(※以下は、前回の私のブログ記事である『日本語に訳さない「on」 (その1)』の続き(完結編)です。)
さて、以前もこのブログに登場しましたが、私の米国大学院留学中の親友にStevenという米国人男性がいました。
この彼が、可愛い恋人に振られたばかりのころは、涙目(ホントに!)で次のように言っていました:
She dumped me.
「彼女は僕を(まるでゴミでも捨てるかのように)振ったんだ。」
dumpは「(ゴミなど不要なもの)を捨てる」が原義です。ダンプカーが不要な土砂を捨てているところをイメージしてみてください。「恋人を振る」という意味もあります。どちらにしろ、結構強烈(!)な表現ですね。
それから3,4カ月が経過して、大分気持ちも落ち着いてきたころには、もうちょっとマイルドな表現に変わりました:
(4) She walked out on me.
「彼女は僕を見捨てた。(→ 彼女は僕を振ったんだ。)」
walk out onというイディオムで「(人)を見捨てる(= desert)、(人)の元を去る」という意味を載せている辞書もあります。プイっと怒って出ていく場面をイメージすると良いでしょう。どちらにしろこのonも、前回のブログ記事の例文(2),(3)と同様に、
「[不利益] 《口語》 (人)に向けられて、(人)の不利になるように」
の意味ですね。
以上のSteven(このブログでは2回目の登場)のこのお話も実話です。
「日本語に訳さない『on』」のお話でした。