)
8. ビジネスマインド&スキル

適応能力
高橋: 多国籍チームで業務を行うのが日常。国籍・宗教・考え方の違う中で能力発揮ができるかどうか?基本的に日本と同じやり方では進められないことが前提です。また、途上国の現場に適応し、業務をこなせるかどうか?多様性といわれるものをどれだけ意識して行動できるかが重要です。この点において、留学のように、海外に出て違う意見を持つ人と触れるという経験を積むというのはとても有効です。

多様性について
久保田: 多様性とは、一見分かりづらい概念ですが、海外経験がない方であっても多様性に直面する機会は必ずあったはずです。こんな風に考えてほしいと思います。今までと違う環境に移ったとき(高校→大学/大学→社会人など)、そこで何か問題が起きた時に、どのように対処したかを思い出してみてください。考え方の違う人をまとめていく際に、どう自分が考え、行動を起こしたのかをぜひ考えるところから始めてみてください。日本人の中でも多様な考えを理解できることが国際という舞台でも活躍できるベースとなります。

責任感&成果を出す能力・意識
高橋: いわゆる新卒採用のようなポテンシャル採用ではなく、即戦力採用がこの業界の主流です。あなたが、何をできるか?を明確にする必要があります。そして、この業界でキャリアをスタートさせた後も、常にこの意識を持ち続け、次のキャリアを自ら切り開くことが重要です。この部分が、日本の就職と随分異なるので、この部分が絞りきれていない人が多いのが実状ですね。。

アドバイスとしては、よく○○をした、○○の実績を挙げるだけでなく、応募したい職種内容を理解して、そこで何をやりたいか、何ができるかを意識することです。その機関/職種で役立つ人材を求められていることを、相手の視点で考えることをぜひ意識してください。これが、いわゆる日本のポテンシャル採用とは大きく違う点なので、なじみがない部分もあるかもしれませんが、これが成果を出せるかということにつながります。

久保田: 応募書類の見せ方も重要です。レジュメ(職務経歴書)では、○○を学んだ ○○経験をしたということだけではなく、その業務を通じて周囲に与えた影響や成果がはっきりわかるような表現にすることを意識してください。常に、why(なぜ、そう思ったのか?) → how(どのように行動し、周囲に変化を与えたのか(貢献できたのか)を考え、描いていくことが効果的でしょう。相手が応募する人が職場で発揮しうる貢献を具体的にイメージできるような言葉で伝えていくことにこだわることです。

コミュニケーション能力  多様性の中でのチャレンジ経験を通じて高めていく能力
高橋: コニュニケーション力はいわゆる言葉だけを指すわけではありません。自分の実績を元に、相手(就職機関)やプロジェクトを理解し、求められることに貢献できる提案が具体的に提示できること、そして、それを相手に理解してもらうところまでを指します。そして、実際のプロジェクト運営にあたっては、多国籍チームメンバーとともにプロジェクトを推進できる調整力としてのコミュニケーションも必要です。「きっと分かっているだろう」ではなく、「分かった」ところまで確認するために、細かいところまで常に伝え続け、確認し、相手に理解してもらうことが必要です。

また、コミュニケーションには、発信と受信の両方が必要ですが、特に、日本人は自分の意見を発信するのが苦手だと思います。これは、多様性の中で経験を繰り返すことが、とてもよい機会になると思いますが、この点において、留学経験というのはとてもよい機会です。 日本では、なんとなく、周囲を考えて、他の人の意見に同調してしまったり、後で自分の意見を言おうとする風潮が強いと思いますが、留学してみると、実際クラスの中での発言も成績に考慮されたり、ディスカッションする機会が強制的に用意されていることもあり、実に活発なクラスメートの発言に驚かされます。 私も含めて、殆どの日本人の方はこの発言することに躊躇しますが、ここは勇気をもって、ぜひ発言してほしいと思います。これを繰り返し、訓練を積み重ねることがとても効果的です。

久保田: 私も、留学中はどんなにつまらないことであっても必ずクラスの中では発言をしようと心に決めて臨んでいました。また、先日、ある国際機関の方から言われたことですが、その組織では「会議で発言をしないなら、会議に参加するな」というスタンスだそうです。多くの日本人の方は、会議に出席することが主目的であり、そこで自分の意見を主張するところまで意識していない方が多いと思いますが、発言するということは日本人が思う以上に重要なことです。 さらに、国際協力業界では、多様なメンバーでプロジェクトを進めることも多いため、文章でのコミュニケーションが重要です。文章でのコミュニケーションにおいての注意事項は、作成者がどのような語彙を選択するかによって、相手に伝わるニュアンスが変わることを意識することです。自分の意図を正しく伝えるためにどのような表現・構成を使っていくかはとても重要です。その点では、大学院で研究をし、レポートを作成するという機会は非常に役に立ちました。

