英語リスニングの壁:リエゾン(その1) – by 加藤

日本人英語学習者にとって、ネイティブがナチュラルスピードで話す英語を聞き取りにくくしている要因の一つに、「リエゾン」という現象があります。

このリエゾンとは、もともとフランス語における連音の一種のことらしいのですが、英語でも頻繁に起こります。別々の2単語が並んでいても、「子音+母音」が並ぶと音が結合してしまう現象のことです。

分かりやすい例で言えば、Let it go.(懐かしい!ですね)が「レリゴー」のように発音されることですね。この場合は、letの最後の子音である「t」の音と、itの最初の母音である「i」が結合し「ティ」のような音に変化します。「レティ(ト)ゴー」でも良いのですが、米音の場合は、さらにtの音が日本語でいえばラ行に近い音になりますので、結局「レリゴー」に近い発音となります。

Let it go.「レリゴー」のように、非常になじみのある言葉なら良いのですが、そうでない場合、このリエゾンという現象は、ネイティブが話す英語を我々日本人が聞き取る上でしばしば壁となり得ます。

たとえば、Dictation練習をしている日本人英語学習者(初級)が、スクリプトを見ずに音声だけを2,3度聞いて、次のように書き取ったとします。どうしても分からない部分はカタカナで書きとりました:

Iシュダブstayダゥドブtrouble.

(勘の良い方ならば、またはDictationに慣れている方ならば、ここから自分が知っている英文に組み立てられるかもしれません。)しかし、この英語学習者がスクリプトを見たら、次のように書いてあり、愕然とします:

I should have stayed out of trouble.

すべて馴染みのある簡単な単語ばかりが並んでいます。なぜ、この英文が上記のような音に聞こえてしまったのでしょうか?

まず、ネイティブはhの音を弱化または無音化させる傾向にあるので、should haveの部分はまるでshould ofであるかのように発音します。さらに、このshouldの「d」とofの「o」がリエゾンを起こし、「ド」か「(米音では)ダ」のように発音します。
stayed out はステイダウドのようになります。out ofの部分も同様に、「t」と「o」がくっついて「ト」か「ド」に近い音になります。
やはり、リエゾンが英語を聞き取りにくくしていたのですね。

これらの法則は、アゴス・ジャパンのTOEFLやIELTSの特にリスニング初級(Foundation / Base)クラスで学習します。また、Dictationと音マネをすることによって、時間はかかりますが、これをマスターすることができます。
頑張ってください!