GMAT学習体験記: 580 → 660 → 560 → 630 → EA 169 → 700

 

今年、Northwestern University Kellogg School of Managementに合格された方から受験体験記を頂きましたので、ご紹介します。
(公開のご承諾をいただいています)


【進学先】

Northwestern University Kellogg School of Management

 

【スコア推移】

1回目(2020/9/9)  580(V 21/Q 49/IR 5/AWA 5.0)

2回目(2020/10/1) 660(V 28/Q 50/IR 8/AWA 4.0) R2当初出願スコア

3回目(2020/11/9) 560(V 19/Q 49/IR 6/AWA N/A) スコアキャンセル

4回目(2020/12/9) 630(V 29/Q 47/IR 7/AWA N/A) スコアキャンセル

EA(2021/1/6)     169(V 13/Q 18/IR 18) 一部学校への出願スコア

5回目(2021/1/26) 700(V 35/Q 50/IR 5/AWA 5.0) R2アップデートスコア

 

【スケジュール】

2020年 7月 GMAT学習開始と同時にAGOS GMAT(R)対策総合パッケージ(V)受講開始

英語力:IELTS7.0レベル

8月 Verbal:基礎固め期間。週1の通学で習ったマニュアル部分を週3復習
Math:マスアカの教え通り、間違った問題を繰り返しIR:AGOS講義後OGを使って復習(週1~2時間程度)AWA:AGOS講義後テンプレート暗記(週1~2回練習)

英語力:IELTS7.5レベル

9月 GMAT1回目580点と失敗。Mathは及第点

実力+メンタル+戦略の3つを揃えるゲーム?という感想

10月 GMAT2回目660点。この時点での自分の実力通り

単語力不足解消のため「GMAT重要単熟語」に時間を割き始める

11月 GMAT3回目560点。Online Practiceでも出たことのない過去最低点に恐怖で震えた

中山先生の個別レッスン(G-prep)受講開始

「いつもその速さで回答しているのですか?・・・・そうですか・・・」と回答の異様な早さへの指摘を受け、丁寧に読む練習を開始
IELTS速読とGMAT精読との相性が悪いと感じ、IELTS受験終了

12月 GMAT4回目630点。スコアメイクに失敗。「悔しいがやれることはやった」と達成感を抱いた

R2出願のためにGMAT勉強を完全休止。エッセイに集中

1月からの勉強再開を誓い、EAとGMAT5回目を予約

2021年 1月 エッセイに手間取り、数日の勉強のみでEA受験。奇跡のEA169

急遽EAで出願できる学校3校(CBS等)へ出願
勉強不足のまま、GMAT5回目700点。最後の最後で自己ベスト更新

GMAT受験翌日にKellogg面接

3月 Kelloggから合格通知受領。進学先決定

 

【予備校・教材】

*予備校

・AGOS GMAT(R)対策総合パッケージ(V)

・G-prep SC上級コース

・中山先生 個別レッスン4回

 

*Verbal教材

・AGOS教材(白本等)

・OG

・Manhattan Prep

・GMAT重要単熟語

 

*Math教材

・マスアカ

・OG

・GMAT club(解説参照)

 

【予備校選び】

GMAT勉強開始から出願まで半年しかなかったため最短距離で結果を出す必要がありました。独学で勉強を始め、失敗したら予備校へ行くというやり方が遠回りとなるリスクを感じ、勉強開始と同時に受講を開始しました。

AGOS中山先生に弟子入りした理由は、個別レッスンを過去に受講した先輩からの高い評価コメントがきっかけです(社費のため各予備校受講者のコメントが手に入る環境)。

個人的な意見としては、自分に合いそうな予備校を初期段階で吟味し、ひとつの予備校に通い続けたほうが良いと思います。複数の予備校を活用すると異なる解法で混乱してしまう恐れがあります。

誤解を恐れずに言えば、予備校選択は宗教選択と一緒です。どの予備校でも、どの解法でも正しいです。ただ互いには相容れないのでまぜこぜにすると混乱します。そして、一途に解法を信じて演習を続けてやっと解法が自分のものになっていきます。

 

【中山先生について】

僭越ながら「中山先生はどのような方か?」私が感じたことを紹介します。

一言で言うと、GMAT研究家です。質問させて頂いた際の回答が秀逸・鳥肌モノで、「OG2021のxxx番の問題と同じパターンですね」と回答が来たときは頭の中がデータベース状態なのだろうなと感じました。他予備校に通ったことはありませんので相対評価ではない中でも「日本語で解説してくださる中ではNo.1」だと思います。Verbalに限らず、GMAT自体に精通しているため、スコアメイク以外のことについても質問させて頂きました(コロナ禍でのGMACの対応等)。