成功できる人とそうでない人を見分ける点は?
Can do(できそうな人) から Will do(実行してくれそうな人)へ


久保田: 過去の経験を客観的に振り返って、具体的な次の行動にまでつなげていける人だと思います。そういう人は経験に意義(意味)を見出し、行動を起こしていると言えます。こういった人は、これからも同じ行動をとり、成長し続けられる人と感じます。国際協力の業界では、多くのスキルや経験がバランス感覚よく求められるのが一般的。今すべてができている必要はないですが、将来の成功を感じさせる人は、今までの経験に意義を感じ、その経験を活用できる人(=経験談にストーリー性がある人)なのだと思います。

高橋: 今までの過去の経験から、何ができる(=can do)をいかに、将来実現する(will do)につなげていけるかの「姿勢」が伝わる人が成功できる人だと思います。どんなにResumeや志望動機書がすばらしくても、業務として成功できない人もいます。自分のエネルギーを注げることを見つけ、意志をもって取り組み、具体的案を提示できることが重要ですから、今までの経験を振り返り(=can do)から、進みたい方向を掘り下げ、将来のWill doまでつなげていくことが重要だと思います。まずは、過去の経験の振り返りから始めてみてください。

大学院留学において成功する人材とは? 

大学院留学の視点と就職の視点は全く同じです
横山: 将来のキャリアを見据えて、行動を起こすことは(=can doを掘り下げること will doを見つけつなげていくこと)、大学院留学の入学審査の基準と同じです。入学審査の視点は、「将来の成功を感じさせる人」です。クラスで在校生、教授のために貢献できる人、卒業後もキャリアの第一線で成功できる人材を求めている訳ですから、その後のキャリア(就職)の視点と同じであることは理解いただけると思います。 国際協力へのキャリアを目指す方は、ぜひ、今から意識して行動を起こすことで、この業界で求められる要件にも入る「大学院留学」を成功させ、後のキャリアの成功とつなげてほしいと思います。

大学院留学経験で得られたものとは
高橋: 私がケネディスクールを選んだ理由は、私の関心事であった開発という点において途上国出身の学生が多いこと、そして、研究テーマである行政学についての途上国関連のプログラムの豊富さからでした。留学生活で得られたものとは、留学する前と比べ視野が広がったことです。私は途上国のニーズと実際の援助のマッチングのずれの解決のため、ガバナンスについての研究をしたいと思って留学をしましたが、実際に勉強を進めると、政府(行政)だけの問題ではないことにも気づきました。それぞれの国には、政治・経済・文化などの違いがあります。例えば、援助のミスマッチでは、日本流の行政システムを前提に考えて進めていこうとするが非効率になったり、相手国の事情を理解せず物事を進めようとすると、文化の違いからのミスマッチにつながります。つまり、1プロジェクトの状況だけでなく、お互いの政治・経済・文化の違いを理解したうえで、相手にとっての最適な政策や運営方法を提案していくことが重要であり、これを知識として学んだだけでなく、実際に多様な環境の中で、援助国/被援助国、官-民を始めとした多くの異なる立場/意見をもったクラスメートの集まる環境の中で議論した経験から実感できたことです。

久保田: 留学をして最も印象的だったことは、私の大学では途上国からの留学生が非常に多かったということもあり、クラスの中で彼らとの議論をしながら、プロジェクトやアサイメントをこなす機会に恵まれたことです。考え方の全く違う人と一緒に1つのものを作りあげていくというのは、日本ではなかなかできない経験です。ぜひ、皆さんには、考え方の違う学生と交流できる大学院でぜひ学んでいただきたいと思います。

留学生活で得たものとは、今までの援助する/されるという意識が大きく変わったことです。お互い同じテーブルで議論をすることで、自分の関わり方が大きく変わりました。また、留学して気付いたことですが、留学する前は大学院という場所に過剰な期待を持っていましたが、勉強を進める中で、「あれっ これは業務を通じて学んだことがある」と気付かされる点もあり、学びとは、アカデミックに学ぶだけでなく、実務経験からも学ぶこともできる、つまり、様々な学び方があることも発見できました。大学院とは、学ぶ/考える姿勢のきっかけを与えてくれる場所であり、学び続けることの重要性を実感させてくれました。

~会場からの質問抜粋~

求められる専門性とはどの程度のレベルを指すのでしょうか?修士号があればよいのでしょうか? 修士号を持っても、今、職務経験で全く違う分野にいることは不利でしょうか?
現在、民間の金融業界にいますが、開発の業界に移りたいと思っています。大学時代の専攻もこの分野ではないのですが、大学院で公共政策を学ぶことで専門性を得たといえるのでしょうか?

