紅茶と一緒にスコーン?– by 加藤

私が日本で大学3年生だった頃のお話です。

当時私はESS(英語部)部員であり、また、他大学とのESS連盟(十数の大学の英語部からなる連合組織)の委員でもありました。

その日は、大学対抗英語弁論大会が開催され、私はその実行委員の一人でした。

10人ほどのコンテスタント(Speakers)による英語スピーチがすべて終わりました。審査員控え室では、3人の審査員(米国人教授、英国人教授、米国で博士号を取った日本人教授)が真剣な表情で入賞者を厳選していました。

なんとか審査が終了し、結果発表の時刻までには少し時間が余りました。

そこで、私は3人の審査員の先生方に向けて、

Please have some tea and cookies, and wait for another 15 minutes or so.

と言いました。

そうすると、おもむろに英国人教授が持ち前の強いイギリス訛で言いました。

Those are not cookies. Those are biscuits!

ちょっと不機嫌そうな表情に見えました。

私は一瞬何が起こったのかが分かりませんでしたが、一拍の沈黙を置いて、残り2名の審査員(米国人教授と米国で博士号を取った日本人教授)が、

Ah! Oh, yes.

と合点が行ったという様子でした。2人とも笑っています。英国人教授も笑顔になっています。

私もすぐに状況が飲み込めました。そこにあったお茶菓子は、アメリカ英語ではcookiesだが、イギリス英語ではbiscuitsである、ということですね。「日本語でもビスケットという言い方もあるしな」と、私も心の中で合点が行っていました。(加えて、英国人の方は一般的に、イギリス英語こそが本家本元の正統派であるという誇りを抱いているので、その点もほのめかしているようでもありましたが。)

どちらにしても、その後は3人の教授たちはその話題も含めて和やかに談笑をしてくれ、私も大変ホッとしたものでした。

ちなみに、アメリカ英語でbiscuitと言えば、一般に日本語のスコーン(私はあれを食べると必ず喉が詰まります(笑))のことを指します。

(※アゴスでは、たとえば、IELTS ReadingとListeningのクラスで、一部、イギリス英語をアメリカ英語と比較しながら学ぶこともできます。)