余談ですが、スコアメイク苦戦で精神的に追い込まれてたため中山先生の優しい雰囲気にも助けられていました。

 

【Math】

Verbalで点数が稼げない純ドメの場合、Mathを時の運に任せず、きちんと対策をして点数を50点以上で安定させるべきです。

勉強開始後2-3か月は、量を解くのではなく「素早く解けるようになるまで間違えた問題&回答に時間がかかった問題を繰り返し解く」ことにしていました。Manhattanレベルの難問で高地トレーニングをするよりもOGレベルを “絶対に”取りこぼさないよう訓練することの方が断然大切です。

 

下図は50点取得時のEnhanced Score Reportです。Percent Correctから読み取れる内容は「5/28問も間違えても、50点がとれている」ということです。ただしAverage Difficultyをご覧頂くと、間違えている問題の難易度が全てHighであることが分かります。難問を解けることよりも普通以下を取りこぼさないことが大切だと主張する所以はここにあります。

【Verbal SC】

「中山先生の解法を自分の中にすり込み、中山先生の完全コピーを目指す」をテーマにしていました。とにかくビデオ解説を何度も見て、わからないところは中山先生に質問させて頂き解決、の繰り返しです。

AGOSマニュアルにはイディオムの他、正解になりにくい怪しい言葉や一発切りなどのノウハウが詰まっています。インターネットでは「マニュアルの知識だけでは正解できない」と批判する意見を見たことがありますが、中山先生はこの知識だけで正解できるとは仰っていません。マニュアルの知識は「知っていて当たり前の常識」のような位置づけだと私は理解しています。マニュアルの知識だけで正解できる問題は少ないもののの、ほとんどの問題で選択肢を絞り込むことができるので回答時間の節約に繋がります。

スコアメイクは苦しくて辛かったのですが、SCの勉強は英語力向上が実感できて楽しく、根本的に英文法を勉強できたことが幸せでした。これからのMBA生活でも大いに役立つと思います。

 

【Verbal CR】

「日本語なら解ける」レベルの論理構成が多いので、英語読解力に依存する部分が大きいと感じました。

英語読解力を埋めるためのテクニックとして、AGOSでは9パターンに分類したうえで正解になりやすい・なりにくい言葉を学びます。授業では記号や単語を使って、ArgumentのPremise・Conclusionを書き記し文章の論理構造を理解します。難しい英語の4-5行の文章も、中山先生の手にかかれば下図のようにシンプルにまとまります。

(例)

勉強初期段階は真似をしてPremise・Conclusion書き出しながら問題を解いていました。慣れてくると英文を読みながら頭の中で構造を理解できるようになります。ただし、問題を解き続けてドツボにはまった時期もあったので、油断せず、きちんとPremise・Conclusionを把握する意識を持ち続ける必要があると思いました。

 

【Verbal RC】

AGOS講義はSC:CR:RC=6:3:1くらいで、RC読解のコツやテクニックを教わります。RCの文章を「仕事で他人にプレゼンする題材と捉えて、関連知識を調べて自分のものにする。わからない言葉は画像検索して映像として覚える」等のエッセンスを教わりました。

基礎的読解力やGMAT RCは自力で問題量をこなして習得していきました。勉強前期は本当にちんぷんかんぷんで泣きながら勉強していました(日本語でもいまいちピンとこない単語も多く出てきて辛かったです)。ただ、我慢して多くの文章をこなしていくうちに前提知識がついてきて話が理解できるようになってきます。加えて、問題を多くこなしていくと、「GMATの癖(こういった選択肢が正解になりやすいという感覚)」が掴めてきた感覚がありました。

 

また、中山先生との個別レッスンは「勉強方法の軌道修正手段」としても大いに役立ちました。RCが苦手な理由=単語力と読解スピードの遅さと自己分析していたのですが、「単語力も読解力もスピードも問題ない。むしろ読解スピードが速すぎて雑になり、話を勘違いして読み進めることがある」とのご指摘を受け、弱点を自分で把握できているつもりで勘違いしていたことに気づきました。その後、速読から精読に勉強方法を切り替えたことで正しい方向へ軌道修正していきました。

 

【IR】

正直なところIR受講は不要では?と当初思っていたのですが、自力で取り組む場合と比べ大幅に時間と労力を節約できたので受講して良かったです。中山先生の講義はIRの基礎的な知識・コツ(表の順番並べ替えのコツ等)ランダムクリックする場合の問題の選び方等について学べます。特にEAを受験する可能性がある方・効率的にIR対策を済ませたい方におすすめです。