高橋: 大学院での学びだけでなく、今までの経験とのリンクが重要になります。つまり、金融業界のキャリアの中で、なぜ、公共政策を学びたいと思うようになったのか、具体的なきっかけや関連事項を意識し、伝える必要があります。実際に公共政策の中で金融との関わりの深い分野も多くあります。また、もし、将来進みたい方向が例えば環境など別の方向である場合には、最初に国際機関などでキャリアをスタートされる際には、今までの経験(職種など)を活かす方向から始め、後に進みたい方向に移行していくという方法もあり、こちらが現実的といえるでしょう。この業界で求められる特性を考えると、経験を積みながら少しずつ専門性を高め、関わり方を柔軟に変えていくことも重要です。

現在大学生です。JPOを考えていますが、そもそもなぜ修士号が必要なのでしょうか?

※JPO制度とは外務省主催で毎年行っている国際機関への派遣制度で、原則2年間の任期で、派遣取決めを結んでいる国際機関に若手のP2レベルの職員として派遣されます。任期終了後、引き続き国際機関に正規職員として採用される者も多くいます。

高橋: 国連のミッションでは、修士号は必須ではないが、持っているほうが望ましいといわれています。恐らく、専門性、即戦力という視点や世界各国の教育制度の違いなども考慮し、修士号というのが1つのクライテリアになったのだと思います。実際に、修士がないと実務経験として役立たないということではありませんが、過去の経緯からの流れといえます。

久保田: 修士号や海外経験が必要になるという意味は、多様性を実践してきたという点と、本格的なリサーチを行ったという意味において重視されていると思います。例えば、大学院留学の経験の中で、日本人の中だけではなく、様々な考え方の違う方と問題解決ができたという実績や、大学院での研究を通じて本格的なリサーチを行い、論文を執筆しているという点において、成功したという点を大学院留学という点で見られている現われだと思います。現在大学生の方だと伺いました。今からできるアドバイスとしては、上記の理由からも、ぜひ、大学の研究を論文という形でまとめる機会を積極的に持ってほしいと思います。

専門性も重要ですが、一方で学際性も重要になると思います。学際性という視点はどの程度重視されますか?

高橋: 実際の現場では、様々なことが相関していますから、切り口の多さを(=学際性)持っているということも重要です。自分の専門性を、違う分野からどのように考えられるかを広げることもぜひお勧めしたいところです。ネットワーキングを常に意識し、行動を起こすことを意識してみてください。

BOPビジネスに興味がありますが、就職をしても、必ずBOPビジネスに関われるかどうかが不安です。どのようにキャリアを積んでいけばよいでしょうか?

確かに難しい問題です。同様のお問い合わせとして、少し前は、CSRで国際貢献をしたいというお問い合わせも多くありました。 実際、民間企業の中でこういった分野に多くの方が必ず関われるかというのは、まだ難しい状態です。お勧めをするのは、その分野に関わるビジネススキルを身につけられる職種や業界からキャリアを積んでいくことです。例えばBOPで途上国に何かを物を輸出するということを考えると、流通業界での経験や物流という職種などの経験はとても役立ちます。また、CSRであれば広報などが深く関わってきます。こういったスキル・経験を身につけながらも、ネットワークを広げてください。例えば、BOPビジネスを始めている方との交流を図ることで、チャンスを掴む、動向を掴む、そして、チャンスが来たときに、具体的に貢献できるビジネスキルを積んでいただくことが重要です。

※BOPビジネス:base of the pyramidの略。40億人いる世界の貧困層=BOPを「マーケット」と捉え、こうした人たちにも買える安価で、なおかつ生活向上に役立つ商品、サービスを提供するビジネスのことを指す

※CSR:corporate social responsibilityの略。企業が事業活動において利益を優先するだけでなく、顧客、株主、従業員、取引先、地域社会などの様々なステークホルダーとの関係を重視しながら果たす社会的責任を指す

最後にこれから、海外で活躍したいという皆さんへの応援メッセージをお願いします。

高橋: 国際協力業界において、日本の貢献できる余地はたくさんあり、まだまだ発展途上だと思っています。国際協力を目指したいと思って集まっていただいた皆さんには、ぜひこの思いを実現するために1つ1つの行動を積み重ねていただき、ぜひ、国際協力の業界の仲間として一緒に盛り上げていきたいと思います。私は、一人一人の力をつなぐこと、ネットワークを強くすることで皆さんを応援していきたいですし、皆さんと共に一緒に頑張っていきたいと思います。応援しています。

久保田: 実は私も3年前は、皆さんと同じようにイベントに参加する側でした。今メッセージを発信する側となって、まず、お伝えしたいことは、今思っている気持ちを大切に、何かしらの行動を起こし、実現してほしいということです。私自身を振り返っても、やりたいことがたくさんあり、何をしたいのか悩みながらのキャリアでしたが、自信をもって言えることは、「まず、やってみないと分からないことがあること」と「やりたいと思ったことは、何かしらの形で必ず行動を起こし実現できる」ということです。今、留学したい、国際協力の業界に進みたいと思った気持ちを大切にして、行動をぜひ起こしてください。

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