(以下は、前回の私の記事「TOEFLリスニングの㊙こぼれ話(英語業界の裏話)(その1)」の続き(完結版)です。)
話を伺ってみると、「東京ナチュラル」というのは、東京の英語書籍出版業界(音声ファイルあり)の業界用語らしく、その業界人、それも出版や録音に立ち会う人達だけに通じる用語のようでした。
これは、つまり、
「高校生またはそれ以下の英語学習の初級者・中級者でも聞き取りやすいように、意図的に若干ゆっくり、そして、はっきりと、だけど、あまり遅すぎず適度にナチュラルな話し方にするやり方」
のことを言うようです(この定義が若干正確さに欠けていたらすみません。その筋では新参者ですので、どうか業界人の方々、お許しください)。私自身、英語教育業界は現在28年目ですが、英語「出版」業界については当時新参者でした。
英語学習者初級・中級者向けに、ゆっくりはっきり目の英語を敢えて話して音声教材にする事実は以前から知っていました。私自身も、中学生から大学生の時には、NHKテレビやラジオの英語会話番組で学習していましたが、振り返れば、それらの大部分は遅くはっきり目に話された英語でした。それらはすべて聞き取れたのに、米国留学でアメリカの空港に一歩降り立った途端、空港のアナウンスが速すぎて聞き取れなかったのを今でも鮮明に覚えています! あの時は、「やはり、日本人学習者向けに遅く話された『お粥』か『流動食』状態の英語に慣れてしまってはいけないのだ!」ということを、嫌というほど思い知らされたものです。
(筆者注:ちなみに、TOEFL iBTのリスニング音声はまさしく、ネイティブのナチュラススピードであり、英語学習者を突き放した(=学習者に優しくない)英語です)
話は戻りますが、それにしても、なんと、そういう「易しい英語の話し方」のことを指す業界用語が東京にはある(!)とは、ちょっと驚きでした。この業界にいる者として、これを知らない人がいまだ多い分、一つの喜びでもあり大きな発見でした。
でも本当のことを言うと、「東京ナチュラル」という言葉を聞いて、当年取って58歳の私が一番最初に連想したのは「東京ララバイ♪」という、今から40年以上前に流行った歌謡曲(歌:中原理恵)のタイトルでした(笑)。。。
(実はこれが、このお話のオチでした。)