 

【GMAT EAについて】

コロナ禍でテスト条件が緩和され、EAで出願できる学校が増えたため4回目GMATでのスコアメイクに失敗した時点でEAを試しに受験することを決めました(2020年はMIT、CBS、NYU、Duke、Darden、Owen等はEAでの提出可能でした)。GMATの勉強をしていれば、追加学習ゼロで対応できます。EA対策という意味では、テスト前日に模擬テストを1回受けたのみでしたが、169点と競争力のあるスコアが出ました。

 

GMATとの難易度差・EA独自の戦略についての個人的な感触は下記の通りです。

IR:難易度差はなく、前の問題に戻れる点以外の違いは感じず。

Verbal:やや易しい印象。おそらく時間制限がGMATよりも緩いことが要因。問題を行き来できるメリットを活かし、セット内SCをまとめて全部解く→次にCR全部→残った時間でRC、という戦略を採用。

Math:かなり易しい印象。OGレベルのオーソドックスな問題のみ。

 

【ラストチャンス5回目でのスコアメイク】

社費のためMBA受験を翌年に延期する選択肢はなかったためチャンスは5回のみでした。4回目まで失敗が続くと、それまでと同じやり方で良い点数がとれるとは到底思えず、開き直って諸条件を変える賭けに出ました。

 

5回目の変更点や意識したことを列挙してみます。

・テストの順番変更(~4回目:Math→Verbal→AWA・IR、5回目のみ:AWA・IR→Math→Verbal)

・開始時間変更(~4回目:11時スタート、5回目のみ:8時スタート)

・会場変更(新宿→日比谷)

・AWAとIRは頑張ることを禁止!朝一なのでただの眠気覚まし扱い

・Mathは欲を出さず49点でOK、と自分に言い聞かせる

・Verbalは全方位注力しない!強みをのばし、弱みは適当にやり過ごす覚悟。

・Verbalは全問解こうとしない!RCの2パッセージ目&最後数問ランダムクリックを覚悟。

・SCは1問2分(体内時計)かけてもわからなければ”絶対に”諦める

・調子の良いCRは全問正解狙い

・調子の悪いRCは正答率5-6割でOK

 

5回目ははじめて緊張せずに臨めました。なぜ緊張せずに済んだのかは明確にはわかりませんが、朝一で眠い状態だった点、勉強をあまりしなかったので実力出し切りたいという欲がなかった点、4回目までに達成感を抱いていたのでオマケの1回だと思っていた点などが理由だと思います。

 

テストが終わり画面にVerbal35、Total700が表示されたとき、急に緊張で心臓がバクバクしました。憧れ続けたスコアにやっと出会えた緊張だったのだろうと思います。嬉しいという気持ちが湧いてくるまでに15分くらいかかりました。

 

【CATの罠】

CAT方式の影響を表す事例を紹介したいと思います。間違えるタイミングによって点数がかなりブレるのがCAT方式で、GMATが“運”も必要だと言われる所以はここにあると思います。しかし、その“運”は戦略で多少はコントロール可能ですので、その点を伝えたいです。

2つのグラフを見比べてください。

35点(上図)は10/30問不正解、そのうち5問がLast Quarterでした。一方の28点(下図)も不正解数は10/30問で同じですが、間違えたタイミングがQuarter満遍なく散らばっています。

つまり、『正答率が同じでもCAT効果でVerbalで7点も点数が異なり、それがTOTALスコアでは660と700の40点もの差になった』のです。

35点(上図)の時は全問に力を分散させるのではなく、端から最後数問をランダムクリックすると心に決めて、前半をしっかり解く戦略を採用しました。(ちなみに35点の方も、1stの正答率が62%と低いので決して綺麗なスコアとは言えません。本来ならば 1stは全問正解を狙いたいところです。実際それができる実力がないから苦労したのですが・・・)

 

【最後に】

GMAT勉強期間の半年、何度も何度も心が折れました。それでも「GMATで良いスコアをとりたい」という思いは消えることはなく、「努力してもスコアメイクできるか分からないけれど、努力しなければゼロチャンス!」と自分に言い聞かせて耐え続けました。

苦しい日々のなかで、中山先生の豊富な知識と困った時に質問できる環境に本当に助けられました。改めて感謝を伝えたいです。ありがとうございました。

受験生の皆様にとって、後悔ない受験準備期間となりますよう陰ながら願っております。

 

以上