本当は怖い GMAT Verbal 採点法 – by 中山道生

アゴス・ジャパンGMAT講師の中山です。

本試験や模擬試験を何回か受験すると、実力はそれほど変わっていないのに、Verbalスコアが10点くらい変動するということは非常によくあります。

スコアが大きくブレる原因の1つに、GMAT独特の採点方法があります。

GMAT VerbalとQuantitativeセクションは、Computer Adaptive Test (CAT)と呼ばれる仕組みで採点されます。最初に平均レベルの問題が出題され、正解するとよりレベルの高い問題、間違えるとよりレベルの低い問題が出題され、最後に解いた問題のレベルによってスコアが決まります。

問題の重要度は最初の方が高く、最後の方に行くにしたがい徐々に問題の重要度が下がっていくことがわかっています。

ただし、CATである点はよいのですが、コワいのは、VerbalセクションでのReading問題の出題順序です。

下記の表は、本試験と同じプログラム / 採点アルゴリズムを使用しているGMAT Official Practice Examで起きた Verbal 3科目の出題順序(SC: Sentence Correction, CR: Critical Reasoning, RC: Reading Comprehension)です。

Exam 1 → 2 → 3 に行くにしたがって、Reading Comprehensionが最初の方に集中しています。

RCが苦手な一般的な日本人受験者にとっては、最初にRCが連続して出題されると体感的な難易度が大きく上昇するはずです。

実際、本試験や模擬試験でも、「最初の方のReadingで時間をかけすぎてしまい、途中からあせって集中できなかった」というような失敗談は多いです。

Verbal 3科目の順番は全くランダムだとされているため、Exam 3 のように偏った出題順序は十分にありえることだと覚悟しておく必要があります。

以上を踏まえた試験戦略としては、心構え的なことになりますが、「試験中にどこでRCに出会っても動揺しない」「序盤でRCが連続で出ても、中盤で出ても、RC戦略(何パッセージ目を捨てるか等)を変えない」ということが重要だと思います。

CATでは試験の最初の方の問題の方が重要度が高いとは言っても、普段の問題練習で正解率70%の実力の方が、最初の方の問題で時間をかければ80-90%以上正解できるということは期待できません。

第2パッセージが Verbal 5問目で出ても、15問目で出ても、試験会場で不運を嘆いてもしかたがありませんので、普段と同じテスト戦略で、最初から最後まで淡々と目の前の1問1問に集中するのがお奨めです。

GMAT(R)単語帳アプリに音声を追加しました – by 中山道生

アゴス・ジャパンの中山です。

「GMAT®単語帳4800」にアメリカ英語とイギリス英語を聴き比べることができる発音ボタンを追加しました。

フラッシュカードの画面でアメリカまたはイギリスの国旗をタップすると、それぞれの国の発音で音声を聞くことができます。

SC:「意味が不適切」な選択肢について – by 中山道生

アゴス・ジャパンGMAT講師の中山です。

Sentence Correction でよくある質問の1つに、「解説によると、この選択肢は『意味が不適切』とのことで不正解になっていますが、○○○○と考えれば意味が通じると思うのですが、いかがでしょうか?」というものがあります。

Official Guideの解説でも、アゴス教材の解説でも、「選択肢(C)は、○○の意味が不適切」という書き方をすることがありますが、これらはSCにおける意味判断は相対比較であるという大前提に基づいて書かれています。

この大前提はVerbal Strategyクラスの初日にお伝えしているのですが、何十問も問題練習を重ねる間に、アゴス受講生の方の中にも、それぞれ1つずつ選択肢の意味を考えて「こちらの選択肢も、これはこれで意味はおかしくないのではないか」と悩んでハマってしまう方は多いです。

GMAT Verbal Sentence Correction問題では、(他の4つが文法的に誤りである場合を除いて、)常に選択肢どうしを比較して「どちらがよりよいか」あるいは「どちらがマシか」を判断すべきです。

他の4つの選択肢が絶対的に誤りである理由を考えるのは、ふだんの学習においても時間の無駄であり非効率であることが多いです。

SC は、「絶対的に正しい文」を選ぶ問題ではなく、「相対的に正しい文」を選ぶ問題だという大前提を意識することで、解答が楽になり効率的になるはずです。

 

完璧な文章などといったものは存在しない完璧な絶望が存在しないようにね

村上春樹「風の歌を聴け」

 

GMAT学習体験談: 640→610→610→700点 – by 中山道生

アゴス・ジャパンの中山です。

4回目で700点を達成された方から学習体験談をいただきましたので、ご紹介します。(公開のご承諾をいただいています)

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以下の通り、これまでの報告をさせていただきます。

4回目(11月29日):700 (V:37, Q49)
3回目(11月5日):610 (V:23, Q50)
2回目(9月25日):610 (V:25, Q49)
1回目(8月29日):640 (V:27, Q50)

4月下旬のアゴスの講座の開始日から本日まで、約7ヶ月間で約500時間を必要といたしました。何とか結果を出せて安堵しております。これまで何十回と質疑応答のメールにご対応いただきありがとうございました。

GMATのためだけに毎月80時間程度の時間が積みあがっていき、これで初回のスコアを更新できなかったらという損得勘定が働いたこと、前日に初めて解いたStarter Kit 3で690(1, 2は何度も700以上)を取ったことから、3回目は非常に緊張いたしました。もちろん4回目も緊張いたしましたが、3回目の精神的なダメージが残っていたこと、前日に初めて解いたStarter Kit 4で640を取ったことから、初めから半ば諦めムードであり、程よい緊張で臨めたことが功を奏したのかもしれません(15問目あたりでbothのイディオムだけで解ける問題、30問目あたりで二重所有格だけで解ける問題が現れ、途中からは負け戦の作業感覚で解きました)。

あるいはスコアが高かった1, 4回目は9時開始、2, 3回目は14, 11時開始と少し遅かったのですが、当日は朝起きてからすぐに緊張し始めるため、精神的に疲れ切らずに即臨めたことが頭の回転的に良かったのかもしれません。

これまでにStrategyのビデオは2回、Manualの冊子は約10回、そしてOfficial Guide, Problem Sets, Practice A&Bの問題は3周ずつを回しました。IELTS組であるためか、PC読解に慣れるまでも数十時間が必要でした。

現時点においてもVerbalの約半数の問題に対しては確固たる自信がなく、RCに至っては問題、設問ともに完全に理解できたのは1/4パッセージでしたが、以前にアドバイスをいただきました「完全に理解していなくとも正解できる力」という意味がようやく掴めた気がいたします。問題文をあまり理解できていなくとも選択肢は2, 3択に絞れますので、そこからStrategyおよびManualの知識やアゴスの講座の大量の問題で養ってきた勘で対応できたのだと思います。

8月に授業が終了してからも幾度となくメールの問い合わせにご対応いただきありがとうございました。GMATに留まらず、MBA受験についても良い報告ができるよう引き続き努力いたします。

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難関試験である GMAT 試験において、緊張感をどのように克服するかは多くの方にとって非常に大きな課題だと思います。

特に、今まで何百時間も試験対策のために費やしてきた場合は、なおさら1回1回の試験に対するプレッシャーも大きくなるものだと思います。

この方の場合は、前日の模擬試験スコアがそれほど高くなかったことで「半ば諦めムード」的な気分で試験に臨めたことと、朝一番の試験で雑念が蓄積しなかったことが大きな勝因となったようです。