TOEFLリスニングの壁:語句の用法に慣れているか?(その2) – by 加藤

以下は、前回の私のブログ記事「TOEFLリスニングの壁:語句の用法に慣れているか?(その1)」の続き(完結版)です。

私はアメリカの大学と大学院で合計6年弱の間、留学をしていました。その間、様々なレポートや論文を自分でも書き、また読みました(「読まされました」がより正確です)。それらの論文の冒頭あたりでは、よく、次のような表現を目にしますし、自分でも書いてきました:

  •  The scope of this paper is …. 「この論文で扱う(テーマの)範囲は…。」
  •  … is beyond the scope of this paper. 「…はこの論文が扱う(テーマの)範囲外である。」

これらの例でお分かりのように、scope自体の意味は、「(研究などのテーマの)範囲」という意味です。そして、「〇〇の範囲内で論ずる」とか、「〇〇は範囲外だから触れない」などというように使用します。まだ留学を経験していない方や英語で論文を読みなれていらっしゃらない方には、馴染みのない言葉とその用法かもしれませんね。

では、前回ご紹介したListen Again Qの内容に戻ります。

話の流れは、まず、学生が「“dialect” (英語の方言)について、レポートを書きたい」と言っています。

それに対して教授は、「yes ~, but …」の論理で返しています。「~の部分は良いけれど、…の部分はダメ」と言いたいのだと分かりますね。

that’s certainly an interesting topic, but you may not realize, I mean, the scope. . .

「それは確かに興味深いトピックだ。しかし、分かっていないのかもしれないが、その範囲が…。」

つまり、「『方言』というトピック自体は悪くないけれど、レポートに書くトピックの範囲としては、『方言』は大きすぎる」ということを言わんとしています。本を1冊書けるくらいのトピックだと、言わんとしているのかもしれませんね。

受験者として、ここでピンとこなければ、Listen Again Q自体では再生されませんが、会話の後半では次のようなやり取りがあります。

この同じ学生が、「“dialect accommodation” (方言適応)について、興味がある」ことが分かります。それを受けて教授が次のように語ります。

教授: OK, all right——”dialect accommodation” is a more manageable sort of topic . ..

よって、”dialect accommodation”はmanageable topicだけれど、”dialect”自体はmanageable topicではない(=レポートに書くには大きすぎるテーマである)ことが分かります。

よって、正解の選択肢は(B)です。

英単語は1つ1つの意味が分かるだけではなく、その用法にも馴染みがないと、なかなか確信を持って理解や正解ができないものです。このようなことは、アゴスの授業中に講師が体験談を交えて解説することがよくあります。

TOEFLリスニングの壁:語句の用法に慣れているか?(その1) – by 加藤

私が担当しているクラスの一つに、「TOEFL iBT® Listening Practice Advancedクラス」というものがあります。そこで扱う教材(ETSの過去問の中の会話問題)に次のようなListen Again Q(会話の一部が再生され、その内容を問う設問)があります。
(出典:『Official TOEFL iBT® Tests Volume 1, 4th ed., pp. 140, 319-321』)

【場面設定】 レポートのトピックを決める際の、学生と教授とのやり取りです:

ナレーター: Listen again to part of the conversation. Then answer the question.
学生: The section on dialects? ‘Cause, like, that’s the kind of thing that’s always sort of intrigued me, you know?
教授: Well, that’s certainly an interesting topic, but you may not realize, I mean, the scope. . .
ナレーター: What can be inferred about the professor when he says this:
教授: Well, that’s certainly an interesting topic, but you may not realize, I mean, the scope. . .

上記の部分を音声で聞いて、次の設問に答えます。皆さんはどれが正解だと思いますか?


Q. What can be inferred about the professor when he says this:
(A) He thinks the topic goes beyond his expertise.
(B) He thinks the topic is too broad for the student to manage.
(C) He thinks the topic is not relevant for a linguistics class.
(D) He thinks other students may have chosen the same topic.

これまでの受講生の反応から、この問題は結構難しいと感じる方が多いようです。

その大きな原因は、語られた内容が少ないことに加えて、教授のセリフの最後にあるthe scopeの意味と用法に馴染みがないことではないでしょうか。

この問題の解説と解答は、次回発表予定の記事にて行います。
それまで、皆さん、じっくり考えてみてくださいね。

語彙の習得 — by 柳澤洋美

TOEFLやIELTSの受験勉強に欠かせないのが「英単語の暗記」です。リーディング(長文読解)のセクションにおいて、単語力がある人とない人では大きな差がつきます。だから、受験をすると決めたあら、なるべく早い段階で単語力をつけましょう。

まず「量」を強化する。「量」がなければ、まとまった英文を読むことは困難だからです。お持ちの単語帳にある意味を覚えるのですが、最初の意味のみを覚えます。それを「見出し語」と言ったりします。単語はもちろん、複数意味を持っていますが、まずは、「見出し語」暗記に集中してください。

「量」を制覇したあとは、「質」へ転換させましょう。単語を文脈で覚えます。たとえば、「TOEFLテストボキャブラリー+例文3900」から引用すれば、integralの見出し語「不可欠の」と覚えたあと、単文「An engine is an integral part of a car.」=「エンジンは車の不可欠な部分である」と単語を文の中で訳せるようになって初めて、「語彙が定着した」と言えます。

お忙しい皆さんにとって、時間が2倍かかるじゃないか!と言いたくなりますね。たとえば「量」を通学・通勤時間などに、自分で目標を作り、限られた時間で覚える。そして、その夜、学校(会社)から帰って静かな集中できるときに、朝覚えた単語を文脈で確認する「質」で覚える。そのときに文章を音読、あるいは音源を使って覚えるというのもいいです。語彙習得は「量と質」を行って、初めてテストで力を発揮してくれます。ぜひお試しください。