リスニング基礎力養成法 — ディクテーション — by 加藤正人

皆さん、こんにちは。TOEFL講師の加藤です。今日は、リスニングの基礎力養成法の一つについてお話してみたいと思います。

TOEFL iBTやIELTSという試験では、ネイティブスピーカーがナチュラルスピードで話す英語をかなり正確に理解する必要があります。しかし、日本人学習者の多くがリスニングを苦手としています。実際、かくいう私自身も昔はその一人でした。では、どのようにしてリスニング力を養成すれば良いのでしょうか? その方法はさまざまありますが、もっとも時間のかかる方法の一つではあるけれど、非常に功を奏してくれるものがディクテーションです。これは英語の音声をCDなどから数回流し、カタマリごとに英語で書きとっていくものです。
このディクテーションという練習方法には、以下のような利点があります。

(1)「自分は何が聞き取れて何が聞き取れないのか」を見極めること(あぶり出し)ができる
(2)ネイティブの英語音声の音・リズムなどの特徴を理解でき、それをまねることによって自分の発音が自然なものになる(発音向上)

自分がこれまでに習ってきた(と思っている)自分流の英語の音と、ネイティブがナチュラルスピードで話す本物の英語の音とのギャップが大きければ大きいほど、聞き取りが難しくなります。これを嫌というほど自覚させてくれるのがディクテーションです。たとえば、本物の英語の音声では、音がつながったり、弱く短く発音されたり、脱落したりすることが多々あります。一つ一つの単語がはっきり独立して発音されることなど、ほとんどありません。
ディクテーションでは、もちろん英語を聞いて英語で書き取るわけですが、どうしてもわからない場合はカタカナで書き取ってもよいでしょう。後でスクリプトを見て、なぜそのようなカタカナ音に聞こえたのかを分析することも重要です。たとえば、次の簡単な例を見てください。

どうしてもわからないのでカタカナ混じりで書き取った音
Iシュドンダフトゥ relyオアダーpeopleファーリ

スクリプトの英語
I shouldn’t have to rely on other people for it.

自分が何度か音声を聞いても前者のようにしか聞き取れなかったものが、スクリプトを見ると後者のようになっていて、唖然とすることでしょう。なぜ、こんな簡単な英語が聞き取れなかったのか、と自省することしきりでしょう。そこで、もう一度音声を聞いてみると、確かに後者の英文が読まれていることが分かります。自分でもそのネイティブの自然な英語をまねて数回発音してみましょう。

以上はごく簡単な例ですが、もっと長くて難しい英文を用いてこのような練習を積み重ねれば、3,4か月はかかるものの、ネイティブの自然な発音と速さの英語がかなり聞き取れるようになります。ぜひ、試してみてください。