アゴス・ジャパンの中山です。
GMAT Verbal 学習に多くの時間を費やしている方が、「勉強すればするほど試験のスコアが下がっていく」という状態に陥ることは実は非常によくあることです。
そのような方に具体的な解法プロセスをうかがった際、最もありがちなのは、経験則に依存した解き方や、「学習した知識やスキルを使うことを優先した解き方」を無意識にしてしまっている、というパターンです。
高いレベルの読解力やGMAT知識を持っていても、たとえばSCで「過去問でこのような表現が不正解というのを見た記憶があるので、まず(B)(C)を切りました」「不定詞と動名詞では不定詞の方が正解が多い気がするので、(D)(E)を落としました」「これは正解になりにくいとどこかに書いてあった気がするので(A)をまず外しました」といった中途半端な経験則を優先させてしまうのは、せっかくの英語力を殺してしまう解き方と言えます。
CR でも、「過去問で似たようなロジックを見たことがあったので、今回もそのパターンだと思って(C)を選んだら間違っていました」というような知識頼りの解法では、6割程度は正解できるようになるかもしれませんが、そこから先のひねった難問になると悉く引っかかってしまうということが起こります。
そもそもGMAT試験で、多くの受験者がすぐに思いつくようなロジックだけで全ての問題が正解できてしまうようでは、一通りGMAT対策をした受験者たちの間に差をつけることができません。通常は思いつかないような視点で正解を選ぶ難問があるからこそ、GMATが全世界の優秀な受験者に差をつける試験であり続けることができるわけです。
Verbal で安定して高得点を取れる方は、たとえばSCで「通常ならここでは in を使うのが普通だが、on を使っても必ずしも誤りではない」というようなケースでは、迷わずいったん判断を保留して、選択肢どうしの別の部分の違いを探しにいくものです。SC 難問では、あえて「通常は使わない表現」を正解にすることで受験者に差をつけようとするものだからです。通常の表現を正解にする易しい問題なのか、通常ではない表現を正解にする難問なのかは、選択肢どうしを総合的に比較しないかぎり判断できないものです。
アゴスの StrategyやPracticeコースを短期間で受講した後、そこから出願までの期間に独学でどんどん問題を解いて訓練しているような場合に、下図「伸び悩む場合のイメージ」になる方が多いです。
授業で紹介している知識やスキル、問題傾向や特徴については、正確に理解して試験問題を解く際に応用していくべきです。
一方、自分で過去問を解いて感じた生兵法の経験則や、中途半端に聞きかじった知識やうろ覚えの試験スキルをそのまま実戦に応用することは弊害の方がはるかに大きいです。
本当に重要な試験だからこそ、「憶えた知識を使おう」という意識をむしろいったん捨て去って、目の前の問題に合わせて臨機応変に取り組む姿勢も大切です。
Verbal セクションに対して純粋な英語試験として取り組む初心者的な虚心坦懐な視点と、活かすべき時に試験スキルを活かす上級者的な視点とをバランスよく融合させて問題に取り組むことで、「理想的な上達イメージ」を実現させることができるものなのだと思います。